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住宅ローン借り換えのメリット・デメリット。失敗しない判断方法は?

住宅ローン借り換えのメリット・デメリット。失敗しない判断方法は?
  • 2021年9月17日
  • 2024年8月14日
住宅ローンの借り換えとは、現在借りているローンを一括で返済するために、新たにローンを借り入れることを言います。すでに借りている住宅ローンよりも条件の良い金融機関が見つかれば、借り換えを行うことで支払い負担の軽減やリスク対策に繋がる可能性があります。
本記事では、住宅ローンの借り換えを行うメリットとデメリット、そして失敗しないための判断方法について解説します。

住宅ローンの借り換えとは?5つのメリット

住宅ローン,借り換え
(画像提供:Imagepocket/stock.adobe.com)
借り換えによるメリットには、次のようなものがあります。

1.ローンの総返済額を減らせる

借り換えにより金利が下がる場合、利息の負担が減るためローンの総返済額を軽減できます。

2.月々の支払い負担が減る

借り換えによって毎月の返済負担を減らすことも可能です。将来手元に多くお金を残せるだけでなく、毎月の支出を減らして今の家計の負担も軽減できます。
浮いた分で少し贅沢をしたり、将来のために貯蓄や投資を始めることもできるでしょう。

3.返済期間を短くすることができる

新たに借り入れるローンを現在よりも短い返済期間で借りることができます。現在の家計にゆとりがあるのなら、返済期間を短縮して借り換えることは総返済額を抑えるために有効な方法です。
金利負担の総額は返済期間が短ければ短いほど小さくなりますので、期間を短くすれば更に金利の負担を減らせるでしょう。なにより、当初の予定よりも早く完済できるため、心理的な負担の軽減に繋がります。

4.将来の金利上昇リスクにそなえ、おトクな金利で返済額を固定できる

住宅ローンの金利には、変動金利と固定金利があります。変動金利は、市場金利に連動して見直しがあるため、今後金利が上がることが想定される場合は、固定金利を選択して金利を確定させることも選択肢の一つです。
なお、借り換えせずに金利タイプの変更によって変動金利から固定金利に変更することもできますが、他金融機関でおトクな固定金利に借り換えした方が、より低い固定金利で金利上昇リスクを抑えられる可能性があります。
借入中の住宅ローンをよく確認したうえで、借り換えするメリットがあるか見極めていくことが大切です。

5.新しい保険で保障を手厚くできる

住宅ローンの借り換えでは、新しく加入する団体信用生命保険(以下、団信)や特定疾病保障保険によって保障を手厚くできます。
団信とは、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になったとき、保険が適用されて残りの住宅ローンが弁済される保険です。ほとんどの金融機関では住宅ローンを契約する際、団信への加入が必須となっています。
死亡または高度障害の場合は団信で保障されますが、病気で今までどおり働けなくなると、収入の減少により住宅ローンの返済が家計の大きな負担となってしまいます。
そこで住宅ローン借入中の疾病にそなえ、幅広く保障内容を充実させた保険が、特約付き団信または特定疾病保障保険です。
住宅ローン借入後に団信や保障を変更することはできませんが、新たな金融機関での借り換えにより保障を充実できる可能性がありますので、保険の内容もチェックしておきましょう。

住宅ローン借り換えの5つのデメリット

住宅ローン,借り換え
(画像提供:MonsterZtudio/stock.adobe.com)
それでは、借り換えによるデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。おもに以下の5つがあげられます。

1.手数料などの諸費用がかかる

住宅ローンの借り換えには、大きく分けて「金融機関に支払う費用」と「抵当権変更に関わる費用」があります。金融機関に支払う費用には、事務手数料や保証料、一括返済にかかる費用があります。抵当権変更に関わる費用には、登録免許税、印紙税、司法書士への報酬等があげられます。このうち、特に大きな費用は、金融機関に支払う事務手数料や保証料です。
これらの費用が総額でいくら必要になり、それらの費用の分も上乗せして借り換えた場合にどの程度のメリットが出るのかを計算してみる必要があります。

2.契約・審査を再度行わなければならない

借り換えの場合には再度契約、審査を行う必要があります。事前審査や本審査、抵当権設定に必要な資料をそろえ、旧借入先に融資実行のタイミングを連絡するなどのわずらわしい手間も必要になってきます。
そして、現在のお仕事や収入、転職歴などによって審査に通らないことも考えられます。また、団体信用生命保険にも再度加入することになりますが、体況によって団体信用生命保険に加入ができないために融資を受けられない、もしくは保障範囲が狭くなるなど、現在よりも条件が悪くなる可能性もあります。

3.住宅ローン控除額が減る可能性も

住宅ローンで住宅を取得された場合、住宅ローン控除という税金のメリットを受けることができます。購入時期や住宅の性能によって控除を受けられる期間や上限に差がありますが、基本的には入居した年から10年間または13年間、年末のローンの残高の1%または0.7%が支払う税金から控除されます。
つまり、年末の残高が3,000万円あったならば1%の30万円税金が安くなることになります。しかし、住宅ローンの借り換え時には、借り入れ金額や返済期間の設定によって住宅ローン控除のメリットが薄れる場合もあります。また、借り換え後に10年以上の返済期間が無い場合には控除を受けられません。

4.家計への負担が大きくなることがある

おもに固定金利タイプのローンに借り換えた場合に起きることですが、借り換えによって金利の負担が増えて家計への負担が大きくなる場合もあります。また、借り換えによって返済期間が短くなるのはいいのですが、短縮されたことで月々の返済額が増えることもあります。

5.条件次第では思ったような効果が出ないことも

借り換え先の条件次第では期待していたような金利の節約効果を得られない場合もあります。また、さほど大きな効果が得られずに借り換えの手間だけ掛かってしまうということもあります。

借り換えで損をしないための判断ポイント

では、借り換えするべきかどうか、どのように判断すればよいのでしょうか?

住宅ローンの残年数

金利はローン完済までの残りの年数が短いほど負担が少なく、長いほど大きくなります。そのため、ローンの借り換えは残年数が長いほど効果があります。
住宅ローンの残年数は、一般的には10年以上あるとメリットが出やすいと言われています。残りの年数が短い場合には、借り換えをしてもメリットが薄くなる、諸費用の分負担が大きくなってしまう可能性もあるためご注意ください。

住宅ローン残高

住宅ローンの残高が多ければ金利負担も大きく、少なければ金利負担も少なくなります。そのため、ローンの残高が多ければ多いほど借り換えのメリットが出やすくなります。一般的には1,000万円以上の残高があると良いとされています。

借り換え前後の金利差

どの程度の金利差があればメリットが出るかの目安は、1%以上の金利差とされています。金利差が低ければ諸費用分が逆に負担となる可能性もあります。

住宅ローンを借り換えるといくらお得になる?

住宅ローン,借り換え
(画像提供:MonsterZtudio/stock.adobe.com)
借り換えによってどの程度のメリットがあるのかシミュレーションしてみましょう。
借り換え前の条件
  • 残期間25年 元利均等返済
  • 残高2,000万円
  • 金利2.5%

毎月の返済額 8万9,723円

残り25年間の総返済額 2,691万6,835円

借り換え後の条件
  • 残期間25年 元利均等返済
  • 借り換え総額2,057万5,000円
※借り換えにかかる諸費用込み(融資手数料、保証料が合計2%、ローン契約、抵当権設定変更費用を17万5,000円と想定)
  • 金利1.3%
  • 毎月の返済額 7万8,121円
  • 25年間の返済総額 2,401万1,320円
借り換えにより、毎月1万1,000円以上の返済負担軽減、返済総額は約290万円もの軽減効果が出るという結果になります。

借り換え後、住宅ローン控除はどうなる?

住宅ローン控除を受けられるのは、居住を開始した年から最大13年間です。この間、借り換えを行ったとしても、一定の要件を満たせば引き続き住宅ローン控除を受けることは可能です。現在すでに住宅ローン控除を受けており、ローンの借り換えを検討している人は、適用可能年数があとどれほどあるのか確認しましょう。
現在の残高よりも新たな住宅ローンの借入金が多い場合は、控除額の調整が入ります。借り換えによって控除額が少なくなる可能性もあるので、総合的な判断が必要です。借り換えの金額や返済期間によって、住宅ローン控除への影響はどの程度あるか一度計算してみてください。

総合的な視点からベストな選択を

このように、借り換えにはメリット・デメリットがあるので、何を目的として、どの程度のメリットを得られるのかを事前に試算した上で借り換えをしましょう。また、借り換えする以外にも、現在借り入れされている金融機関に条件変更を依頼することで、金利の引き下げや固定金利期間の延長などを行うこともできます。
借り換えのような大きな諸費用は不要なため、条件変更を申し出る方がよい場合もあります。借り換え以外の選択肢も含め、総合的な視点からご自身に合ったベストな方法を選択することが大切です。

執筆者:小川洋平

合同会社clientsbenefit 代表

ファイナンシャルプランナー(CFP®)

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