相場が下落したらつみたては停止すべき?みんなはどうしてる?アンケート結果をもとに紹介
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公開日:2022年8月22日
更新日:2023年12月27日
更新日:2023年12月27日
投資信託の基準価額は、上昇や下落を繰り返しながら推移します。投信つみたてを保有している方のなかには、相場が下落した際、どのような行動を取ればよいのかわからない方もいるかもしれません。
投信つみたてで資産形成をする際は、相場が下落しても、つみたてを継続することが重要だと言われています。
なぜなら、相場の下落時につみたてを継続したほうが、中断したり減額したりするよりも、最終的により大きなリターンが期待できる可能性があるからです。今回は、ファイナンシャルプランナーがその理由を詳しく解説します。
投信つみたてを継続中の男女400名を対象に行った、相場下落局面の経験の有無や、下落時に取った行動等についての調査結果も紹介するので、参考にしてください。
【調査概要】
- インターネットでのアンケート
- 投信つみたてを行っている男女400名
- 2022年5月
下落時もつみたてを継続するとリターンが大きくなりやすい理由
相場の下落時に、つみたてを中断したり減額したりするよりも、継続したほうが、相場が回復したときにリターンが大きくなるのは、ドルコスト平均法によるものです。
ドルコスト平均法とは、投資信託や外貨のような値動きのある金融商品を定期的に一定の金額で購入する手法を指します。ドルコスト平均法の特徴は、価格が低いときは多く購入でき、価格が高いときは少なく購入できることです。
実際にドルコスト平均法を用いて毎月同じ金額の投資信託を購入した場合と、毎月同じ口数を購入した場合の平均購入単価(積み立て購入時の価格の平均)の違いを見てみましょう。下記の表は、投資信託を5ヵ月間、毎月1万円ずつ購入した場合の、購入口数と購入金額です。
ドルコスト平均法を用いて5ヵ月間投資信託を購入すると、平均購入単価は次のようになります。
- 5万円÷5万4,210口=9,223円(1万口あたり)
一方、毎月同じ口数を購入すると、5ヵ月間の平均購入単価は次のように計算されます。
- (1万円+1万2,000円+1万1,000円+8,000円+7,000円)÷5万口=9,600円(1万口あたり)
上記のとおり、毎月一定額を購入するドルコスト平均法では、毎月同じ口数を購入するよりも、平均購入単価が低くなっていることがわかります。
価額が低いときに多くの口数を購入し、平均購入単価が下がると利益が出るか出ないかの分岐点である損益分岐点の引き下げにつながります。損益分岐点が下がると、価額が上昇した際に資産の回復が早くなることが期待できます。
つみたての継続と中断ではどれくらい損益に差がでる?
下記は、2019年10月から2020年8月における日経平均株価(末日終値)の推移表です。
新型コロナウイルス感染症の発生が報告された2020年1月以降、日経平均株価の指数はいったん下落しますが、約半年後の8月には、新型コロナウイルス発生前の水準にまで回復していることがわかります。
ここからは、新型コロナ感染症の発生前からつみたてを継続し、一時的な相場下落局面も継続した場合と、相場下落局面でつみたてを停止した場合、の損益の差を見てみましょう。
パターン1 | パターン2 | |
---|---|---|
取得価格 | 33万円 | 12万円 |
評価額 | 34万8,099円 | 11万9,340円 |
損益 | 1万8,099円 | -660円 |
取得価格に対する評価額の割合 | 1.05 | 0.99 |
パターン1は、2019年10月から2020年8月末まで毎月3万円ずつ、つみたてをした場合の損益です。対してパターン2は、2019年10月からつみたてを開始するも、2020年2月につみたてを停止した場合の損益を表しています。
パターン1では、投資額33万円に対して評価額が34万8,099円で1万8,099円のプラスになっています。対してパターン2では投資額12万円に対して11万9,340円、差し引き660円と、損益がプラスに転じていないことがわかります。
このように、相場の下落局面があってもつみたてを継続していると、上昇局面に変わったときにより利益が大きくなることが期待できます。
下落時につみたてを継続した人はどれくらいいるのか?アンケート調査を実施
「相場が下落しても、つみたての継続が重要」と理解していても、実際に相場が下落すると不安を感じる方もいるかもしれません。
ここでは、2022年5月に投信つみたてを行っている男女400名を対象に、相場下落局面の経験の有無や、その際に取った行動等についての調査結果を紹介します。
相場の下落局面の経験に関する調査では、「経験がある」と回答した方が70%を超えました。投信つみたての保有期間にもよりますが、中長期的なつみたての継続では、相場の下落局面を避けるのは難しいようです。
長期投資を行う際は、相場が下落したときの心構えや、資産形成の目標や計画を立てる等の事前準備をしておきましょう。
相場の下落局面を経験した方のなかで、下落局面に取った行動で最も多かったのは「何もしなかった(62.7%)」でした。
「何もしなかった」というのは、「同額のつみたてを継続した」ということになるため、多くの方がドルコスト平均法を実践できていることがわかります。
2番目に多い回答の「積立金額を増やした」という方も、ご自身の相場感から「割安な価額で購入ができる」と判断したと思われるため、ベースではドルコスト平均法を実践しているといえそうです。
一方、「積立を停止した」「積立金額を減らした」「売却した」の3つの合計は23.4%と、少数派であることがわかりました。
前問で、相場の下落局面で「何もしなかった」もしくは「つみたて金額を増やした」と回答した方に対し、その理由を尋ねた結果がこちらです。
「相場下落時に購入し続けることで相場が回復したときのリターンが大きくなるから(53.0%)」「相場が下落しているときにたくさん購入しておこうと思ったから(15.0%)」といった回答結果からも、ドルコスト平均法のメリットを十分に理解したうえでつみたてを継続していることがわかります。
上記のシミュレーションでもお伝えしたとおり、下落時こそ積み立てを継続することで、相場が上昇したときに資産の回復を期待できます。
まとめ
投信つみたては、相場が下落してもコツコツとつみたてを継続することが、安定した資産形成につながります。相場が下落して不安になったり、含み損が発生していたりしても、慌てずにつみたての継続を心がけることが大切です。
記事提供:トランス・コスモス株式会社
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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