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起業するにはまず何をする?必要な手続きや手順について解説

失敗しない起業を実現するためには、適切な手順で手続きを進めていくことが重要です。

本記事では、起業時の具体的な手順や必要となる手続きとあわせて、失敗を防ぐためのポイントについて解説します。

起業するまでの手順

起業するまでに必要な手順は以下のとおりです。

 

  1. 事業領域の決定
  2. 起業する形態を決める
  3. 必要な資金を調達する
  4. 開業や法人設立に必要な手続きをおこなう


まずは、それぞれの手順について解説していきます。

事業領域の決定

どの領域で事業を始めるか決めておかなければ、起業の準備が進められません。

そのため、まずは事業領域を決定します。

 

具体的に事業領域が決まっていない場合は、自身の経験を活かして事業が進められないか検討しましょう。これまでの知識や技能が活かせるため、市場動向や競合の調査・分析も行いやすくなります。

起業する形態を決める

起業する際は、個人事業主と法人のどちらかで起業する方法が一般的です。また法人として起業する際は、フランチャイズに加盟して起業する方法もあります。

 

必要な手続きや初期費用など、それぞれの形態に特徴があるため、メリット・デメリットを知ったうえで自身の目的に合った起業形態を決めるといいでしょう。

「個人事業主」「法人」「フランチャイズ」起業形態ごとの違い

初期費用をかけずにスモールスタートで事業を始めたい場合は、個人事業主としての起業をおすすめします。法人を設立する形での起業は、一定の費用が発生するため、スモールスタートに向いていません。

 

起業経験がない場合や資金が十分でない場合は個人事業主から起業し、事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人を立ち上げるといった選択肢もあります。

 

一方で積極的に事業を拡大していきたい場合は、法人を設立しての起業が適していると考えられます。

ある程度の初期費用は必要になりますが、資金調達の可能性も広がり、従業員を雇用した大規模な事業が進めやすくなります。

 

法人で起業する場合は自身で事業を立ち上げるほか、業種によってはフランチャイズに加盟して起業する方法もあります。フランチャイズに加盟しての起業であれば、ブランドが持つ集客力を活かせる可能性があるほか、すでにマニュアルが用意されていることが多いため従業員への研修が行いやすいメリットがあります。

 

ただしフランチャイズでは、事業から撤退する際、契約によっては違約金が発生する場合があります。契約内容については、最低契約期間やロイヤリティーなど、事業を進めるうえで重要な契約事項についてはしっかりと確認しておくようにしましょう。

「株式会社」「合同会社」との違い

法人を設立する場合は、株式会社と持ち分会社のうちどちらかの形態を選んで設立する方法が挙げられます。どちらの形態が自分に合っているのか迷った場合には、設立時の手続きや必要な費用、メリット・デメリットを踏まえたうえで、起業形態を決めるといいでしょう。こちらでは株式会社と持ち分会社の内、合同会社との違いについて見ていきます。

 

株式会社と合同会社の違いは以下のとおりです。

  株式会社 合同会社
会社の所有者 株主 各社員

会社の代表者

代表取締役 代表社員
意思決定 株主総会 社員総会
利益配分 出資割合による 定款で規定できる
設立にかかる費用 20〜25万円程度 5〜10万円程度

株主から出資を受けて設立する法人が「株式会社」、社員がそれぞれ費用を出し合って設立する法人が「合同会社」です。

 

株式会社は、株式発行により資金を調達できるメリットがあります。ただし、出資者である株主に意思決定権があるため、経営の自由度が制限されてしまうデメリットがあります。

 

一方、合同会社では各社員に意思決定権があるため、株式会社よりも自由な経営を行えるメリットがあります。ただし資金調達の方法が限定的である点や、出資者(各社員)が対立すると経営に関わる意思決定が遅れる点に注意が必要です。

必要な資金を調達する

起業する事業領域や形態が決まったら、資金調達の準備を始めます。必要な資金額は業種や規模、店舗・事務所の有無などによって異なるため、資金調達を始める前に明確化しておくことをおすすめします。

 

主な資金調達の方法は以下のとおりです。

 

  • 自己資金を資本にする
  • 出資を受ける
  • 金融機関から融資を受ける

自己資金を資本にする

出資や融資を受ける前に、自己資金を準備しておきましょう。準備する方法の例には、貯蓄などにより準備した自己資金を資本として、事業をスタートさせる方法が挙げられます。自己資金は平均として、必要な資金額のうち2割程度を準備しているという統計があります。

 

自己資金を資本にするメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 返済や金利負担が必要ない
  • 経営権が保持できる
  • 十分な資金の用意が難しい
  • 事業が小規模になる可能性がある
自己資金を資本にすることで返済や金利負担がないこと、経営権が保持できることがメリットとして挙げられます。ただし自己資金の準備には限界があるため、事業が小規模になる可能性がある点に注意しましょう。

出資を受ける

投資家や友人・知人などから出資を受ける方法です。

 

出資を受けるメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 返済不要で資金調達ができる
  • 担保や保証人が必要ない
  • 出資者にいつでも相談ができる
  • 出資比率に注意する必要がある
  • 経営の自由度が低くなる
融資ではなく出資であるため、返済義務のない資金を調達できることが大きなメリットです。ただし外部から出資を受ける性質上、出資を多く受けすぎると会社の経営権を保持できなくなる可能性に留意しましょう。

金融機関から融資を受ける

金融機関からの融資により資金を調達する方法です。自己資金とあわせて融資により資金調達をする方法が一般的で、資金調達額のうち7割程度を融資により準備しているという統計もあります。

 

融資を利用して資金調達するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 経営の自由度が保持できる
  • 配当金の支払いが不要
  • 多額の資金が準備できる可能性がある
  • 返済の義務が生じる
  • 審査が必要(十分な資金を調達できない可能性がある)
融資を受ける場合は出資比率などを意識する必要がないため、経営の自由度を保持したまま資金を調達することができます。

公的機関の補助金・助成金制度を活用する

国や地方自治体では、起業家を対象として補助金・助成金の交付を行っています。補助金・助成金の制度名は実施しているところにより異なりますが、多くの場合「創業支援補助金」といった名称で実施されています。事業が制度の要件に合致するかを確認して、交付を受けられそうであれば申請するといいでしょう。

開業や法人設立に必要な手続きをおこなう

ここからは、開業や法人設立に必要な手続きについて解説していきます。個人事業主として開業する場合と、法人を設立する場合とでは必要な手続きが大きく異なるため、どういった形態で起業するかを事前に決めておくことをおすすめします。

個人事業主として開業する際に必要な手続き

個人事業主として開業する場合、開業自体は税務署へ開業届を提出するだけで手続きが完了します。その他、税務申告用の書類などは必要に応じて提出が必要になります。

開業届を提出する際には屋号を記入する必要があるため、事前に考えておきましょう。

法人を設立する際に必要な手続き

法人を設立する場合は個人事業主として開業する場合よりも、複雑な手続きが必要となります。また起業形態や業種などにより手続きの内容が異なるため、ここでは株式会社を設立する場合の手続きを例として解説します。

 

法人を設立する際の主な手続きは以下のとおりです。

 

  1. 設立する法人の形態を決定する
  2. 会社名(商号)を決定する
  3. 定款を作成し認証を受ける
  4. 法人の印鑑を作成する
  5. 役員報酬を決定する
  6. 資本金の払込を行う
  7. 登記書類を作成して申請手続きを行う
  8. 法人設立届けを法人設立後2カ月以内に提出する

 

法人を設立する場合は手続きが複雑になるため、起業に詳しい専門家などからアドバイスを受けて準備を進めるといいでしょう。

法人が設立できると法人口座が開設できるようになります。法人口座を開設すると個人の財産と分けて管理ができるため法人口座開設の準備を進めておくと良いでしょう。

失敗しない起業を実現するために必要なもの

失敗しない起業を実現するためには以下のようなものがポイントになります。

 

  • 経営資源を確保する
  • マーケティング以外に経理や経営に関するスキルを習得する
  • コストを抑えながらスモールスタートで経営していく

経営資源を確保する

経営資源とは、事業を進めていくために必要な人材や、資金などのリソースのことです。

最近では「時間」や「知的財産」も経営資源だといわれています。

 

経営資源が確保できていなくても、起業自体は可能です。しかし事業体制を強化するためには、経営資源を揃えておくことが大切になります。

 

起業するためにはまず資金調達が必要になりますが、それ以外にもメンバーやスキル、オフィス等も必要になります。事業体制を強化するためには多くのリソースが必要になるため、どういった方法により経営資源を確保するか検討しておくといいでしょう。

マーケティング以外に経理や経営に関する知識を習得する

事業を進めるうえではマーケティングの知識はもちろん、経理や経営に関するスキルも習得する必要があります。マーケティングに関する知識があれば、商品やサービスが売れる仕組みを構築することができます。しかし経理の知識がなければ会社の財務状況が把握できず、経営の知識がなければ事業を続けていくことが難しくなってしまいます。

 

いずれも起業に欠かせない知識であるため、代表者として習得しておけば役立つ場面が来るのではないでしょうか。場合によっては、経理や経営に詳しい人材を登用する方法も考えられます。

コストを抑えながらスモールスタートで経営していく

事業が軌道に乗るまでは、コストを抑えながらスモールスタートで経営していくことを意識しましょう。初期投資が大きすぎると回収が難しくなってしまうだけでなく、事業から撤退するタイミングを見誤ってしまう可能性があるからです。

 

店舗の内装費や人件費などのコストを抑えながら経営状況を分析して、リスクヘッジをしながら事業を軌道に乗せていくことが大切です。

まとめ

起業する際は、さまざまな準備が必要になります。

個人事業主としての開業も方法の1つですが、積極的に事業を拡大していきたい場合は、法人として起業する方法も有効だと考えられています。

 

これから資金調達を検討する場合は、法人口座開設に向けた準備から進めておくと良いでしょう。

制作日:2023年3月

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※記事は外部有識者の方等にも執筆いただいておりますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当行の見解等を示すものではありません。

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