遺産整理を銀行に依頼するケースとは?流れやメリット、注意点を解説
- 2025年12月4日
相続が発生してから相続手続きなどにかけられる時間は、長くありません。被相続人の財産の把握に時間がかかりそうだったり、ほかの相続人が遠方に住んでいたりする場合は、銀行や専門家に相続の手続きを任せてしまうという方法もあります。
ここでは、遺産整理の流れや、銀行に遺産整理を依頼するメリットのほか、銀行が遺産整理をサポートできるケース、銀行に遺産整理を依頼する際の注意点についてご紹介します。
遺産整理の流れ(財産の把握と分割手続き)
1. 遺言書を探す(主に自宅・公証役場・法務局など)
また、公正証書遺言と法務局保管による自筆証書遺言以外の遺言書は、原則として家庭裁判所の検認手続きが必要になるため、遺言書を発見しても勝手に開封しないよう注意してください。
2. 相続人の確定(主に戸籍謄本で確認)
必要になるのは、被相続人の出生から死亡時までの連続した戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本です。なお、被相続人の前の配偶者との子どもも相続人となります。被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合であれば孫が子どもの代わりに相続人(代襲相続人)となるため誰が相続人となるかを戸籍謄本からしっかり確認しておくようにしましょう。
3. 相続財産の調査・整理(債務を引き継がない場合は原則として3ヵ月以内の対応が必要)
相続財産を明確にするために、被相続人と取引があった銀行や証券会社などに連絡し、財産を一つ一つ調査して把握します。金融資産や不動産だけでなく、被相続人の債務(借入金などのマイナスの財産)なども相続財産となりますので、把握の漏れがないように注意しましょう。財産の把握が不十分だと、遺産分割協議を行った後に新たな財産が見つかることも考えられ、トラブルの原因にもなりかねません。
相続財産が確定したら財産目録を作成し、財産を一覧で見られるようにしておきましょう。財産目録があれば、遺産分割協議の際にも話し合いをスムーズに進められます。
なお、マイナスの財産を引き継がない「相続放棄」や「限定承認」の手続きを行う場合は、原則として相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所への申述が必要となるため、早めの対応が必要になります。
また、被相続人の遺産のほか、被相続人からの生前贈与の情報についても、円満な遺産分割協議や相続税の申告に必要となる場合があります。
- 被相続人に確定申告すべき収入がある場合は、相続財産の調査と並行して、相続開始から4ヵ月以内に準確定申告(被相続人が亡くなった年の所得税の申告)を行う必要があります。この準確定申告で生じた所得税は、相続税の申告においてマイナスの財産として債務控除の対象になります。
4. 相続方法・相続内容の決定(単純承認・限定承認・相続放棄)
何も手続きを行わない場合は、自動的に単純承認としてマイナスの財産も含めたすべての財産について相続することになります。
また、遺言書がある場合は、基本的にそれに従い相続手続きを行いますが、遺言書がない場合には、被相続人の財産について遺産分割協議を行い、相続人全員で相続について合意する必要があります。相続の内容に相続人全員が合意できたら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議は、相続税の申告を行う場合や相続税の特例規定を受けたい場合においては、相続開始日から10ヵ月以内に分割協議がまとまることが望ましいです(相続税の特例規定が受けられない場合などがあります)。
5. 名義変更と相続税の申告・納付
相続の内容が決定したら、預金の名義変更や換金、不動産の所有権移転登記などを行いますが、一定の金額以上の財産を相続する場合は相続税の申告義務が発生します。相続税の課税の対象となる財産評価額が、相続税の基礎控除以下であれば申告義務はありません。基礎控除額は現在、「3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円」となっています。
相続税の申告義務が生じる場合は、相続開始日から10ヵ月以内の申告と納税が必要と なります。ここまでの手続きを遅滞なく行うのは大きな負担になるため、状況により銀行や専門家への依頼も検討すると良いでしょう。
なお、相続財産の大半が不動産などの現物で、多額の相続税を現金で納付しなければならない場合は、
納税資金の準備なども併せて行う必要があります。
遺産整理を銀行に依頼するメリット
相続人が遺産整理を行うことは可能ですが、財産の種類が多かったり、相続人が多かったりする場合は、特に負担が大きくなります。その場合は、銀行や専門家に依頼を検討してみましょう。
続いては、遺産整理を銀行に依頼するメリットについてご説明します。
すべての手続きの窓口を銀行に一本化できる
銀行に遺産整理を依頼した場合、窓口を銀行に一本化できるという点が大きなメリットです。相続人が自身で遺産整理を行おうとすると、金融機関や税理士、ほかの相続人などとのやりとりが必要になり、手間や時間がかかってしまいます。また、重要な手続きを見落としてしまうこともあるかもしれません。
遺産分割協議書の作成をサポート
銀行に遺産整理を依頼した場合、銀行が遺産分割協議書の作成をサポートすることができます。遺産分割協議は相続人全員で行い、その遺産分割協議書の作成を銀行がサポートすることで、書類の不備などを防ぐことが可能です。
遺産分割協議書に不備があれば、すべての相続人にまた署名・押印してもらう必要が出てくるなど、手間が増えてしまいます。遺産分割協議書の作成は、専門家に依頼したほうが確実です。
銀行が遺産整理をサポートできるケース
ここまでご説明したとおり、遺産整理は手間も時間もかかってしまいます。仕事などの合間を縫って書類をそろえたり、ほかの相続人とやりとりしたりするのは負担だといえるでしょう。
続いて、銀行が遺産整理をサポートできるケースについてご紹介します。
被相続人がどのような取引を行っていたかわからない
銀行口座が複数あったり、株式や不動産などの財産を多く所有していたりする可能性がある場合にも、遺産整理を銀行に依頼するといいでしょう。
相続手続きで何をしたらいいかわからない
財産の調べ方がわからなかったり、どのような手続きをしたらいいかわからなかったりする場合には、銀行に遺産整理を依頼すると安心です。
相続の手続きは複雑で、相続人だけで行おうとすると、重要な手続きを見落としてしまう場合もあります。そのような事態を避けるためにも、手続きに不安があれば、できるだけ早い段階で銀行へ依頼するといいでしょう。
実際の手続きを誰かに任せたい
相続人の多くが遠方に住んでいたり、仕事が忙しくて時間がとれなかったりする場合も、スムーズに手続きを進められる銀行に遺産整理を依頼しましょう。
銀行に遺産整理を依頼すれば、ほかの相続人とのやりとりや各種手続きを任せることができます。相続に関する作業が、特定の相続人だけに集中するようなことも避けられます。
銀行に遺産整理を依頼する際の注意点
次に、銀行に遺産整理を依頼する際の注意点について見ていきましょう。
相続の話し合いは相続人同士での解決が必要
銀行に遺産整理を依頼した場合、さまざまな場面でサポートが可能ですが、相続人同士の話し合いに関わることはできません。遺産分割協議が難航したとしても、その話し合いは相続人同士で決める必要があります。
協議が難航してなかなか分割内容が決まらなければ、相続税の申告・納付に間に合わない可能性もありますので、スケジュール管理には十分注意しましょう。
相続税の申告・納付期限直前の依頼は手続きが完了できない場合がある
相続税の申告・納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内ですが、相続手続きには数ヵ月かかることが一般的です。相続手続きに不安があるようであれば、相続発生後、できるだけ早めに銀行へ遺産整理を依頼したほうがいいでしょう。
遺産整理業務[わかち愛]をご利用いただいた方の例
ご高齢または多忙な方や、相続手続きを開始したものの大変で断念した方
取引金融機関数や口座数が多数の方
遺産整理業務[わかち愛]の手数料
遺産整理業務[わかち愛]の手数料は、相続税評価額による遺産整理業務対象財産額に三菱UFJ信託銀行所定の率を乗じた額の合計した金額(千円未満切り捨て)です。※最低手数料:1,100,000円(消費税込)
たとえば、相続税評価額による遺産整理業務対象財産額が2億円で、うち当行預かり財産が5,000万円の場合は2,640,000円(消費税込)となります。
なお、相続税申告および準確定申告等にかかる税理士報酬などその他お客さまにご負担いただく費用がございます。
遺産整理のご相談は三菱UFJ銀行へ
三菱UFJ銀行では、遺産整理のご相談を承っております。
不動産、預貯金、株式などの名義変更や換金処分(売却・解約・外貨両替等による現金化)についても、三菱UFJ信託銀行の信託代理店として、三菱UFJ銀行の各支店にてご相談が可能です。
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