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リスク分散における新たな可能性 オルタナティブ投資とは?
リスク分散における新たな可能性 オルタナティブ投資とは?

リスク分散における新たな可能性 オルタナティブ投資とは?

株式や債券への投資経験があり、新たな投資先としてオルタナティブ投資に関心のある方は多いのではないでしょうか。オルタナティブ投資にはさまざまな投資対象があり、投資家の分散投資ニーズにも応えることができるかもしれません。この記事では、オルタナティブ投資の基礎知識と種類、メリット・デメリットを紹介します。
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オルタナティブ投資とは?

まず、オルタナティブ投資の概要と注目される背景を解説します。

オルタナティブ投資の定義と特徴

オルタナティブ(alternative)とは「代替の」「代わりの」といった意味で、オルタナティブ投資とは株式や債券といった伝統的資産以外の投資の総称です。主に機関投資家や富裕層向けの投資手法として利用されており、その投資対象は多岐にわたります。
オルタナティブ投資は伝統的資産との相関性が低いため、市場の変動に対する反応が異なる点が大きな特徴です。そのため、ポートフォリオのリスク分散効果が期待できます。その一方で一般的に流動性が低く、資産の現金化が難しいという点に注意が必要です。

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  上場株式 債券 オルタナティブ資産
投資内容 企業の将来の利益や配当 国・地方公共団体・企業等の将来の利益・償還金 ・企業への出資、貸し出し
・上場株式、債券についてさらに金融技術を駆使した商品
・不動産、インフラ
・農作物、エネルギー
・森林、農地
・貴金属や希少性の高い物等さまざま
下振れリスク ・企業の損益悪化、社会的信頼の損失等により株価が下落する
・企業が倒産すると投資金額の回収は難しい
・市場金利の上昇、発行体の信用力低下等により保有債券の時価が下落する
・債務不履行(デフォルト)に陥ると投資金額の回収は難しい
・投資対象により大きく異なる
・物理的な投資対象の場合は、災害・地政学リスクの影響を受けやすい
・取引できる市場が限られるため、すぐに売却できないことがある
出典:文部科学省 令和5年度委託調査業務「オルタナティブ投資に係る特性等の調査研究 報告書(入門編)」より作成

オルタナティブ投資が注目される理由

オルタナティブ投資が注目される理由として、2000年代以降のリーマンショックなどの金融危機を経験する中で、投資家の間でリスク分散のニーズが高まったことが挙げられます。
伝統的資産には、低金利環境によって債券では十分なリターンが期待できない一方で、株式市場では高値警戒感が強まるといった課題があります。このような状況から、投資家は新たな投資機会を求めているのです。
この流れを象徴するのが、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によるオルタナティブ投資の採用です。世界最大規模の機関投資家であるGPIFは2013年からオルタナティブ資産への投資を始め、徐々にその資産をふやしています。2024年3月末時点のオルタナティブ資産全体の時価総額は3兆6,972億円(年金積立金全体に占める割合は1.46%)となりました。
投資開始来のオルタナティブ資産の時価推移
出典:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「投資開始来のオルタナティブ資産の時価推移」より作成
また、2023年12月に岸田政権下で策定された「資産運用立国実現プラン」では、機関投資家に対して「オルタナティブ投資やサステナブル投資などを含めた運用対象の多様化」が掲げられ、現政権でも「強い経済」の実現に向け、資産運用立国の取組みの推進・発展が掲げられています。
この流れは、機関投資家から個人投資家へも波及しています。資産分散ニーズの高まりやテクノロジーの進歩により暗号資産のように個人投資家でも参入が容易な商品がふえ、オルタナティブ投資の普及が進んでいるのです。
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オルタナティブ投資の種類

オルタナティブ投資の対象資産にはさまざまな種類があります。ここでは、代表的なオルタナティブ投資を紹介します。

コモディティ(金、原油、農作物など)

コモディティとは天然資源や農産物などの実物資産であり、主に市場で取引される商品をさします。コモディティ投資の対象には、以下のような種類があります。
  • 貴金属:金、銀、プラチナ、銅
  • エネルギー:原油、天然ガス、ガソリン
  • 農産物:小麦、とうもろこし、大豆、コーヒー
  • 畜産物:牛肉、豚肉
コモディティは株式や債券とは異なる値動きをするため、ポートフォリオのリスク分散に役立ちます。特に、インフレ時には価値が上昇しやすく、インフレヘッジとしての役割も期待できます。
一方で、商品の需給バランスや地政学的リスク、天候といった、さまざまな要因で価格が大きく変動する点に注意が必要です。また、配当や利息がないため、長期的な収益を得るには価格の上昇が欠かせません。さらに、保管や輸送にコストがかかるため、実物での投資も容易ではありません。そのため、商品先物取引のほか、投資信託やETF(上場投資信託)を通じた投資が一般的です。

プライベートエクイティ

プライベートエクイティとは、非上場企業の株式への投資をさします。主にプライベートエクイティ(以下、PE)ファンドを通じて投資が行われ、企業価値の向上を図った後、株式公開やM&Aによる売却で利益を得ることをめざします。
上場株式投資と比較した場合の大きな特徴は、PEファンドが収益向上のために投資先企業の経営に深く関与する点です。そのため、投資先企業の価値向上に成功すると、高いリターンを期待できます。また、株式市場の短期的な変動に左右されにくい点も特徴の一つです。
従来は数億円規模の最低投資額が必要で、主に機関投資家や超富裕層向けの投資手法でした。しかし、近年では個人投資家でも参入可能な投資信託型のPEファンドが登場してきています。最低投資額は数百万円程度からと、以前と比べて投資のハードルは大きく下がっています。ただし、一般的な投資信託と比べると流動性は低く、換金制限があるなど、投資にあたっては商品特性の十分な理解が必要です。

プライベートデット

プライベートデットとは銀行以外の主体による企業に対する融資で、投資収益は利息です。主に機関投資家が運営するプライベートデットファンド(PDファンド)が、信用力の低い中小企業に直接融資を行います。
融資には担保が設定されるケースが一般的なため、貸し手側(プライベートデットファンドや機関投資家)は融資資金の保全を図ることができます。担保があることで、借り手が返済できなくなった場合でも、担保を売却して融資金を回収できるためです。そのため、プライベートエクイティに比べて期待できるリターンは低いものの、安定したインカムゲインを見込めます。
その一方で、償還までの保有が前提であるため流動性が低く、投資家は資金を長期間拘束される可能性が高いといえます。

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、私募形式で資金を集め、多様な投資戦略を用いて利益を追求する投資ファンドの一種です。主に富裕層や機関投資家を対象としており、株式や債券だけでなく、デリバティブや不動産といった、幅広い資産に投資します。
ヘッジファンドは多様な投資手法を駆使して運用を行い、市場の変動に左右されにくい収益をめざす点が大きな特徴です。また、伝統的資産との相関が低いことから、ポートフォリオ分散の手段としても注目されています。
一方で、すぐに現金化できない流動性の低さや、投資内容の情報開示が限定的である点には注意が必要です。また、高度な投資手法を用いるため、大きな損失を被るリスクもあります。

暗号資産・NFT

暗号資産やNFTは、ブロックチェーン技術を活用したデジタル資産として注目を集めています。暗号資産は、ビットコインに代表される通貨のような機能を持つ電子データです。一方、NFTは、デジタルアートや音楽など、唯一無二の価値を持つデジタルデータをさします。
これらのデジタル資産は、従来の金融資産とは異なる値動きを示すため、分散投資の選択肢として期待されています。ただし、価格変動が大きく、法整備も発展途上であることから、リスクの高い投資です。
投資を検討する際は、十分な知識と慎重な判断が必要です。

オルタナティブ投資のメリット・デメリット

オルタナティブ投資には株式や債券投資にはないメリットがありますが、注意すべきデメリットもあります。それぞれについて見ていきましょう。

オルタナティブ投資のメリット

オルタナティブ投資の主なメリットは、以下のとおりです。
  • 株式や債券との相関が低く、効果的なリスク分散ができる
  • 高いリターンを期待できる
  • 市場環境に左右されにくい収益機会を確保できる
  • インフレヘッジの効果を期待できる
オルタナティブ投資の最大の特徴は、伝統的資産である株式や債券との相関が低い点です。株式市場が不安定な時期でもオルタナティブ資産は独自のパフォーマンスを期待でき、リスクの効果的な分散が可能です。
プライベートエクイティやヘッジファンドなどでは、投資先企業の価値向上に直接関与したり、複数の投資戦略を組み合わせたりすることで、伝統的資産よりも高いリターンを追及できます。また、市場で取引されていない未公開企業への投資や、特別な投資戦略の活用により、公開市場では得られない独自の投資機会へのアクセスも可能です。
さらに、実物資産への投資は、インフレ時に価値が上昇する傾向があるため、長期的な資産運用において重要な役割を果たします。具体的には、インフレが進行する中でのコモディティ投資はその価値を維持または増加させる可能性が高く、投資家にとって資産価値をまもる手段のひとつとして有効です。

オルタナティブ投資のデメリット

オルタナティブ投資のデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
  • 投資の仕組みが複雑で理解が難しい
  • 換金性(流動性)が低い
  • 最低投資金額が高い
  • 投資対象の情報が乏しい
オルタナティブ投資は、投資対象や運用手法が複雑なため、投資判断に専門的な知識と経験が必要です。たとえば、プライベートエクイティでは企業価値評価のスキル、ヘッジファンドでは高度な投資戦略の理解が求められます。
また、換金性の低さは、多くのオルタナティブ投資に共通するデメリットです。プライベートエクイティやプライベートデットでは投資資金が5~10年の長期に渡るケースが一般的です。さらに、最低投資金額が数千万円から数億円規模と高額に設定されていることが多く、一般の個人投資家には投資のハードルが高くなっています。
投資対象に関する情報開示が限定的である点も重要な課題です。非上場企業への投資やヘッジファンドでは、上場株式などと比較して入手できる情報が少なく、投資判断や運用状況の把握が難しくなります。

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投資対象 メリット デメリット
コモディティ ・インフレヘッジ効果
・ポートフォリオの分散効果
・伝統的資産との低相関性
・地政学的リスクに対するヘッジ効果
・価格変動が大きい
・保管コスト(現物の場合)
・インカム収入がない
・為替変動リスクや天災リスクがある
プライベートエクイティ ・高い成長可能性
・上場による高いリターンが期待できる
・伝統的資産との低相関性
・流動性が極めて低い
・上場するまで利益を得られない
・市場取引されないため評価が難しい
・分散投資が難しい
プライベートデット ・安定したインカムゲインが見込める
・担保などによってリスクが軽減される
・市場変動の影響を受けにくい
・投資期間が長く、途中換金が困難
・最低投資額が高い
・信用リスクがある
ヘッジファンド ・市場環境に左右されないリターンをめざせる
・分散投資効果を得られる
・プロの運用者による専門的な運用
・伝統的資産との低相関性
・最低投資額が高い
・高額な手数料(管理費+成功報酬)
・流動性の低さ(解約制限あり)
・透明性の低さ
・複雑なリスク構造
暗号資産・NFT ・高いリターンが期待できる
・24時間取引可能
・ポートフォリオ分散効果
・国際送金の容易さ
・価格変動が極めて大きい
・今後の法規制リスクがある
・セキュリティリスク(ハッキング等)

まとめ

オルタナティブ投資は伝統的資産とは異なる特性を持つ投資手法として、投資家の分散投資ニーズに応える選択肢となっています。株式や債券との相関が低く、高いリターンやインフレヘッジ効果が期待できる一方で、複雑な投資手法や低い流動性、高額な最低投資金額などの課題もあります。
近年は個人投資家向けの商品もふえていますが、投資を検討する際は、各投資対象の特性やリスクを十分に理解し、自身の投資目的や資金力、リスク許容度に照らして慎重に判断するようにしましょう。

記事提供:株式会社LITTLE DISCOVERY

執筆者:松田 聡子(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、DCアドバイザー)

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(2026年6月12日現在)
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