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現代アートと暮らす日常を アート投資の価値とは
現代アートと暮らす日常を アート投資の価値とは

現代アートと暮らす日常を アート投資の価値とは

物価上昇に伴うインフレが進行してお金の価値が下がる中、アート投資が注目を集めていることをご存じでしょうか。アート作品は金銭的な利益だけではなく、所有の喜びや教養といった、豊かな暮らしを象徴する非物質的な価値を内包している資産として、魅力的な投資対象の一つといえます。特に現代アートは、オークションにおける高額落札が度々話題になるなど、人気のジャンルです。本記事では、アート投資の価値について解説し、現代アートの概要を紹介していきます。

アート投資とは

アート投資とは、絵画や彫刻、写真、現代アートなどの芸術作品を購入し、価値の上昇による売却益を得ることをめざす投資手法です。投資対象になる作品は、有名作家や新進気鋭の現代アーティストまで多岐にわたります。価格は数千万円~億単位の作品がある半面、数万円で購入できる安価な作品もあるので予算に合わせて選択可能です。
アート投資は、ワインや腕時計などと並ぶ現物投資の一つとして注目されています。

注目されるアート投資

アート投資は、海外の投資家・資産家のポートフォリオでどの程度の割合を占めるのでしょうか。2021年に発表されたデータによれば、保有資産3,000万米ドル以上の方は資産の5%程度をアートなどの収集品で保有する傾向にあります。
地域 投資用
不動産
株式 債券 現金 ブライベート
エクイティ
収集品 金・貴金属 暗号通貨
北米 23% 27% 16% 9% 11% 5% 2% 0%
欧州
(英国除く)
33% 20% 15% 10% 8% 5% 4% 2%
英国 36% 24% 11% 7% 10% 6% 2% 0%
南米 24% 24% 24% 8% 8% 5% 4% 2%
中東 25% 19% 12% 11% 9% 6% 2% 0%
ロシア&CIS 22% 16% 18% 18% 4% 6% 3% 2%
(注)超富裕層(Ultra-high-net-worth):保有資産3,000万米ドル以上。投資用不動産:住居・セカンドハウスを除く
(出典:野村資本市場研究所「資産クラス/投資対象としてのアート −富裕層はなぜアートに投資するのか−」をもとに作成)
一般的に、投資家・資産家がアート投資を行う理由には、事業などで成功したステータスを示すために購入することがあげられますが、資産運用・分散投資の観点でアート作品を購入する投資家もいます。
次に、アート作品の中でも注目されている「現代アート」について解説します。

現代アートとは|20世紀以降に生まれた芸術

現代アートとは、20世紀以降に生まれた多様性のある芸術のことを指します。絵画や彫刻など古くからある芸術だけでなく写真や映像、インスタレーション(空間そのものを作品にする芸術)など新たなジャンルも含まれます。

現代アートの定義

現代アートの広義的な定義としては、「第二次大戦後の1950年以降に 制作された作品」を指し、作品が発表された年代によって区別しています。ただし、その間に世に出された芸術・美術すべてが現代アートというわけではありません。これまでの美術概念にとらわれていない前衛的な表現作品のみを現代アートと呼びます。一方、狭義の解釈では、「現代の社会情勢などに対して問題提起やメッセージが込められた作品」を指します。
作品形態や技法にとらわれないのが特徴で、作家の意図や意味がわかりにくい作品もあるため、難解なイメージがありますが、制作背景にある感情や出来事、概念などを読み解く奥深さが魅力です。現代アートの歴史は、1917年に発表されたマルセル・デュシャンの『Fountain-噴水/泉』が起源といわれています。この「泉」は作品の異端性もあり、「誰でも出展できる」というポリシーで運営されていたアンデパンダン展での展示が許されませんでした。柔軟な判断ができない権威主義のスタンスに対して、「芸術とは何か」という問いを投げかけたことが、美術界において従来の芸術思考や制度を見直すきっかけになっています。

現代アートの主なジャンル

現代アートには古典アートや近代アートには見られない、さまざまな表現の仕方があります。ここでは、現代アートの主なジャンルについて説明します(※解説する内容は一般的な内容であり、諸説あります)。
・コンセプチュアル・アート
1960年代後半~70年代にかけて台頭した前衛芸術です。概念芸術ともいわれ、前述したマルセル・デュシャンの『Fountain-噴水/泉』が起源となっています。絵画や彫刻などの形式にとらわれず、アイディアやコンセプトを重視しています。そのため、思想やメッセージなどが背景として含まれていることがあります。
・パフォーマンス・アート
1960~70年代に広まった芸術運動においてアーティストが直接パフォーマンスすることで、自身を表現するアートです。パフォーマンスを構成するのは、「時間」「場所」「アーティスト」「観客」の4つの要素です。1960年代の「ハプニング」というアート活動が起源になっているため、観客を巻き込んで行われることがあります。
・ポップ・アート
アンディ・ウォーホルに代表されるポップ・アートは、ポピュラーアート(大衆芸術)の略で、漫画や商業美術から始まって発展した美術運動です。1956年にイギリスで開催された「これが明日だ」展でリチャード・ハミルトンが展示した作品が発祥といわれています。文字どおりポップなカラーが魅力の作品が多い傾向です。
・フォトペインティング
写真投影法とも呼ばれ、ドイツの代表的な芸術家であるゲルハルト・リヒターが展開した美術スタイルです。新聞の切り抜きなどをキャンバスに写し、輪郭をなぞることによって描いていきます。あえて輪郭をぼかすことによって、ピントの合っていない写真のような仕上がりになるというわけです。リヒターは、1960年代にこの手法で絵画作品を生み出し活躍しました。

アート投資における作品を選ぶ際のポイント

前述したような現代アートを対象にアート投資を始めたいと感じても、「どの作品を選んだら良いか迷ってしまう」という方も多いのではないでしょうか。投資対象となるような作家の作品は、それなりに高額なことが想定されます。作品を選ぶ際は、以下のポイントに注意することが重要です。
・まずは作品の価値を見る目を養う
一般人が価値を見極められるようになるのは難しいですが、たくさんのアート作品を見て比較することが、作品の価値を見る目を少しでも養うことにつながります。加えてその作家の美術史における評価なども勉強しておくと市場価値判断の一助になります。
・作家の評価、その作家の作品の市場状況をリサーチする
作家自体の評価に加え、その作家の作品がどの程度流通しているか市場状況をチェックすることも大切です。めったに市場に出ないような作家の作品が簡単に手に入る形で販売されていたら、偽物の可能性もあります。市場状況のチェックや作品の目利きは初心者には難しいため、専門家に依頼するのもよいでしょう。
・あくまでも予算内で購入できる作品にしぼる
どんなに気に入った作品でも予算を超過する購入は避けることが必要です。無理な購入をすると次の投資の戦略にも影響が出かねません。

アートコンシェルジュの基本情報

作品を選ぶ際には、アートコンシェルジュにサポートしてもらうことも一つの方法です。アートコンシェルジュとは、その会社が販売するアートのことを知り尽くした専門スタッフのことです。主に以下のようなサポートをしてくれます。
<アートコンシェルジュの主なサポート内容>
  • オークション出品・落札代行
  • 美術コレクションのアドバイス
  • 美術品関連業務(展示・保管・保険・修復・資料作成など)
  • 美術品の評価・鑑定・買取
例えば、初心者にはわかりにくいオークションの手続きを代行してくれたり、作品の真贋について相談ができ、作品が本物であるという鑑定書を取得してくれたり、アート投資が活発な欧米や中国市場などの取引データを取得してくれたりします。このように、美術品に関するあらゆる相談ができるのが、アートコンシェルジュです。

まとめ

アート投資は、美術品によって暮らしに彩りを与える、投資だけではない魅力があります。気に入った美術品を楽しみ、結果的に収益をもたらしてくれれば、これほど有意義な投資はありません。アート投資を入り口に、日々の暮らしの中にアートがあることの楽しさや豊かさ、すばらしさを堪能してみてはいかがでしょうか。
記事提供:株式会社ZUU
執筆者:丸山優太郎(ライター)
  1. 本記事は情報提供を目的としており、投資等の勧誘・推奨目的で作成したものではありません。商品の購入時にはお客さまご自身でご判断ください。
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(2024年12月24日現在)
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