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家を建てる費用の相場は?すでに土地あり・なしの違いや注意点もFPが解説!

家を建てる費用の相場は?すでに土地あり・なしの違いや注意点もFPが解説!
  • 2024年11月26日
注文住宅はライフスタイルに合った理想の家が建てられる反面、費用が気になる方も多いでしょう。家を建てる費用はすでに土地あり・なしで大きく変わります。どのタイミングでどのような費用がかかるのかをあらかじめ知っておくと、資金計画もスムーズになるでしょう。
この記事では、すでに土地あり・なしそれぞれの場合で家を建てる際の費用の相場や内訳、家を建てる流れ、補助金や減税制度などについてくわしく解説します。

目次

家を建てる費用の全国平均は?

近年、建築資材の値上がりや人件費の上昇などにより、家を建てる費用の相場は年々上昇傾向にあります。

また、すでに土地ありの状態で建てるのか、土地なしで建てるのかによっても大きく変わります。住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、土地ありの状態で注文住宅を建てる場合の全国平均は3,863万円です。一方、土地なしの場合は4,903万円となっており、約1,000万円もの差がありました。
さらに、都市圏か地方かといった、エリアによっても家を建てる費用は大きく異なります。以下は、エリア別、土地の購入有無別の家を建てる費用相場(平均金額)を比較した表です。
エリア 土地あり 土地なし 差額
全国平均 3,863万円 4,903万円 1,040万円
首都圏 4,195万円 5,680万円 1,485万円
近畿圏 4,142万円 5,265万円 1,123万円
東海圏 3,897万円 4,811万円 914万円
その他地域 3,625万円 4,299万円 674万円
  • 住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
    https://www.jhf.go.jp/about/research/2023.html

上記から、首都圏で土地なしの場合、5,680万円かかるのに対し、地方を中心としたその他地域では4,299万円と比較的安く抑えられています。

これから家を建てる場合、土地の有無や地域によって費用が大きく変わることを頭に入れ、慎重に計画を立てましょう。

【土地ありの状態】で家を建てる

親から土地を譲ってもらえる場合や、購入ずみの土地がある場合は、家を建てるときに土地を取得する費用がかかりません。ここでは、土地ありの状態で家を建てるケースでの、費用について見ていきましょう。

土地ありの状態で家を建てる費用の全国平均は3,863万円、三大都市圏以外の場合なら平均3,625万円

前述した住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、土地ありの状態で家を建てる場合、全国平均で3,863万円の費用がかかります。三大都市圏以外では、さらに安く3,625万円ですみます。
かかる費用のうち、借り入れの全国平均は3,164万円で、残りの699万円は自己資金から負担しています。また、土地ありの状態で家を建てた方の平均世帯年収は629.1万円、平均住宅面積は119.5平米でした。
このデータから、親の土地などに家を建てることを検討されている方は、土地購入費用がかからない分、ゆとりのある広さのマイホームに手が届く可能性があるといえるでしょう。
土地ありで家を建てる費用

土地ありの状態で家を建てる場合の費用内訳

土地ありの状態で家を建てる場合、費用は主に「本体工事費」「別途工事費」「諸経費」の3つに分けられます。
本体工事費は家の基礎工事から完成までにかかる費用のことで、一般的に建築費用の7~8割を占めます。多くの場合、工事の進捗に合わせて以下の4回のタイミングに分けて支払います。
支払時期 支払内容
契約締結時 着手金(契約金額の10%)
着工時 着工金(契約金額の30%)
上棟時 中間金(契約金額の30%)
引き渡し時 残金(契約金額の30%)
本体工事の内訳には、以下のようなものが含まれます。

  • 仮設工事
  • 基礎工事
  • 木工事
  • 屋根工事
  • 外装工事
  • 内装工事
  • 設備工事

別途工事は本体工事に含まれない、以下のような工事のことです。

  • 外構工事
  • 解体工事
  • 地盤改良工事
  • 給排水工事
  • 屋外設備工事
  • 空調設備工事
  • カーテン工事
  • 照明器具工事

諸経費は、住宅取得に関連する以下のような費用です。

  • 設計料
  • 不動産取得税
  • 登記費用(登録免許税・印紙税・司法書士報酬など)
  • 住宅ローン手数料
  • 火災保険料
  • 引っ越し費用
  • 仮住まい費用

土地ありの状態で家を建てる流れ

土地ありの状態で注文住宅を建てる流れは、一般的に以下のようになります。

  1. 予算検討
  2. 希望条件の整理
  3. 施工会社の選択
  4. 家のプランの検討
  5. 住宅ローンの事前審査
  6. 工事請負契約の締結
  7. 着工
  8. 住宅ローンの本審査と借り入れ
  9. 引き渡し

親の土地などに家を建てる場合、土地の形状や条件によって建築プランが制限される可能性があるため、早い段階で施工会社と相談し、土地に適した家づくりを進めましょう。

【土地ありの状態】贈与や相続の注意点

親や祖父母のような親族から譲られた土地に家を建てる場合、相続税や贈与税がかかるケースや、地目変更が必要となるケースなどに注意が必要です。

生前贈与を受けると贈与税がかかる

親から土地を生前贈与してもらう場合、贈与税の課税対象となります。贈与税は、暦年課税と相続時精算課税の2つの制度があり、どちらが有利かによって使い分けられます。

暦年課税

暦年課税は、1年間に受けた贈与財産の合計額から基礎控除額(年間110万円)を差し引いた金額に対して課税される制度です。基礎控除額以下の贈与であれば、贈与税はかかりません。
生前贈与のうち相続開始前3年以内に行われた贈与については、相続財産に加算して相続税を計算することになっていました(生前贈与加算)。しかし、2024年1月1日以降の贈与から、生前贈与加算の期間が3年から7年になりました。ただし、延長された4年の間に贈与された財産は、100万円まで加算されません。
暦年課税

相続時精算課税制度

相続時精算課税は、特別控除の2,500万円までは贈与税を納めず、将来相続が発生した際に、相続財産に加算して相続税として精算する制度です。2024年1月からは年間の110万円まで贈与税がかからない基礎控除が設けられ、相続発生時の精算の対象外となります。
基礎控除を除いた贈与の累計が特別控除の2,500万円を超えると、一律20%の贈与税が課税されます。この納付した贈与税相当額は、将来の相続税精算の際に控除されます。相続時精算課税制度は、贈与者と受贈者の間で一度この制度を選択すると、暦年課税には戻れない点に注意が必要です。
また、相続時精算課税を選択して贈与された土地には、「小規模宅地等の特例」が適用できなくなります。小規模宅地等の特例とは被相続人が居住や事業に使用していた土地について、相続税の計算上、評価額を最大80%減額できる制度です。特に評価額の高い宅地の相続で相続税の負担を大きく軽減できるため、相続時精算課税を選択してしまうと、将来的に不利益を被る可能性があります。
相続時精算課税

譲ってもらう土地の地目(土地の用途)に注意

親から譲ってもらう土地の地目が、住宅を建てるための宅地ではなく、田んぼや畑のような農地だった場合は、家を建てる前に農地転用の手続きが必要です。
地目とは登記簿謄本に記載されている土地の用途を示すもので、全部で23種類あります。農地を宅地などへ転用するには農業委員会を通じての都道府県知事の許可が必要で、農地の種類によっては許可されない場合もあります。
農地転用には手間と時間がかかるため、親から土地を譲ってもらう際は、事前に地目を確認し、必要に応じて早めに手続きを進めておくことが大切です。

相続した土地に家を建てる場合は相続登記と相続税に注意

2024年4月1日から、相続した不動産は3年以内に相続登記をすることが義務化されました。相続登記は、住宅ローンにも影響します。登記がなければ抵当権を設定できず、住宅ローンを借りられない可能性があるためです。
また、土地を相続すると相続税がかかる場合があります。ただし、相続財産の評価額が基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えない場合は課税されません。さらに、小規模宅地等の特例を利用すると、一定の条件を満たすと最大で評価額の80%が減額されるため、相続税の負担を大きく軽減できます。

【土地なしの状態】で家を建てる

土地を持たずに注文住宅を建てる場合、土地のある人よりも費用と時間が多くかかります。ここでは、土地なしの状態で家を建てるケースでの、費用について見ていきましょう。

土地なしで家を建てる費用の全国平均は4,903万円、首都圏の場合で平均5,680万円

住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、土地なしの状態で家を建てる場合、全国平均で4,903万円の費用がかかります。特に首都圏では5,680万円と、さらに高額になります。
かかる費用のうち、住宅ローンおよび民間金融機関や親族などからの借り入れ合計の全国平均は4,429万円で、残りの474万円は自己資金から負担しています。また、土地なしの状態で家を建てた人の平均世帯年収は704.1万円で、平均住宅面積は111.2平米でした。
土地ありの状態の場合と比較すると世帯年収は高いものの、住宅面積は狭くなっています。この理由は、土地の購入にお金がかかる分、建築費用を抑えるためと考えられます。

土地取得費の各エリア比較

土地なしの状態で家を建てる場合は、エリアごとの土地取得費に大きな差があります。住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」から、全国の主な地域の土地取得費を以下の表にまとめました。
都道府県 土地取得費
北海道 1,111万円
宮城県 1,202万円
東京都 3,825万円
新潟県 875万円
愛知県 1,874万円
大阪府 2,217万円
岡山県 1,027万円
愛媛県 1,098万円
福岡県 1,230万円
  • 住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
    https://www.jhf.go.jp/about/research/2023.html
上記から、東京都は土地取得費だけで4,000万円近くかかるのに対し、地方都市であれば1,000万円前後で土地が取得できることがわかります。

土地なしで家を建てる場合の費用内訳

土地なしの状態で家を建てる場合も、家の建築にかかる費用は土地ありの状態のケースと同様です。建築費用に加えて、土地購入費と諸費用が必要になります。
土地購入時の諸費用には、印紙税、登録免許税、仲介手数料などがあります。
印紙税 土地の売買契約書に課される税金
1,000万円〜5,000万円の土地の場合は2万円(2027年3月31日までは1万円)
登録免許税 所有権移転登記の際に国に納める税金
固定資産税評価額の2%(2026年3月31日までは固定資産税評価額の1.5%)
仲介手数料 土地を仲介した不動産会社に対して支払う手数料の上限
売買価格400万円超の場合:(土地価格 × 3%) + 6万円 + 消費税

土地と家にかける費用のバランス

土地なしの状態で家を建てる場合、土地と建物にかける費用のバランスが重要です。住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、全国平均では建物に約70%、土地に約30%の費用配分となっています。
このバランスは地域や個人の優先順位によって変わりますが、ひとつの目安として参考になるでしょう。たとえば、総予算5,000万円の場合、建物に3,500万円、土地に1,500万円程度を配分することになります。
ただし、立地重視か住宅性能重視かなど、ご自身のニーズに合わせた柔軟な調整も大切です。予算配分を慎重に検討し、理想の住まいづくりを目指しましょう。

土地なしで家を建てる流れ

一般的に、土地なしで家を建てる流れは以下のようになります。

  1. 予算検討
  2. 希望条件の整理
  3. 土地探しと施工会社選定
  4. 敷地調査・地盤調査
  5. 土地の購入・契約
  6. 家のプラン検討
  7. 住宅ローンの事前審査
  8. 工事請負契約の締結
  9. 住宅ローンの本審査と借り入れ
  10. 着工
  11. 引き渡し

土地の購入代金は、自己資金もしくは「つなぎ融資」などを利用することになります。つなぎ融資とは、住宅ローンの実行前に土地の購入代金の支払いなどのために一時的に利用するローンです。土地を購入して家を建てる場合、土地ありの状態に比べて多くの時間と資金を要し、慎重な計画が求められます。

家を建てる際の補助金や減税制度

家を建てる際の補助金や減税制度
家を建てる際、一定の条件を満たすと補助金の支給や減税を受けられる可能性があります。補助金には、全都道府県どこに住んでいても受けられる国からの補助金と、対象地域に住んでいる人だけが受けられる自治体からの補助金があります。

国による補助金(令和6年度)

令和6年度に家を建てる際に利用できる国の主な補助金制度として、「ZEH補助金」があります。この制度が活用できる場合、住宅取得の費用負担の軽減につながります。
「ZEH補助金」の概要は、以下のとおりです。
対象世帯 補助金上限額 申請期間
新築住宅を建築する個人 ZEH:55万円/戸
ZEH+:100万円/戸
単年度事業:2024年4月26日 ~ 2025年1月7日
複数年度事業:2024年11月5日 ~ 2025年1月7日

国による減税

家を建てる際には、さまざまな国の減税制度を活用できます。主な制度には、住宅ローン減税、投資型減税、固定資産税・登録免許税・不動産取得税の優遇措置、贈与税非課税措置などがあります。
制度名 概要
住宅ローン減税 借入金の年末残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から控除(最大13年間)
投資型減税 耐久性や省エネルギー性に優れた住宅を、ローンを利用せずに取得する場合の最大65万円の所得税控除
固定資産税・登録免許税・不動産取得税の優遇措置 一定の認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の新築または取得した場合、固定資産税・登録免許税・不動産取得税を優遇
贈与税非課税措置 父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築などの資金を贈与により受けた場合に一定額までの贈与につき贈与税が非課税になる

自治体による補助金

自治体によっては、住民の住宅所得を支援する補助金制度を設けている場合があります。家を建てる予定の自治体にどのような補助金制度があるか、調べてみると良いでしょう。

まとめ

建築・費用の両方のプランニングで理想の家づくりを
注文住宅を建てる場合、間取りなどの建築のプランニングと、資金のプランニングの両方が重要です。検討段階から完成した家に入居するまでには時間もかかるため、希望する入居時期から逆算して早めに計画を立てましょう。
その際、準備できる自己資金の額や無理なく支払える住宅ローンの借入金額に合わせ、土地代や建築費の予算を考える必要があります。家族でよく話し合い、理想の家づくりを進めていきましょう。
執筆者:松田 聡子(まつだ さとこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、DCアドバイザー、二種外務員資格
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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