ROE(自己資本利益率)とは?ROAとの違いや計算式、数値の目安をわかりやすく解説
- 2026年1月27日
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この記事はこんな方におススメ!
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ROEについて基礎知識を知りたい方
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ROEで何がわかるのか気になる方
投資家が企業を評価する際に用いられる指標の1つに「ROE」があります。
この記事では、ROEの概要や計算式、数値の目安、ROEが上がる企業の特徴のほか、よく似た指標であるROAとの違いをわかりやすく解説します。
なお、記事内では2025年12月時点での情報を使用しています。
目次
ROE(自己資本利益率)とは
ROEとは「Return On Equity」の略称で、自己資本利益率のことです。ROE(自己資本利益率)とは、投資家が出資した資金(自己資本または純資産)を企業がどれくらい有効活用して収益を上げているかを表す指標です。
ROEは企業の収益性や経営効率を評価する際に用いられる重要な指標であり、投資家にとっては投資先を選ぶ判断材料として広く活用されています。
自己資本とは
自己資本とは、株主などから調達した資本金や利益剰余金などを原資とする、返済の必要がない資金のことです。
企業の財務状況を表す「貸借対照表(バランスシート)」では、「純資産の部」に計上されています。
ROEの計算式
ROEの計算式は以下のとおりです。
ROE(自己資本利益率 %)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROEが高いほど、自己資本を活用して効率良く利益を上げている企業であることを示しています。
反対に、ROEが低いほど自己資本を十分に活用できず、一般的には経営効率が良くない企業であると評価されます。
ではここで、具体例でROEを見ていきましょう。
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当期純利益が100億円、自己資本が1,000億円の場合
ROE =(100 ÷ 1,000)× 100 = 10% -
当期純利益が80億円、自己資本が500億円の場合
ROE =(80 ÷ 500)× 100 = 16%
上記の具体例によると、A社のROEは10%で、B社は16%となっています。B社の自己資本はA社の半分ではありますが、その自己資本を活用しA社の8割にあたる利益を生み出しています。
つまり、具体例の計算結果から、ROEが大きいB社のほうが自己資本を効率良く活用して利益を生み出していることがわかります。
このように、ROEの数値が大きいほど経営効率が良いと判断できますが、企業の経営状況を正しく見るには、ROEだけでなくほかの指標も併用しながら、総合的に判断することが重要です。
ROEの数値の目安と注意点
ROEは企業の収益性や経営効率を判断する指標ですが、どれくらいの数値を目安として考えれば良いのでしょうか?
ここでは、東京証券取引所が公開している2025年3月期決算企業の決算短信集計を参考に、業種別ROEの平均と、数値を見る際の注意点を解説します。
業種別ROEの平均
ROEの平均値は業種や集計時期により異なります。
東京証券取引所が公表している上場企業の「2025年3月期決算短信集計【連結】」における、主な業種別ROEの平均値は以下のとおりです。
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業種 ROE(%) 水産・農林業 10.13 鉱業 13.81 建設業 10.01 食料品 7.90 繊維製品 4.63 パルプ・紙 3.66 化学 8.07 医薬品 6.00 石油・石炭製品 6.54 ゴム製品 8.34 ガラス・土石製品 8.45 鉄鋼 6.35 非鉄金属 7.70 金属製品 6.43 機械 9.74 -
業種 ROE(%) 電気機器 9.94 輸送用機器 8.44 精密機器 10.54 その他製品 9.03 電気・ガス業 10.27 陸運業 10.20 海運業 17.16 空運業 12.87 倉庫・運輸関連業 7.34 情報・通信業 10.58 卸売業 11.74 小売業 8.86 不動産業 8.99 サービス業 8.59 -
業種 ROE(%) 銀行業 7.25 証券・商品先物取引業 9.94 保険業 13.81 その他金融業 8.87
- 数値:2025年6月6日現在、所属業種:2025年3月末現在
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東京証券取引所「2025年3月期決算短信集計【連結】」をもとに筆者作成
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/um3qrc000001kdj7-att/renketsu_goukei2025_3.pdf
上記の「2025年3月期決算短信集計」によると、全産業(2,048社、金融業を除く)のROE平均値は9.36%で、製造業(936社)の平均値は8.46%、非製造業(1,065社)は10.63%となっています(金融業を含む全社2,196社におけるROEの平均値は9.21%)。
ROEを見る際の注意点
ROEは高いほど自己資本を効率良く活用して利益を上げていることを示しますが、ROEが高いからといって、必ずしも財務的に健全な企業というわけではありません。
なぜなら、ROEの計算式には借入金などの負債が含まれていないからです。自己資本の割合が少なく、負債が多い企業は、ROEが高くなる場合があります。
また反対に、製造業などのような設備投資や研究開発など将来的な企業の成長のために投資が必要な業種は、ROEが低くなる場合がありますが、必ずしも経営効率が悪いというわけではありません。
そのため、企業の財務状況を正しく判断するにはROEだけを見るのではなく、ROA(総資産利益率)や自己資本比率、キャッシュフロー、利益成長率などほかの指標も確認することが重要です。
ROEと自己資本比率を比較
自己資本比率とは、総資本のうち返済の必要がない自己資本の占める割合を示す指標で、企業における財務の安定性や安全性を評価する際に用いられます。
よって、ROEと自己資本比率が高い企業は、収益性や財務の安定性が優れていると判断できます。
反対に、ROEが高くても自己資本比率が低い企業は、負債に依存し返済によるリスクが増すため注意が必要です。
ただし、新規事業や大型投資のタイミングなど、今後の成長に向けて借入をふやす際、場合によっては自己資本比率が一時的に低下することもあるため、ほかの指標も併せて確認しましょう。
ROEとROAの違い
ROEと似た指標に「ROA」があります。
ROAとは「Return On Assets」の略称で、ROEと同様に企業の経営効率を示す指標ですが、その内容はROEとは異なるものです。
ここではROAの概要と計算式、ROEとの違いについて解説します。
ROAとは
ROAとは総資産利益率のことで、企業が保有する総資産を活用し、どれくらい利益を生み出しているのかを示す指標です。
ROAが高い企業は、企業が資本を効率よく活用しており、収益性および経営効率が優れていると予想できます。
反対にROAが低い企業は、保有する資産に見合う利益を生み出せていない可能性がありますが、だからといって必ずしも収益が低い企業とは言い切れません。ほかの指標も併せて確認するようにしましょう。
ROAの計算式
ROAは以下の計算式で求めることができます。
ROA(総資産利益率 %)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
ROAが対象としている資産は、負債も含んだ「総資産」です。
そのため、利益がふえるとROAの数値は高くなりますが、遊休資産など利用していない資産が多い場合には、総資産がふえるためROAは低くなる場合があります。
ROAを見ることで、企業全体の資産に対する収益性や、総合的な経営効率を把握することができます。
ROEとROAの違い
ここで、ROEとROAの違いを確認しておきましょう。
| ROE(自己資本利益率) | ROA(総資産利益率) | |
|---|---|---|
| 計算式 | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 当期純利益 ÷ 総資産 × 100 |
| 活用できる点 | 株主の投資に対するリターン | 経営の効率性や財務の健全性 |
| 他社との比較 | 異なる業種間でも比較しやすい | 異業種との比較は向いていない |
| 主に重視する人 | 株主、投資家 | 経営者、金融機関 |
ROEとROAの大きな違いは、分母にあたる資本(資産)の範囲が異なる点です。ROEは返済不要の自己資本のみを対象としていますが、ROAは負債を含めた企業の総資産が対象となっています。
それぞれの特徴を理解したうえで、1つだけの指標で判断するのではなく、ROEとROAの両方を活用し、収益性や経営状況を総合的に判断することをおススメします。
ROEが上がる企業の特徴
ROEが上がる企業には、共通して以下のような特徴が見られます。
- 高い収益性を持つ(高利益率)
- 資本効率が高い(総資本回転率の向上)
- 株主還元に積極的(資本政策の最適化)
ROEを高めている企業は、株式資本の減少のほかに、当期純利益をふやす取り組みとして上記のようなアプローチを行っています。
では、具体的にどのような特徴があるのか見ていきましょう。
高い収益性を持つ(高利益率)
新規顧客の増加、市場ニーズに合った新商品・サービスの提供などで売上をふやし、さらにコストの最適化など収益をふやすための施策を効率的に行った企業は、当期純利益が上がりROEの向上につなげています。
資本効率が高い(総資本回転率の向上)
遊休資産の圧縮や適正な在庫管理などを行い、効率的に資産管理を行う企業は「総資本回転率(*)」が高くなる傾向にあります。その結果としてROEが上がります。
- 総資本回転率とは、企業が総資産をどれだけ効率的に活用しているかがわかる指標のこと。
株主還元に積極的(資本政策の最適化)
企業が株主に対する配当を強化することや、自社株買いを行うことは、株主還元の代表的な取り組みです。
配当金は、企業の内部留保である利益剰余金から支払われます。利益剰余金は純資産の構成要素の1つにあたるため、株主に対する配当金をふやせば利益剰余金が減少し、それにともない純資産(自己資本)も減少します。また、自社株買いでも純資産が減少します。
純資産が減少すると、自己資本が小さくなるため、ROEが高くなる可能性があります。
このように売上拡大やコスト削減、在庫管理の適正化、株主還元の最適化などを実施している企業はROEを高めています。
多くの企業では中期経営計画を公表しており、そのなかで資本効率の向上に向けた計画を掲載しています。また、上場企業は資本コストや株価を意識した経営(PBR改善など)の実現に向けた開示が東京証券取引所より要請されています。
ぜひ興味のある投資先の中期経営計画をチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ROE(自己資本利益率)とは、投資家が出資した資金である自己資本を企業がどれくらい有効活用して収益を上げているかを示す指標であり、投資先を選ぶ際の判断材料として重要な指標の1つとなっています。
一般的に、ROEが高い企業は自己資本を効率的に活用し、高い収益を上げていると評価できますが、単にROEの数値だけで企業を判断することはできません。ROAや自己資本比率など、ほかの指標も併せて確認しながら総合的に判断するようにしましょう。
こうした指標を踏まえて企業を選び、時間をかけて継続的に投資していくことで、より着実な資産形成につながっていくことが期待できます。
\お金をためる・ふやすには?/
執筆者:前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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(2026年1月27日現在)
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