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一人暮らしの電気代の目安は?電気代の基本から節約術までくわしく解説

一人暮らしの電気代の目安は?電気代の基本から節約術までくわしく解説
  • 2022年5月23日
  • 2024年3月6日
進学や就職で初めて一人暮らしをするにあたり、ワクワクする気持ちと同時に、日々の暮らしにかかるお金に関して不安を抱く方もいるかもしれません。特に、毎月発生する電気代は気になる方も多いのではないでしょうか。
電気代は住んでいる地域や季節、家電の使い方等に影響を受けやすい固定費の一つです。電気代の基本知識がないと、想像以上に高い請求額になってしまい驚くことになるかもしれません。
そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーが一人暮らしの電気代の目安金額を解説するとともに、具体的かつ実践しやすい節約術を紹介します。

一人暮らしの電気代の目安はどれくらい?

一人暮らしの電気代の目安はどれくらい?
毎月支払う電気代が適正かどうかは、一人暮らし世帯の平均額と比較することで確認ができます。ここからは、総務省が公開している公的資料を参考に、一人暮らしの世帯にかかる電気代の目安を紹介します。

一人暮らしの平均的な電気代は月額5,791円

総務省が2020年に行った全国の家計調査によると、一人暮らし世帯の電気代の平均額は年額69,492円(月額約5,791円)です。
一般的に、世帯人数が増えると電気代も増加する傾向にあり、全世帯を対象にすると平均額は年額107,688円(月額8,974円)となります。

電気代は地域や季節によって差がある

電気代は固定費のなかでも、毎月一定額を支払う家賃等とは異なり、さまざまな条件で金額が変動するものです。
ここでは、電気代を決定する大きな要素である「地域」と「季節」に焦点をあてて、金額にどれくらいの差が出るのかを解説します。

【地域別】平均的な電気代

電気代には、地域特有の使い方により金額差が出るのも特徴です。
総務省が2020年に行った家計調査によると、地域ごとの平均的な電気代(月額)は以下のとおりです。
<規模別>
地域 平均的な電気代(月額)
全国平均 5,791円
大都市 5,489円
中都市 6,030円
小都市・町村 6,029円
  1. 大都市…政令指定都市及び東京都区部
  2. 中都市…大都市を除く人口15万以上の市
  3. 小都市…人口5万以上15万未満の市
  4. 町村…人口5万未満の町村
規模別に関しては、人口が多い方が、若干電気代が低くなる傾向にあるようです。世帯人数や家の大きさ(部屋数)が関係しているのかもしれません。
<地域別>
北海道・東北地方 6,463円
関東地方 5,594円
北陸・東海地方 5,956円
近畿地方 5,641円
中国・四国地方 6,186円
九州・沖縄地方 5,554円
地域別に関しては、北海道や東北地方、九州・沖縄といった寒さ・暑さが厳しい地域と、近畿中部や山陽地域等の年間を通じて温暖な地域とでは、冷暖房の使用頻度に差があるため毎月の電気代は変わります。

【季節別】平均的な電気代

季節に応じて電化製品の使い方が異なるため、電気代も変化します。2020年の総務省の家計調査によると、季節ごとの平均的な電気代は以下のとおりです。
季節 1ヵ月あたりの平均額
春(4~6月) 5,916円
夏(7~9月) 5,330円
秋(10~12月) 5,135円
冬(1~3月) 6,535円
一般的に、冷暖房機器を多く使う「夏」と「冬」は、年間を通じて電気代が高くなりやすい季節です。特に、外気温と暖房機器の設定温度との差が大きくなる冬は、エアコンやストーブ等の暖房機器を多く使用するため、電気代が一年中で最も高くなります。

【コロナ禍前後】平均的な電気代

2020年以降、新型コロナウイルスの影響によって、暮らし方や働き方は大きく変化しました。感染予防のために外出を控えたり、オフィスに出社せずにテレワークをしたりと在宅時間が増えたことにより、電気料金にも影響が出たといわれています。
なお、総務省の家計調査によると、単身者世帯のうち勤労者世帯の電気代は以下のような結果になっています。(1ヵ月あたりの平均額)
【コロナ前後】平均的な電気代(1カ月当たりの平均額)
各年の気候条件等が異なるため単純に比較することは難しい状態です。しかし、緊急事態宣言が発表された2020年4~6月(A)や2021年1~3月(B)は、電気代が例年よりも高くなっていることがわかります。
出典:総務省「家計調査 家計収支編」

知っておきたい電気代の4つの基本

知っておきたい電気代の4つの基本
電気代を賢く節約するためには、電気代を構成する要素・計算方法・電気使用量の大きな家電の種類を知っておくことが大切です。ここからは、電気代に関する基本的な知識を解説します。

電気代は3つの要素でできている

電気代は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つで構成され、それぞれの合計額が電気代として請求されています。
基本料金とは、電力会社が提供する料金プランで決められた料金で、使用量に関わらず一定額が請求されます。
次に、電力量料金は使用した電気量に応じてかかる従量料金で、電気使用量に電力会社が設定する電力量料金単価(円/kWh)をかけて計算します。使用量が多くなるほど算出される電力量料金も高くなるのが特徴です。
また、電気をつくるために必要な原油・LNG・石炭といった、燃料の価格変動を反映させるための仕組みに、燃料費調整額があります。燃料価格に連動した燃料費調整単価に毎月の電気使用量を乗じて算出し、電力量料金と合算して請求されます。
最後に、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーを買い取るために必要な費用を、電気利用者が負担する金額です。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価に電気使用量をかけて、算出します。
電気代を節約するためには電気使用量を減らすだけでなく、基本料金を決定する契約容量(契約アンペア)を見直すことも重要です。

家電ごとの電気代の計算方法

電気代は電気使用量に比例して増加します。どの家電製品の電気使用量が大きいのかを理解するために、まずは家電の使用にかかる電気代の計算方法を知っておきましょう。
家電ごとの電気代は、以下の計算式で算出します。
電気代=1時間当たりの消費電力(kWh)×稼働時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)
例えば、電力量料金単価(1kWhあたりの電気料金)が25円の場合に、定格消費電力量70Wのテレビを1日2時間使用すると、テレビにかかる電気代(1ヵ月)は以下のように計算できます。
0.07(kWh)×2(h)×25円/kWh×30日(1ヵ月)=約105円
消費電力の大きい家電を頻繁に使ったり、長時間使ったりする世帯では、電気使用量に比例して電気代も大きくなります。効率よく電気代を節約するためには、家電ごとの消費電力を確認し、消費電力の多い家電の使用方法を見直すことが重要です。

電気使用量の大きい家電は?

一般的には、冷蔵庫、照明器具、テレビの順に電気使用量が多くなります。資源エネルギー庁が実施した調査によると、世帯当たりの電気使用量内訳は以下の通りです。
■世帯当たりの電気使用量の内訳(2019年度)
動力・照明他(冷蔵庫やテレビ等の家電機器) 33.9%
給湯(お風呂) 28.8%
暖房 24.7%
厨房(キッチン) 9.9%
冷房 2.7%
電気消費量の多い家電を中心に節電することで、電気代の大きな節約になります。

毎月届く「電気ご使用量のお知らせ」で内容を把握する

毎月の電気代を正しく把握するためには「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を確認することが大切です。
電気ご使用量のお知らせには、対象月に使用した電力量や請求金額、契約内容、昨年との電気量の比較等が掲載されています。
専用紙に印刷された検針票だけでなく、電力会社によってはWebサイトやスマートフォンアプリで手軽に確認できることもあります。月々の電力量を把握することで契約内容の見直しや節約を検討する材料として活用できるので、こまめな確認がおすすめです。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「令和2年度エネルギーに関する年次報告 (エネルギー白書2021)」

家電の使い方を工夫して電気代を節約しよう!家電ごとのポイントを解説

家電の使い方を工夫して電気代を節約しよう!家電ごとのポイントを解説
ここからは、家電の使い方に焦点をあてた電気代の節約ポイントを解説します。一人暮らし世帯でもよく利用されて電気使用量の多い家電ごとに、無理なく実践できて効果が高いものを厳選しているため、ぜひ参考にしてください。

エアコン

夏場や冬場等に電気使用量が増える原因として、エアコンの使用が挙げられます。エアコンの節約ポイントは、以下の3つです。
  • 自動運転に設定し温度は暖房で20度前後、冷房で28度前後に設定する
  • サーキュレーターを併用することで空気を循環させ、部屋全体の温度を一定に保つ
  • 熱や冷気が部屋の外に漏れないよう、部屋の断熱性や気密性を上げる
エアコンは特に電気使用量の大きい家電なので、使用方法を見直すことで大きな電気代節約につながります。

洗濯機

毎日の洗濯で利用する洗濯機も、使い方を少し見直すだけで電気代を節約できます。洗濯機の節約ポイントは以下2つです。
  • 洗濯物はまとめて洗い、洗濯回数を減らす
  • 夜間の電気料金が安くなるプランを選択している場合は、夜間に洗濯する
また、洗濯物をできるだけ一度にまとめて洗うと節水効果があり、電気代だけでなく水道代の節約にもつながります。

冷蔵庫

生活を送るうえでは欠かせない冷蔵庫は、食べ物や飲み物を常に冷やしておくために待機電力が発生しています。冷蔵庫の使用電力量を抑えるには、冷蔵庫内の冷却効率を上げるために以下のような対応が有効です。
  • 冷蔵庫内にものを詰めすぎない
  • 冷蔵庫の開け閉めの回数、時間を減らす
  • 設定温度を適切にする
特に、冷蔵庫内にものを詰め込みすぎないこと、設定温度を見直すことで大きな節約につながります。

照明

照明一つひとつの消費電力は少ないものの、家全体で考えると照明の電気使用量は見過ごせません。ついつい照明をつけっぱなしにしていたり、外出時に消し忘れたりと、意外にも電気代を引き上げる要因になっていることもあります。照明では以下の節約ポイントを意識してみましょう。
  • 使用していない照明はこまめに切る
  • 消費電力の少ないLED電球へ交換する

トイレ

暖房便座(ウォームレット)や温水洗浄便座(ウォシュレット)等、快適に利用できるトイレは利便性が高い反面、電気代が高くなりがちです。一日に何度も使う分、電気代の節約は気になるポイントではないでしょうか。
トイレの節約ポイントは以下が有効です。
  • 使用しないときはフタを閉め、暖房便座の放熱を防ぐ
  • 暖房便座、洗浄水の設定温度を下げる
  • ウォシュレットは適宜掃除する

その他の家電

その他の節電策としては、節電タップ等の節電グッズを利用し、使わないときは電気を消す等無駄な電気を使わない方法も重要です。電気使用量は家電を使えば使うほど増えていくので、家電の使い方を工夫するだけで電気代を節約できます。
また、家電は省エネ化が進んでおり、最新モデルに買い替えることで大きな消費電力削減が期待できる場合もあります。家電の買い替えで一時的に支出が増えますが、毎月の電気代が少なくなるので、長期的には家計全体の支出を抑えられるかもしれません。

さらに電気代を節約するなら電力会社と料金プランの選びも大切に

さらに電気代を節約するなら電力会社と料金プランの選びも大切に
家電の使い方を工夫する以外の節約方法として、電力会社と料金プランの見直しも有効です。ここからは見直しのポイントを解説します。

電力会社と料金プランを見直してみよう

2016年4月に始まった電力の小売自由化により、すべての消費者は、東京電力・関西電力といった各地域の電力会社・料金プランから、好きなものを選べるようなりました。さらに、さまざまな電力会社・料金プランを、自由に選択できるようになっています。
現在では、小売電気事業者として都市ガスやガソリン、通信会社等も計749事業者(2022年2月21日現在)が登録されており、利用中サービスのセット割やポイントサービス、省エネ診断サービス等さまざまな新サービスが登場しています。
自身のライフスタイルや価値観に合わせて電力会社や料金プランを選ぶことで、電気代の節約にもつながります。

電力会社選びのポイント

数ある電力会社から自分に合った会社を選ぶためには、以下のようなポイントに着目しましょう。
  • 供給対象エリアかどうかを確認する
  • 電気やガス・インターネット等とのセット割があるかを確認する
  • 最低利用期間や違約金、解約金の有無等の条件を確認する。
また、気になる電力会社をいくつかのピックアップしたあと、それぞれを比較し、総合的に判断するのがおすすめです。

料金プラン選びのポイント

料金プランは、おもに以下の4タイプから選択できます。
基本料金+電力量料金の従量電灯タイプ 従来の電力会社が提供する一般的なプラン。電気料金の基本料は契約アンペアによって変化するため、使用電力量が極端に少ない場合は、アンペア数を一段階落とすと電気代が節約につながる。
時間帯によって料金が変わるタイプ 夜間や土日等、特定の時間帯の電気料金が安く設定されているプラン。安くなる時間帯以外は、料金が割高に設定されているので注意が必要。
基本料金や最低料金が無料のタイプ 基本料金等の固定費用がかからないプランで、電力の小売自由化で新規参入した会社に多く見られる。電気を多く使う世帯では、電気を使えば使うほど電気代が安くなる傾向がある。
ポイント等の特典が付くタイプ 電気料金に対して、一定のポイントが付与されるプラン。普段よく利用するポイントサービスがあればお得がありますが、選び方によっては電気代が高くなってしまうこともある。
各社で特色のある料金プランを用意しています。Webサイト上で料金シミュレーションができる電力会社も多いので、「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を見ながら積極的にシミュレーションを利用してみましょう。

電気料金の支払い方法もチェックしよう

電気料金の支払い方法も忘れがちですが、チェックすべき項目です。電気料金の支払い方法は一般的に口座振替、クレジットカード払い、振込用紙を使用した現金払いの3種類から選択します。
特定の支払い方法しか対応していない電力会社もあるので、希望する支払い方法が対応しているかどうかは事前に確認しておきましょう。
また、電力会社によっては口座振替で割引するサービスが利用できたり、クレジットカード払いにすると各クレジットカード会社のポイントが付与されたりします。ライフスタイルに合った支払い方法を選択することで、電気代の節約につなげられます。

まとめ

毎月発生する電気代は、家計の大きな節約ポイントです。節約の方法はさまざまですが、自分に合った方法を少しずつ取り入れてみましょう。
また、電気代だけでなく家計全体の見直しをしたいなら、家計簿アプリを使った家計管理がおすすめです。
銀行口座残高、クレジットカード利用額、ポイントカード等、お金の情報を一元管理できるので、何にいくら使っているのかを明確にし、家計の見直しがしやすくなります。ぜひ積極的に利用してみてはいかがでしょうか。

記事提供:トランス・コスモス株式会社
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。

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