なぜ黒字倒産する?キャッシュフローを知って、20代から経営者目線を持とう!
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2020.7.29
順調に収益を伸ばしていても起こり得る「黒字倒産」。どうして“黒字”なのに倒産するのか……いまいち、よく分からないという人も多いでしょう。企業会計における「キャッシュフロー(CF)」の概念を知れば、その理由が理解できますよ。黒字倒産のロジックを紐解きつつ、経営者目線を持つことにもつながるCFについて解説します。
黒字でも現金(キャッシュ)がなければ倒産する?
まず、黒字倒産について理解するために「倒産」とはどのような状況を指すのか知っておくことが重要です。
倒産には、さまざまな定義・意味があります。経営に行き詰まることで営業活動を継続できなくなることを倒産と呼ぶこともあれば、決済資金の不足により「不渡手形」を半年間で2回出すことを事実上の倒産と呼ぶケースもあります。黒字倒産は、一般的にこの後者のケースで起きます。
企業の銀行口座の残高が著しく少なくなると、一定期日に取引先企業に代金を支払うことを約束した「手形」の決済ができなくなり、その手形は「不渡り」となります。不渡手形を6ヵ月以内に2回出すとその銀行との取引が停止となり、事実上の倒産に陥ります。
つまり、順調に収益をあげていて黒字の状態であったとしても、必要なキャッシュ(現金)が銀行口座上で不足してしまうと黒字倒産してしまうのです。
企業が黒字かどうかと、事実上倒産となってしまうかは別問題というわけです。
手元のキャッシュ不足はなぜ起きてしまうのか
では、収益を伸ばしているのに手元のキャッシュが不足してしまう、という事態はなぜ生じるのでしょうか。その要因は複数ありますが、一例としては売上の入金が遅いことが原因です。
例えば100万円で自社の商品をある企業に販売し、その100万円の入金が3ヵ月後だとします。一方、商品をつくるために仕入れた原材料30万円分の支払いが1ヵ月後に必要だとします。
この場合、100万円の売上を帳簿上で計上していたとしてもその入金は3ヶ月後となり、1ヵ月後には少なくとも30万円のキャッシュが手元にないと原材料の支払いが遅延してしまいます。こうしたロジックで、収益を伸ばしていても自己資金に余裕がなければ支払いができなくなってしまうことがある、というわけです。
こうしたことを防ぐためのポイントとなるのが、「キャッシュフロー(CF)」をしっかり把握するということです。とくに直近では新型コロナウイルスの影響で、取引先企業からの入金が遅れるケースも増えており、CFを把握する重要性がより高まっていると言えるでしょう。
そもそも、キャッシュフローとは?
キャッシュフローは日本語で「現金収支」などと呼ばれ、一定期間内の現金の流れ(収入と支出)のことを指します。上場企業は「キャッシュフロー計算書」の作成・開示が義務付けられていますが、非上場企業においてもお金の流れを把握するために非常に重要なものです。
キャッシュフロー計算書では「営業キャッシュフロー(営業CF)」「投資キャッシュフロー(投資CF)」「財務キャッシュフロー(財務CF)」が示され、事業活動で稼いだキャッシュ(営業CF)から、設備投資などによる支出(投資CF)を差し引いたものが、企業が自由に使えるキャッシュ(「フリーキャッシュフロー(フリーCF)」)を示しています。
このフリーCFが多ければ黒字倒産のリスクは小さくなります。もちろん計画的にCFを安定させていれば、フリーCFが少ないからといってすぐ黒字倒産に結びつくわけではありません。また、フリーCFが多ければ事業環境の変化にも対応できる余力があるということになります。
黒字倒産する会社、赤字でも倒産しない会社
実際に過去に黒字倒産した企業は少なくありません。
例えば、不動産事業を展開していたA社は、売上高が伸び続けていたものの、最終的には資金繰りの悪化によって支払い能力が著しく低下し、最終的に経営破綻してしまいました。
証券取引所に上場していた化学薬品商社B社も、キャッシュフローの悪化で黒字倒産するに至りました。海外の取引先企業からの売上代金の回収がうまくいかず、債務超過に陥ってしまったことが理由とされています。
一方で、純利益が赤字でも倒産しない企業もあります。フリーキャッシュフローが良好であれば、例えば単年度決算で赤字を出しても、取引先への支払いなどに窮することはないからです。
企業分析の新たな視点としてCFにも注目してみよう
キャッシュフローの状況については、上場企業であれば公表している「有価証券報告書」から確認することができます。有価証券報告書は、上場企業の公式ホームページにある「IRページ」などから閲覧することができます。
株式投資先の銘柄を選ぶときや、就職・転職先として企業を考察するときには、その企業の売上や最終損益の変動を見るだけではなく、キャッシュフローの観点に注目することも重要です。そして、経営者目線から企業の安定度を分析する新たな視点として、これからはCFにも着目してみてください。
執筆者:株式会社 ZUU
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