

資産管理会社とは? 設立のメリット・デメリットや設立手順を解説
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資産管理会社とは
設立のメリット
一方で、資産管理会社の利益に対して課される税金は、法人税、法人住民税、法人事業税などがあります。資本金1億円以下で年所得が800万円の中小法人の場合、中小法人の軽減税率の特例適用後で、これらの実効税率※はおよそ23.2%(年所得400万円以下の部分は21.4%)となります。
※実効税率は次の算式で計算/2025年4月時点
{法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人事業税率}/(1+事業税率+特別法人事業税率)
このように個人にかかる所得税等と資産管理会社にかかる法人税等には差があり、より所得が高い人ほど税負担の差は大きくなります。
資産管理会社を設立した際には、親族を役員に就任させて役員報酬を支払うことができ、その資産家本人のみに帰属していた不動産や配当の所得を、資産管理会社を通じて親族に分散させることにより、本人の所得税等を抑えることができます。
また、役員報酬を受ける親族は、その役員報酬が給与所得に該当し、他に給与を受けていなければ給与所得控除などの控除を受けることもできます。
欠損金の繰越控除とは、その年に生じた損失を翌年以降に繰り越して、計上した利益と相殺していくことができる制度のことです。
繰越控除は個人の場合には最長3年間の繰り越しが認められているのに対し、資産管理会社では、最長10年間の繰り越しが可能となっています。
一方、資産管理会社の場合は、会社の業務上の経費が認められることになり、経費の範囲が広くなります。
資産管理会社では、原則として社会保険に加入することが求められています。
- 国民年金よりも厚生年金の方が将来もらえる年金の額が高くなる場合がある
- 役員報酬を支払う親族も加入できる
- 追加の負担なしで扶養する親族も加入できる
相続に際して資産の分割が容易になり、将来の相続財産を減らすこともできます。
資産管理会社への売却等によって資産を移転させることで、不動産や自社株式といった相続財産を、資産管理会社の株式に一本化することが可能になります。
例えば、不動産を複数の子どもに相続・贈与させる場合には、不動産の持分で分割しなければなりません。いったん分割された持分に応じた不動産の所有権は、取得した子どもの相続財産となり、相続によって承継されます。その不動産を有効利用しようとしても、持分を所有する複数の所有者と意見調整を行わなければなりません。
しかし、資産管理会社に不動産をすべて移転させておくことで、このような持分による分割がなくなり、資産管理会社の株式をどのように分割するかを考えれば良くなります。また、不動産の相続や贈与などの承継に伴って発生する登記費用も、資産管理会社に移転することで発生しなくなります。
資産管理会社においては、資産家本人への報酬を抑え、相続人である親族への役員報酬を支払うことにより、資産家への資産蓄積を抑えることもできます。
- 2027年以降の相続から順次延長され2031年以降の相続では相続開始前7年以内となります。
設立のデメリット
まず、資産管理会社を設立するためには、法人の設立登記を行います。資本金の額にもよりますが、合同会社の場合で15万円、株式会社では30万円程度の費用が生じます。
また、資産管理会社が赤字であっても、法人住民税の均等割が1年間で7、8万円程度かかります。加えて、会社の会計や法人税の申告を担当する税理士への支払いも必要になります。
さらに、資産家本人の資産を会社に移転する際には、資産家本人に譲渡所得税、会社に不動産取得税、登記費用などが生じます。
法人を一度設立すると、簡単には廃業することができません。会社の解散決議、清算人選任、清算結了といった手続きを踏まなければならず、ここにも費用が発生します。
また、資産家個人と資産管理会社は、基本的に別個の存在であり、会社が保有する金銭を個人が自由に使うことは基本的に認められていません。会社から個人へお金を移すためには、役員報酬や配当などの方法をとる必要があります。
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資産管理会社を設立する手順
1.定款の作成・認証
会社が営むことのできる事業を定めます。資産管理会社の場合には、「不動産の売買、仲介、斡旋、賃貸及び管理」、「有価証券の投資」などが想定されます。
本店所在地は法人の登記簿に記載されます。登記簿は誰でも容易に取得できるため、慎重に検討する必要があります。
2.登記申請書類
法務局に提出する、資産管理会社の設立登記のための主な申請書類などを次に記します。
法人を設立する際には、法務局に登録する印鑑が必要となります。この登録する印鑑のことを、代表者印や実印と呼びます。
会社の役員に就任することを承諾したと証明する書面で、登記申請の際に必要になります。なお定款に設立時取締役選任と代表取締役の選定の記載があり、その役員が発起人でもある時は、就任承諾書は不要となります。
発起設立の場合は発起人が、募集設立の場合は出資者全員が、発起人、または設立時の取締役の個人の預金口座に出資金を払い込みます。その出資金が払い込まれた通帳のコピーを法務局に提出します。
3.設立登記後の手続き
登記申請書を提出してから1、2週間ほどで、資産管理会社の登記が完了します。完了後に法務局で登記事項証明書や印鑑証明書を取得し、会社の預金口座を開設します。その他、社会保険や税務上の届け出を各所へ提出します。
税務署 | 開業届、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届など |
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都道府県税事務所 | 開業届 |
市区町村役場 | 開業届 |
年金事務所 | 新規適用届、新規適用事業所現況書、被保険者資格取得届など |
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執筆者:八木正宣(税理士 / 行政書士 / CFP /1級FP技能士)
- 本記事は、2025年4月時点の税制、その他関連法規に基づく内容であり、今後の改正等により相違が生じることがあります。税法や法律に関わる個別、具体的なご対応は必ず税理士・公認会計士・弁護士等の専門家へご相談・ご確認ください。
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