今後の見通しは大きく分けて3つあります。
1つ目はオフラインの消費領域への進出です。現在はスマホアプリとWebサービスをメインで守っていますが、オンラインの取引が16兆円のマーケットであるのに対し、オフラインの消費は300兆円にものぼります。ここにキャッシュレス決済やアプリが台頭してくると非実在の人物やなりすましが跋扈(ばっこ)するようになりますので、今後は対象領域としていきたいですね。
2つ目は自動車業界への参入です。2020年以降、世界で市場に出荷される新車の60%がコネクテッドカー(ICT機能を搭載した車)になると予想されています。これらがサブスクリプション(定額制)サービスによって複数人でシェアされるようになると、オーナーとドライバーが一致しない、オーナーに対して複数のドライバーがいるといった状況になりえます。誰が乗っているかわからない、という状態を防ぐために、運転の挙動から本人を特定しようというビジネスをしたいと考えています。現在ではトヨタネクストに採択後、運転の“本人らしさ”の特定プロジェクトを進めております。
3つ目は認証精度の向上です。
セブン銀行様と行った実証実験では、関西電力様の設備情報を利活用し、不正な口座開設を未然に防ぐという取り組みをしております。こちらは、経済産業省の新制度、
「新技術等実証制度」に認定されて、3月から6月まで実証しております。当社が持つ不正アクセス検知の技術に加え、開設申し込みをした住所が実際にその人のものなのか、という観点からリスク検知を行いました。こうした、消費者の個人情報を保有しているライフライン系の会社と我々の技術を掛け算することで、なりすましを検知する精度も上げられると考えています。