新紙幣はいつから発行される?選ばれた人物は誰か、旧紙幣は使えるのか、くわしく解説!
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公開日:2024年1月31日
新札(新紙幣)が約20年ぶりに発行されます。発行時期は2024年7月3日を予定しており、「早く新札を見てみたい!」と楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、新札の発行が開始される時期や、描かれる人物・デザインについて解説します。新札が発行されたあとの旧紙幣の取り扱いについても紹介しますので、ぜひ紙幣が変わる際の参考にしてみてください。
- この記事の情報は2023年12月時点のものです。
目次
新札(新紙幣)の発行開始時期は
新札の発行が発表されたのは2019年4月で、それから発行や流通に関する準備が行われてきました。当初の発表では、発行開始時期は「2024年度上期」と示されていましたが、最新の発表において「2024年7月3日」に発行が開始されることが公表されています。
新札はまず日本銀行から各金融機関へ配布され、その後窓口やATMを通じて私たちの手元に届けられる仕組みです。
新札(新紙幣)に描かれる人物は
今回の新札発行では、一万円札、五千円札、千円札のすべての券種のデザインが変更されます。ここからは、新札に描かれる人物やデザインについて、券種別に紹介していきましょう。
一万円札:渋沢栄一
現在福沢諭吉の肖像が記載されている一万円札は、新たに渋沢栄一の肖像へと図柄が変更されます。
渋沢栄一は「日本近代社会の創造者」と呼ばれ、実業界で活躍した人物です。27歳のときに徳川幕府15代将軍である徳川慶喜の弟・徳川昭武に随行して欧州諸国を訪問し、近代的な社会制度を学びました。
日本へ帰国したあとは商法会所の設立を行い、明治政府では大蔵省の官僚としてさまざまな政策の立案に関わるなど、明治維新後の国づくりに大きく貢献しました。
官僚を退任したあとは、第一国立銀行や東京証券取引所、東京商法会議所などの設立に尽力し、生涯で約500社の企業に関わったとされています。
新一万円札の券面に記載される肖像は、70歳のときの写真を参考に描かれたものですが、実業界の各方面で活躍したエネルギッシュさを表現するために、60代前半をイメージして描かれているようです。
また、新一万円札の裏面は、重要文化財でもある東京駅の丸の内駅舎が描かれています。
五千円札:津田梅子
五千円札は、現在の樋口一葉から、津田梅子の肖像へと変更されます。
津田梅子は、女子英学塾(現・津田塾大学)の創設者として知られる人物です。6歳のときに「日本初の女子留学生」として岩倉使節団とともに渡米し、米国で初等中等教育を受けて17歳のときに日本へ帰国します。
その後、再度渡米を経たあとの1900年に女子英学塾を設立し、女性の地位向上と女子高等教育の普及に大きく貢献しました。
なお、新五千円札の券面に記載される肖像画は、30代の頃の写真を参考に描かれたものです。
また、新五千円札の裏面は、古事記や万葉集などに登場して古くから日本で親しまれているフジ(藤)の花が描かれます。
千円札:北里柴三郎
千円札は、現在の野口英世の肖像から、北里柴三郎へと変更されます。
北里柴三郎は、「近代日本医学の父」と称される微生物学者です。18歳のときに古城医学所兼病院(現・熊本大学医学部)にて医学の道に進み、その後、東京医学校(現・東京大学医学部)やドイツのベルリン大学で医学を学びます。
ドイツへの留学中には破傷風菌培養の成功や破傷風菌抗毒素の発見を行い、血清療法へと発展させました。日本へ帰国したあとは、伝染病研究所や慶応大学医学部の創設、日本医師会などの医学団体・病院の設立などを行い、伝染病予防や細菌学の研究に生涯を通じて従事しました。
新千円札に記載される肖像画は、学者としての地位が確立した50代の頃の写真を参考に描かれています。
また、新千円札の裏面は、浮世絵師の葛飾北斎の代表作である「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」へ変更されます。
紙幣に描かれる人物はどうやって選ばれる?
紙幣に描かれる人物は、財務省と日本銀行、国立印刷局の三者によって協議され、最終的には財務大臣が決定することが日本銀行法によって定められています。
どのような人が肖像に選ばれるか具体的な決まりはないものの、おおよそ次の条件に当てはまる人物が選定されています。
- 「教科書に載っている」など一般的に広く知られており、日本国民が世界に誇れるような人物
- なるべく精密な人物像の写真や絵画が残っている人物(偽造防止の観点から)
また、紙幣のデザインに人物の肖像画が描かれるのは、「人間の目は人の表情のわずかな違いに気付きやすい」という特性を利用しているためです。
紙幣のデザインが変更される理由
紙幣のデザインが変更されるのは、偽造紙幣が作られることを防ぐためです。デザインが変更される時期は定まっていませんが、およそ20年ごとに変更され、これまで53種類ものお札が発行されています。
新紙幣に採用される技術
今回発行される新札は、偽造を防ぐための最先端技術が多く取り入れられていることが特徴です。具体的には、次のようなものが挙げられます。
- 見る角度によって券面の肖像が回転する3Dホログラム技術
- 肖像の周囲に施される高精細なすき入れ模様
- 紙幣を傾けると数字や「NIPPON」の文字が浮かび上がる潜像模様
- カラーコピーでは再現できないほど細かいマイクロ文字
- 紫外線を当てたときに券面の一部が発光する特殊発光インキ
また、触って確認できる識別マークの位置を券種ごとに変更するなど、多くの人が紙幣を使いやすいユニバーサルデザインも導入されています。
旧紙幣は使えなくなる?
新札が発行されたあとも、旧紙幣は変わらずに使うことができます。引き続き、ATMや店頭で利用できますので、慌てて両替などに行く必要はありません。
また、新札が発行された際は、「旧紙幣が使えなくなるので回収する」といった詐欺が横行する可能性があります。詐欺については財務省からも注意喚起が行われていますので、十分注意してください。
現在も使える紙幣一覧
すでに発行が停止している紙幣でも、下記18種類の紙幣は現在も使用することができます。
分類 | 券種 | 表面の人物 | 裏面の図柄 | 発行開始日 |
---|---|---|---|---|
昭和59年発行 (D券) | 一万円券 | 福沢諭吉 | きじ | 1984年11月1日 |
五千円券 | 新渡戸稲造 | 富士山 | ||
千円券 | 夏目漱石 | 鶴 | ||
昭和32年~44年発行 (C券) | 一万円券 | 聖徳太子 | 彩紋 | 1958年12月1日 |
五千円券 | 聖徳太子 | 日本銀行 | 1957年10月1日 | |
千円券 | 伊藤博文 | 日本銀行 | 1963年11月1日 | |
五百円券 | 岩倉具視 | 富士山 | 1969年11月1日 | |
昭和25年~28年発行 (B券) | 千円券 | 聖徳太子 | 法隆寺夢殿 | 1950年1月7日 |
五百円券 | 岩倉具視 | 富士山 | 1951年4月2日 | |
百円券 | 板垣退助 | 国会議事堂 | 1953年12月1日 | |
五十円券 | 高橋是清 | 日本銀行 | 1951年12月1日 | |
昭和21年発行 (A券) | 百円券 | 聖徳太子 | - | 1946年2月25日 |
十円券 | 国会議事堂(人物なし) | - | 1946年2月25日 | |
五円券 | 彩紋模様(人物なし) | - | 1946年3月5日 | |
一円券 | 二宮尊徳 | - | 1946年3月19日 | |
昭和18年以前発行 | 一円券 | 武内宿禰 | - | 1943年12月15日 |
改造一円券 | 武内宿禰 | - | 記番号が漢字:1889年5月1日 記番号が英数字:1916年8月15日 |
|
旧一円券 | 大黒天 | - | 1885年9月8日 |
これらの紙幣は、日本銀行の本支店にて現在発行している紙幣と引き換えることが可能です。
まとめ
新札は、2024年7月3日に発行開始が予定されています。改刷が行われるのは一万円札、五千円札、千円札の三券種で、表面に描かれる人物の肖像や、裏面のデザインが大きく変更されます。
ただし、新札の発行開始後も旧紙幣が使えなくなることはありません。「旧紙幣を回収する」といった詐欺には十分注意するようにしましょう。
執筆者:椿 慧理(つばき えり)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、1種外務員資格、内部管理責任者
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、1種外務員資格、内部管理責任者
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