“文書作成・レビュー時間をAIにより半減”オンラインエディタで効率的な文書作成・レビューを実現
三菱UFJ銀行が主催するビジネスコンテスト「第8回Rise Up Festa」の「デジタルトランスフォーメーション(DX)促進」分野において最優秀企業に選ばれたのは、FRAIM株式会社です。「【文書作成・レビュー時間をAIにより半減】効率的な文書作成・レビューを実現する、データベース機能を有したAI搭載オンラインエディタの開発・提供」について、同社代表取締役社長・堀口圭氏にお話を伺いました。
IDCのレポートによれば、企業内で発生する「個人による文書作成・管理」は週11.2時間、「共同による文書のレビュー・承認」は週12.2時間だそうです。一般的な動労時間「8時間労働×週5日=40時間」の枠組みで考えれば、ホワイトカラーによる労働時間の半分以上にあたる実に「週23.4時間」が文書関連業務に割かれているという計算です。
その背景を紐解いてみると、多くの文書関連業務には「膨大なリサーチ時間(目的の文書を探すこと自体に時間がかかる)」「文書編集の非効率性(体裁の補正等、編集自体で時間が浪費されている)」「ナレッジの属人化・散逸(過去のやり取りがバラバラに保存され、見つからない)」といった課題が潜在化しています。
それらの多くはツール面に起因しており、文書の作成者とレビュワーの間を行き来する一般的ワークフローを考えてみても、作成者とレビュワーの各人がフォルダで管理・共有を行いながら、文書作成ソフト・メール・チャットツール等々バラバラのアプリをそのたび立ち上げる……など、どう見ても非効率な作業です。
LAWGUEはクラウド型のオンラインエディタです。自社ナレッジのデータベース化を基盤に、各人がドラフティング(ひな形・過去文書の活用)・レビュー(過去ナレッジの参照)・文書編集(過去文書の引用)を同一プラットフォーム内でシームレスに行える機能を備えており「参考文例を2秒で発見」「体裁を直すスピードは人の10倍」「過去の議論も一言一句すべて記憶」という特徴を有します。
具体的には、1.「見つからない」から「見つけてくれる」に(AIが自動的に類似文書や条項等をサジェスト)、2.「非効率な作業」の徹底排除(クラウド上での編集による自動的体裁補正)、3.「見える化」されたノウハウ・ナレッジ(これまでのやりとりを文書・条項単位ですぐに確認)——という3つの時短効果をもたらし、それら3つの時短効果が「膨大なリサーチ時間」「文書編集の非効率性」「ナレッジの属人化・散逸」をそれぞれ解決します。
さまざまな社会構造の変化から優秀な人材を獲得しにくい昨今、企業における労働生産性向上は至上命題です。「システムに頼れるところは頼り、人1人を採用する分だけの労働生産性を確保していただきたい」——そのような思いから「採用するなら、追加人員よりLAWGUE」というサービスコンセプトを掲げました。
きっかけは自分自身の実体験からでした。私は大学在学中に司法試験に合格し外資系の法律事務所の東京拠点に入所したのですが、グローバルな事務所であっても契約書やレポートなどの文書作成・レビュー周りの作業フローはなお非常に煩雑で、その経験から課題感が芽生えました。同様の文書関連業務の課題は業種を問わず普遍的に存在するものであると気づき、LAWGUE開発を発起しました。
当社の提供サービスで「業務の枠組みを作りたい」——。そこで新社名は「枠組み」を意味する“Frame”に、LAWGUEのコアテクノロジーとなる“AI”を組み合わせました。なお社名変更に伴う新スローガンは「文書作成を、再発明する。」です。長らくビジネス領域のレガシーとして常態化してきた、特定の文書作成ソフト中心のドキュメント作成・編集を国産オンラインエディタへと置き換え「次なる文書体験を開発したい」と考えています。
はい。LAWGUEはもともと契約書・規程・開示文書など法務領域の文書関連業務にフォーカスした、いわゆる“リーガルテック”の1つとして認知されていましたが、昨今は法務関連の契約書だけではなく、人事・総務、財務・経理、経営管理、事業部門等々で使われる文書類型に対応できるようバージョンアップしています。実際に多様な規模・属性の企業様・自治体様に導入いただいている点が我々の強みです。
私自身が東京大学出身ということもあり前のオフィスは本郷三丁目にあったのですが、会社設立当初から東大発ベンチャーを含め広く見られている本郷支店の方に当社のビジネスに興味を持っていただきました。そのため三菱UFJ銀行とは比較的早い段階からビジネス紹介、資金的な部分などの面でお付き合いしており、そのお付き合いのなかで“MUFG各社からの厚いサポート”も受けられるプログラムとしてRise Up Festaを紹介いただきました。
募集要項にある通り「情報発信、ビジネスパートナー獲得の機会」「ビジネスプランの高度化(ブラッシュアップ)の機会」だけではなく「継続的なMUFG事業成長支援サポートメニュー」が充実していました。実はこうしたビジネスコンテストやアクセラレータープログラムに参加した経験がほとんどなく、正直不安な面もあったのですが、単に「ビジネスプランを発表して終わり」ではない、継続的な発展が期待できるプログラムだと思います。
同じ金融機関でも、例えばベンチャーキャピタルの方だったり、あるいはIPOに詳しい方だったり、実に多様なバックグラウンドをお持ちで心強かったです。プレゼンの仕方1つとってもこれまで十分意識的に取り組んできたつもりでしたが「より広範なお客様・ステークホルダーに自社ビジネスの魅力を伝えるためにはどうしたらよいのか」など、メンターの皆さんからのアドバイスは非常に勉強になりました。
日本企業の文書作成・管理ツールはかなり大部分のところが特定企業のソフトウェアに依存していたかと思いますが「文書作成を、再発明する。」のスローガンのもと展開するLAWGUEにはビジネスエディタとしての優位性があると自負しています。文書作成ソフト、表計算ソフト、メールなどで使い分けてきた文書作成・管理の商習慣を変えるため、今後も少数精鋭で自社開発の独自技術をアップデートさせながら、各分野でのパートナーシップも視野に入れつつ活動していきたいです。