プロボノとは? 専門スキルを社会貢献に活かすメリットや参加方法を解説
「プロボノ」という言葉をご存じでしょうか?専門的なスキルや知見を、無償で社会に役立てる活動として、今、多くのビジネスパーソンや企業がプロボノに注目しています。ボランティアの一種でありながら、キャリア形成や企業の人材戦略にも活かせる社会貢献活動です。本記事では、プロボノの意味や背景から、実際の活動事例、参加方法までをわかりやすく解説します。
プロボノとは何か 語源や定義
プロボノとは、職業上の専門的なスキルや経験を社会的・公共的目的のために活かす社会貢献活動のことをいいます。ラテン語の「Pro bono publico(公共善のために)」を語源としています。
プロボノとボランティアはどちらも自発的な社会貢献活動であり、基本的に無償で行われ、「公共の利益」に資する点は共通しています。 プロボノの特徴は「職業上のスキルや経験を活かして」社会課題に取り組むことです。
プロボノの歴史的背景
プロボノは1980年代に、米国で弁護士など法律の専門家の活動として広まりました。
その後2000年代に入ると、法務に限定せず多様なビジネスに関わる経験やスキルを活かした活動が世界各地で行われるようになり、プロボノの価値が広く認知されるようになりました。
日本でも徐々に参加者がふえており、近年ではIT・デザイン・金融など多様な業種による参加が進んでいます。
プロボノ登録者数の推移
出典:認定NPO法人サービスグラント公式サイト
- グラフ内の「前年」は2023年度を指す
認定NPO法人サービスグラントによると、同法人が運営する社会参加プラットフォーム「GRANT」におけるプロボノの登録者数は年々右肩上がりで増加しています。2024年度には、プロボノ登録(チーム型支援/5人前後のチームを組んで支援)とGRANT登録(個人型支援/主に個人とのマッチングでタイムリーなニーズに応える)を合わせた登録者数が約1万人までふえました。
また、登録者とNPO等の課題解決プロジェクトをつなぐGRANTコーディネーターも2024年度は80組織までふえています。
自身のスキルを活かして参加できるプロボノの社会的注目が高まっていることが、これらのデータからも明らかになっています。
プロボノの意義とメリット
近年、プロボノは個人の参加者や企業の社員が、職業上得た経験やスキルを使って、非営利活動団体(NPO)を支援する形が主流となっています。
プロボノは単にNPOなどの課題解決に役立つだけでなく、個人や企業にとっても活動によって得るものが多くあります。
以下では、プロボノ活動におけるメリットを紹介します。
メリット1:NPO側の人材不足に対応できる
出典:内閣府「令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」
内閣府が行った「令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」によると、NPO法人が抱えている課題で最も多いのが「人材の確保や教育」で6割以上を占めています。
NPOが抱える人材不足に対して、次章で紹介する事例にあるように、大手企業がプロボノ活動としてさまざまな支援活動を行っています。大手企業の豊富な人材や技術力を活用して行われる支援は、NPOにとって大きな助けになるでしょう。
メリット2:参加者のキャリア・人脈形成に役立つ
参加者にとって、プロボノは職種を問わず、キャリアの構築や人脈の形成に役立ちます。プロジェクトに参加して一定の成果をあげれば自分のキャリアにプラスになるだけでなく、プロボノ活動を通じて新たな領域の知見や人脈を形成することもできます。参加者自身が得るものも多く、プロボノ活動にはお金に代えられないメリットがあるのです。
また、企業の社員にとっては満足感が得られ、場合によっては社内評価制度で加点されるなどのメリットもあります。
メリット3:企業価値が向上する
企業は利益追求だけでなく、自社の企業活動が社会に与える影響にも責任を持つことが求められます。プロボノを通じて社会貢献することによって、CSR(企業の社会的責任)の一助となるだけでなく、企業価値の向上にもつながります。
さらに、従業員エンゲージメント(自社への信頼や貢献意欲)の向上にも役立つため、NPOや参加者だけでなく、企業にとってもメリットが多い活動といえます。
企業によるプロボノの実例3選
ここでは、大手企業による具体的なプロボノの事例を紹介します。具体的な活動内容を知ることにより、プロボノがNPOや地域団体にどのように役立っているかがわかります。
実例1:パナソニックホールディングス株式会社によるNPO法人への広報活動支援
パナソニックホールディングス株式会社は、NPO法人イカオアコの広報活動を支援しました。同法人は日本人とフィリピン人の協働による持続可能な社会をめざして活動するNPOで、主にフィリピンでのマングローブの植林活動や、日本とフィリピンをつなぐ事業としてスタディーツアーやボランティアの受け入れなどを行いました。
これまで日本に向けた情報発信が課題でしたが、パナソニックが広報活動に関する事業計画を立案する支援を行っています。
実例2:日本電気株式会社(NEC)による子ども食堂のプログラミング体験支援
日本電気株式会社(NEC)は、本社所在地の東京都港区にてNPO法人みなと子ども食堂と連携し、利用者の子どもを対象にプログラミング教室を開いています。これは同社グループ社員によるプロボノの取り組みです。
NECでは開催の目的として、各家庭に経済格差があることから、体験格差をなくすことをめざすと開催の意義を語っています。
実例3:富士通株式会社によるNPO法人のSDGs達成に向けた支援
富士通株式会社は、認定NPO法人自然再生センターが達成をめざすSDGs事業を支援しました。同センターではSDGs(持続可能な開発目標)における17の目標のうち、7つの関連事業を行っています。
富士通プロボノ部は同センターの依頼を受けて、2023年1~4月に有志の社員がセンターと共同でプロボノ活動を行いました。富士通は成果物として「SDGs達成に向けた企業とNPOの連携、未来への道」という報告書を納品しています。
プロボノ参加の流れと注意点
プロボノは一定のステップを踏んで参加する必要があります。その際、支援するNPOやマッチングを行う機関などによって注意すべき事項も定められています。公平で誠実にプロジェクトを遂行するために、参加者・受け手両者が注意点を共有しておくことが大事です。
以下にプロボノに参加する流れと注意点をまとめます。
STEP1:参加動機の形成
はじめにプロボノに参加する動機を形成します。動機として「社会貢献したい」「キャリアに活かしたい」「多様な環境で経験を積みたい」などの目的が挙げられます。動機をはっきりさせることによって活動のモチベーションを高めることができるので、動機の形成は大切です。
STEP2:参加ルート(参加方法)の選択
プロボノ活動に参加するにはいくつかのルートがあります。自分が置かれている環境に適したルートを選択することが大事です。
1.マッチングサービス登録経由
最もオーソドックスなルートは、マッチングサービスに登録することです。利用する場合、登録の前に説明会に参加して、納得したうえで登録するという手順を踏みます。
2.企業の社内制度経由
企業の社内制度としてプロボノへの参加が可能な場合があります。ボランティア休暇もその一つです。制度の仕組みによっては社内評価の向上につながる場合もあるので、自社がプロボノを導入しているか確認してみるとよいでしょう。
3.自治体経由
地方自治体ではプロボノプロジェクトの参加者を募集していることがあります。大きな自治体の例では東京都・公益財団法人 東京都つながり創生財団が行う「まちのつながり応援事業」や、大阪府が行う「大阪ええまちプロジェクト」などがあります。自分の持つスキルで地元に貢献したい人に最適です。
4.自主提案経由
個人で自分のスキルを活かしてプロボノに参加したい場合は、NPO等に持っているスキルを提示して、「このような活動に貢献できる」と提案する方法もあります。また、知人がプロボノを行っていれば紹介してもらうことも可能かもしれません。
STEP3:活動開始・プロジェクト遂行
参加ルートを選択したら活動を開始し、チーム参加または個人参加でプロジェクトの遂行に邁進します。活動期間はプロジェクトの内容によって数週間~数ヵ月とケースバイケースです。
STEP4:終了後の報告・振り返り
活動が終わったら、終了の報告と成果物を納品し、振り返りを行うことがおススメです。具体的な活動内容を報告するほか、活動してみてどのようなメリットがあったか、どのような点を課題と感じたかを振り返ることで、次回支援への取り組みに活かします。
プロボノ参加で注意すべきこと
善意でプロボノに参加したとしても、相手のNPO法人や地域団体に迷惑をかける結果となっては、かえってマイナスとなります。参加する際は団体の状況をしっかりと理解し、規約やマナーを守って活動すること、また課題を解決するための活動であることを忘れないことが大事です。
特に以下の3点には十分注意する必要があります。
1.活動時の情報漏洩リスク
各団体で活動を行う中で知り得た情報は、漏洩させないように注意することが遵守事項となります。企業はコンプライアンス(法令遵守)が徹底されていますが、個人で参加する場合もコンプライアンスの義務があることを自覚しなければなりません。
2.報酬や謝礼に関する取り扱い
プロボノは基本的に無償の社会貢献なので、報酬や謝礼を受け取る前提ではありませんが、プロジェクトの遂行にかかった実費は各団体に請求できるケースがあります。旅費交通費、会議費、資料作成費などが該当しますが、何が実費になるのかは、あらかじめ団体との間で確認しておく必要があります。
3.協働のためのルールと対応
お互いに前向きに協働するためにも一定のルールが必要になります。企業から奨励されて社員が活動する場合は、勤務時間外も含めて自主的に活動する形になります。もっとも、無償の支援だからといっていい加減な対応をしては団体に迷惑がかかってしまうので注意しましょう。
まとめ プロボノ活動への一歩を踏み出すために
プロボノは自分の持つ専門知識やスキルを活かして、非営利団体や地域社会のために貢献できる有意義な活動です。意味の似た言葉にボランティアがありますが、プロボノと呼ぶかどうかは仕事で培ったスキルや経験を活かし、社会貢献を行ったと言えるかどうかで決まります。
専門の知識や経験を持つ人の支援を受けたいNPOにとっては大きな助けになる活動です。ただし、各団体の迷惑にならないよう、団体の状況やニーズをしっかりと汲み取って活動することを心がける必要があります。
プロボノは社会貢献であると同時に、参加者個人にとってはキャリアアップに、企業経営者にとっては従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
本記事を読んでプロボノに興味を持たれた方は、コーディネート団体のサイト閲覧、説明会参加、企業制度の確認などの方法で、プロボノ活動の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。
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記事提供:株式会社 ZUU
執筆者:丸山 優太郎(ライター)
監修:認定NPO法人 サービスグラント
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(2026年1月29日現在)
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