【第2回 親族外承継インタビュー】
事業承継から成長戦略まで 三菱UFJ銀行が支える多様なM&Aのカタチ
三菱UFJ銀行のM&Aサービスは、M&A戦略室と財務開発室という2つの部署が協働して提供する体制になっています。まず、お客さまが検討しているM&Aを成功に導くため、事業・資本戦略などに関するディスカッションパートナーを務めるのがM&A戦略室です。そして、M&Aを実行するフェーズを担当するのが財務開発室で、個々のお客さまにとって最適な譲渡先・買収先の候補を選定し、成約に至るまで伴走します。
三菱UFJ銀行によるM&Aサービスの特徴や強み、M&A戦略室と財務開発室がそれぞれ果たす具体的な役割などについて、両部署の室長から話を聞きました。
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M&A戦略室と財務開発室、それぞれの役割
―M&A戦略室とは、どのような役割を担う部署で、どういった体制でサービスを展開しているのでしょうか?
小林 事業承継や事業戦略を実現するためのM&Aを成功に導くため、最初の窓口としてディスカッションパートナーを務めるのが役割です。後継者がおらず自分の会社を第三者に譲りたいというお客さまや、事業の多角化を進めたいというお客さまなどのご要望に対し、資本・事業戦略に関する議論を重ねながら、最適な相手の候補を探すサポートを行っています。そして、実際にM&Aを実行するプロセスに移行する際には、財務開発室へバトンタッチします。
M&A戦略室は東京・名古屋・大阪に拠点を構え、総勢約50名の体制でサービスを展開しています。三菱UFJ銀行の各支店と取引があるお客さまを担当するチームと、特定の業種に関する豊富な知見を有する人材が所属するチームに分かれており、互いに密接なコミュニケーションを交わすことによって、お客さまに最適な情報を提供できる体制を整えています。
―財務開発室が担う役割と担当する実務、サービスの提供体制について教えてください。
石鍋 M&A戦略室がお客さまと交わした議論の内容を踏まえ、フィナンシャル・アドバイザーとしてM&Aを成立へと導いていくのが財務開発室の役割です。多くのお客さまにとってM&Aは初めての取り組みで、実行に移すフェーズに入っても、何から着手すればいいのかわからず、戸惑うケースが大半かと思われます。そこで、財務開発室では相手方への打診・情報開示、取引価格(株価)を含めた条件交渉、デュー・ディリジェンスと呼ばれる会計士や弁護士が行う企業精査のサポート、弁護士と協働して最終的に条件を取りまとめる契約書のアドバイスなど、M&Aが無事に成約へと至るまでお客さまの隣で伴走しながら、きめ細やかなサポートを行っています。
財務開発室は総勢約90名の体制で、国内は東京・名古屋・大阪の拠点に加え、大企業・上場企業を専任とする営業本部チーム、海外案件を扱うクロスボーダーチーム、企画管理チームによって構成されています。海外では、ニューヨーク・シンガポール・ロンドン・香港の4拠点に人員を配置し、東京のクロスボーダーチームと連携して海外案件にも対応しています。
三菱UFJ銀行が展開するM&Aサービスの特徴と強み
―三菱UFJ銀行のM&Aサービスの特徴としては、具体的にどのようなことが挙げられますか?
小林 会社を第三者に譲渡することを検討しているお客さまに対しては、最適な相手企業を探し出すことが最も重要になります。その点、当行は各店舗を通じて数多くのお客さまと長年にわたるお取引を続けています。それぞれのお客さまが強みとしているポイントや、属している業界内におけるポジショニングなども深く理解しています。
日頃から密接なお付き合いを続け、言わばビジネスパートナーとして信頼していただいている関係であるからこそ、お客さまから打ち明けていただける相談事もあるでしょう。こうした深い顧客理解と厚い信頼関係を基盤に、お客さまにとって本当にふさわしい譲渡先を提案できることは、当行におけるM&Aサービスの特徴であり、大きな強みであると言えます。
全国の支店や営業本部からの情報と特定の業種に関する深い知見を活用し、お客さまの事業戦略などについてくわしく伺ったうえで、適切な相手を選び抜いて提案しています。漠然と事業承継について心配しているお客さまも多く、我々が譲渡先の候補を具体的に提示したことが契機となり、M&Aについて真剣に考えるようになるケースも見受けられます。
石鍋 銀行のお客さまは、中堅中小企業から上場企業やグローバル展開する大企業まで幅広く多様です。それ故、幅広いお客さまの多様なニーズに対してM&Aサービスを提供していることが特徴です。事業承継に悩むオーナー企業の譲渡を支援することだったり、大企業の成長を求めた買収案件だったり、最近は大きなトレンドとなっている上場企業のTOB(株式公開買付け)や非公開化にも対応しています。
このようなM&Aを支援するなかで、銀行のさまざまなサービスを提供できることも強みとして挙げられます。具体的には、オーナーさまには譲渡後における資産運用のサポート、買収を検討しているお客さまには買収資金のご支援、クロスボーダー案件であれば海外送金にも対応しています。M&Aを起点に派生するニーズに銀行として多くのサポートができることも、大きな特徴だと考えています。
また、MUFGのグループ内には銀行だけにとどまらず、証券や信託、コンサルティングなど、多様な分野で高い実績を獲得してきたグループ企業が多数存在しています。銀行を起点に、グループ各社のサービスをご紹介することも可能です。たとえば、上場企業におけるTOBでは、証券会社が公開買付代理人を担う必要があり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券会社と連携して対応しています。
M&A後の統合(PMI)支援などのニーズに対しては、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの紹介が可能です。
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日本国内におけるM&Aの実情、多くの経営者が直面している課題
―実際、日本国内でM&Aはどの程度活発なのでしょうか?多くの経営者はどういった課題と直面しているのでしょうか?
小林 メディアで報道されているように、M&Aは非常に増加しており、2024年の成約件数は過去20年間で最多を記録しました。当行に寄せられる相談は、後継者不在に悩むお客さまの事業承継に関するM&Aと、上場企業のお客さまの事業拡大を目的としたM&Aが中心となっています。また、海外進出を図るクロスボーダーのM&Aや、生き残りをかけた業界再編などの相談もふえています。
石鍋 中堅・中小企業のオーナーさまでは、M&Aによる第三者への譲渡の判断に至る前に、事業承継の選択肢として親族承継なのか、役職員への承継なのか、はたまた第三者への譲渡なのか等を、支店と専門部署が一体となってお客さまの悩みに寄り添って考えていきます。
大企業であれば成長戦略の一環としてM&Aを位置付けていることから、成長戦略を理解した上で、どのような会社を買収すべきかをディスカッションしていくことが重要になります。また、上場企業であれば、資本市場の変化やアクティビストの介在等、上場企業各社によって置かれている状況はさまざまです。「現状の上場維持が最適か」という議論から、非公開化の検討の相談を受けることもあります。
―最近寄せられるM&Aに関する相談には、どのような特徴が伺えますか?
小林 一般的には、経営者の高齢化にともなって事業承継を検討し始めるというケースが主流です。しかしながら、最近は40代や50代のオーナーさまからご相談をいただくケースが増加していると感じています。その理由はさまざまで、たとえばあるお客さまは、経営者として社内に残ることを前提にしながらも、事業環境の急激な変化に対応するためにM&Aで大手の傘下に入ることを検討していました。
また、自分自身は親から家業を承継したものの、我が子にはバトンを渡すつもりがなく、家業を信頼できるパートナーに託す判断をなさるお客さまもいらっしゃいました。家業は親族で守るもの、という価値観は変化しつつあり、事業と雇用を維持するための選択肢としてのM&Aは一般的で有効な手段になっています。他にも、セカンドキャリアを見据えて現在経営している会社を譲渡し、新しい会社を興そうとしているお客さまなど、M&Aに関するニーズも多様化しています。
―事業承継を目的としたM&Aにおいて、最近の具体的な事例を教えていただけますか?
石鍋 最近成約した事例で印象に残っているのは、40代半ばのタイミングで投資ファンドに株式を譲渡されたオーナーさまです。もともとアルバイトとしてその会社で働き始めて頭角を現し、同社が業績不振に陥った局面で当時のオーナー社長に直談判して経営を引き継ぎました。そして、見事にV字回復の成長を成し遂げたのですが、さらなる会社の発展を遂げるためには、ファンドによる出資が不可欠だと判断し、譲渡を決断されました。
最近は若いオーナー社長さまでも会社の更なる発展を考え、株式を譲渡する、攻めの企業売却も中堅中小企業のM&Aの特徴の一つだと思います。先ほどのオーナーさまは、株式譲渡後も社長として引き続き経営に携わっており、先日お会いした際には、「PEファンドの担当者とは本音で経営について語り合える関係を構築できており、会社がこれからどのように発展していくのかが非常に楽しみだ」とおっしゃっていました。
―ちなみに、M&Aの仲介を手掛ける会社もありますが、銀行ではそういったサービスを行っていないのでしょうか?
石鍋 当行ではアドバイザリーサービスを提供するお客さまに対する信任義務を重視しており、基本的にM&Aの仲介業務は行っていません。その結果として、売り手か買い手のいずれか一方のアドバイザーとして、お客さまの利益を追求したアドバイスを提供できることが仲介業務との大きな違いと考えています。
小林 ご相談内容によっては仲介で対応するほうが適しているケースもあります。そこで、当行ではM&A仲介サービスを提供する企業とも提携しており、お客さまのニーズに応じてご紹介することも可能です。
―最後に、事業承継問題に直面している読者に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
小林 多くのお客さまにとって、M&Aは「一生に一度」とも言える大きな決断になるかと思われます。そのように重大なことを安心して相談できる相手として、業界に対する深い理解や信頼関係のある銀行が適しているのではないかと自負しております。これまでの取引はもちろん、事業承継に関する悩みはもとより、さまざまなM&Aに関するお手伝いを行っておりますので、気軽に相談していただけますと幸いです。
石鍋 私が30歳くらいのときに、あるオーナーさまに言われたことがあります。「君にとっては一つの話しに過ぎないと思うが、私にとっては一世一代の大勝負なんだ」と。その通りだと思います。それ故、我々も並々ならぬ緊張感をもって一人ひとりのお客さまに向き合っています。サービスの提供を通じてお客さまの人生に貢献するのだという想いを、M&Aに関わるすべての行員が共有していると思います。事業承継やM&Aについて、少しでも気になることやご相談事がございましたら、遠慮なく三菱UFJ銀行にお声がけください。
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小林 浩株式会社三菱UFJ銀行
コーポレート情報営業部
M&A戦略室長2000年東京大学法学部卒業。国内支店の中小企業担当を経て、銀行本部やグループ証券会社においてシンジケートローン、M&Aアドバイザリー、不動産ファイナンスなどの専門業務に11年間従事。2013年に自社の海外銀行買収プロジェクトに参画したのち、ニューヨーク支店及び営業本部において日系大企業向け営業を担当。2024年4月にM&A戦略室長に就任し、これまでの経験を活かして顧客企業の資本・事業戦略実現をサポート。
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石鍋 健株式会社三菱UFJ銀行
コーポレート情報営業部
財務開発室長
1997年慶應義塾大学経済学部卒業。三菱UFJ銀行入行以来、銀行および証券において通算25年間M&Aアドバイザリー業務に従事。上場企業の経営統合やTOBから、大企業のカーブアウトや事業承継型のM&Aまで、幅広く多数の案件をサポート。2018年5月に銀行の財務開発室次長、2023年4月より財務開発室長となり、銀行におけるM&Aアドバイザリーの責任者として業務全体を統括。
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- 記事内容・所属はインタビュー時(2025年9月時点)のものです。
- 本ページの内容は、MUFGウェルスマネジメントで提供するサービス概要の紹介を目的としたものであり、各商品・サービスの勧誘および提案を目的としたものではありません。
(2025年11月28日現在)
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