

「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?~ファイナンス学者の思考法
昨今、企業価値について、日本企業の多くが「PBR(株価純資産倍率)が1倍割れ」になっている現状が問題視され、「ROE(自己資本利益率)の改善」をめざすべきといったことが、半ば当たり前のように言われています。しかし、「そもそも、なぜPBRやROEが基準なの?」と聞かれたら、答えに困ってしまう人が少なくないはずです。本来ファイナンス理論で、企業価値は「企業が将来獲得する予想キャッシュフローを資本コストで割り引いた現在価値」ときちんと定義されています。
私たちが当たり前だと思っていることは、本当に正しいのでしょうか?大阪公立大学大学院経営学研究科教授の宮川壽夫氏が、初心者にも分かりやすく企業価値と経営について語ります。
目次
- 「単純化」で思考停止に陥っていないか?
- PBRやROEを基準にすることに、本当に意味はあるのか?
- 経営者は指標とどう向き合うべきか?
- あなたの経営者としての「問い」は何ですか? ~どこから来て、ここで何をしていて、どこへ行くのか?
「単純化」で思考停止に陥っていないか?
―昨今は「ROEは8%をめざすべき」と、半ば当たり前のように言われていますが、こうした社会の動きを、どのように見ていますか?
今の社会の動きを一言で表すなら「単純化」です。つまり「本来あるべき、入れるべき変数をどんどん減らしていく」ということ。PBR1倍も、ROE8%も、政府が掲げている「2050年までにカーボンニュートラルを実現する(温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする)」「2030年までにプライム市場上場企業の女性役員比率を30%以上にする」なども単純化の典型で、一見分かりやすく数字に落とし込んでいるわけです。
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(2025年5月30日現在)
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