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事業承継計画書と事業承継計画表を作成してスムーズに後継者に引き継ぐ
事業承継計画書と事業承継計画表を作成してスムーズに後継者に引き継ぐ

事業承継計画書と事業承継計画表を作成してスムーズに後継者に引き継ぐ

事業承継は、多くの企業が直面する経営課題です。経営権・経営資源・物的資産の承継に絡む法律上や税務上の課題があり、親族内・社内・第三者(M&A)事業承継といった類型ごとに課題や進め方もさまざまです。

事業承継をスムーズに進めるため、事業承継計画書や事業承継計画表の作成をぜひ検討してください。事業承継の具体的な目標や実施期間などが可視化され、さまざまな課題が浮き彫りになり、早い段階から対策を立てることができます。

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事業承継の実施に際して直面する壁

帝国データバンクの「全国企業後継者不在率動向調査(2022年)」によると、全国・全業種の2022年の後継者不在率は57.2%にのぼります。社長年代別の後継者不在率は、60代が42.6%、70代が33.1%、80代以上が26.7%と、60代以上の2~3人に1人の割合で後継者が見つかっていないことになります。

もっとも、現経営者が事業承継の問題を認識していても、実際に検討する段階で、どのぐらい前から準備するべきか、誰に相談したら良いか、何から手をつけるべきかなど、いくつもの壁に直面します。

こうした疑問や課題に対して、自社の現状を把握して整理し、スムーズな事業承継に向けて方向づけをするのが、事業承継計画書であり、事業承継計画表なのです。

事業承継計画書と事業承継計画表

事業承継計画書は、現経営者に関する情報、経営理念、財政状態、企業業績の推移、将来の経営ビジョンや、誰に引き継がせるのか、何をこれから準備していくのかなど、事業承継上の課題をまとめた書類です。

一方、事業承継計画表は、事業承継の実施までに、自社や現経営者、後継者がどのように関わっていくのかをまとめた工程表です。事業承継は長期にわたることが多く、実現までのロードマップとして位置づけられ、適宜更新して進捗を管理していきます。

事業承継計画書や事業承継計画表は、法律で定められた書類ではないため、定型のフォーマットはありません。中小企業基盤整備機構や商工会議所などの公的機関、金融機関や事業承継センター等の民間支援会社が独自にひな型をWeb上で公開しています。これらのひな型から自社に適したものを選び、自社の現状に合わせて項目を追加または削除していくと良いでしょう。

事業承継計画書に記載する内容

事業承継計画書に記載する内容は、およそ次の項目になります。後継者がいる場合は対話を重ねながら、いない場合には後継者を想定し作りあげていきます。

  • 経営理念(企業ビジョン)
  • 企業概要(資本金・従業員数・業種・事業内容・沿革・許認可など)
  • 経営課題など(SWOT分析による)
  • 自社の強み・弱み
  • 事業機会・事業脅威
  • 事業承継の概要
  • 現経営者の個人情報
  • 後継者(候補)の個人情報など
  • 承継方法(親族内、社内、第三者など)
  • 事業承継上の課題の整理と解決方法
  • 会社(取引先の維持、経営理念や自社の強みの承継、人材の世代交代など)
  • 現経営者(自社株式を含めた相続対策、株式移管、退任時期など)
  • 後継者(経営者教育、役職・社内体制の構築、人脈や信用力の蓄積など)
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事業承継計画表に記載する内容

事業承継計画書をまとめ、自社の現状と課題解決のために何をすべきか可視化した後は、明確になった事業承継のため取り組まなければならないことをアクションプランにつなげます。

下記の例では、現経営者が現在から3年後に長男へ代表取締役の交代を行い、5年後に完全に引退することをめざし、策定したアクションプランです。後継者である長男を3年後までにどのように教育していくか、役職はどうするか、持株はどのように現経営者から引き継いでいくか等を年度単位で計画表に落としこみます。

こちらの例では、便宜上5年間で事業承継を完了させることとしていますが、着実に進めるためにも10年ぐらいのスパンで作成することが望ましいでしょう。

【基本方針】

  • 現経営者から長男への親族内事業承継。
  • 3年目の68歳の時に代表者変更、その2年後に完全に引退。
  • 5年間のアドバイザー契約を弁護士と税理士に依頼。
  • 株式の移管は暦年贈与により少しずつ進める。
  • 後継者以外の相続人に対しては退職金や土地譲渡代金を充てる。
事業承継計画表

作成の流れ

事業承継計画書、事業承継計画表を作成する上で把握しておくべき点、注意点を下記にまとめました。それぞれのケースにより、不要な点もあれば、注意が必要な点も出てくるため参考としてご確認ください。

1.現状の把握

現経営者の保有株式や個人資産、会社の資産や従業員数を把握しておき、後継者候補のリストアップを進めます。また、贈与や相続にあたり起こり得る問題も検証しておく必要があります。

2.関係者の意思確認

後継者候補を絞りこみ、候補者それぞれの意向を確認しつつ、周囲の親族や幹部役員をはじめとした従業員の意見にも耳を傾けましょう。

3.承継の方法、後継者の確定

親族内事業承継、社内事業承継、第三者事業承継のそれぞれメリット・デメリットをよく理解し、後継者を確定させます。

4.事業承継計画書の作成

経営理念、経営計画、売上目標などを言語化して計画書に落としこみ、事業承継の実施時期を検討します。それから周囲の反発、資金面の問題など考えられる問題も洗い出します。

5.事業承継計画表の作成

上記4.で明らかになった事業承継上の課題に対し、中長期の経営計画に、事業承継の時期や課題の解決策を実施する時期を盛りこみ、実行に移していきます。
事業承継をスムーズに進めるためには、事業承継計画書と事業承継計画表の作成が基本といえるでしょう。加えて作成後は、計画の進捗を定期的に把握し、場合によっては軌道修正するなど長期にわたりフォローが必要です。

もっとも、現経営者や、個人の判断で物事を進めようとすると、法律面や税務面に大きな見落としがあったり、適切な事業承継のタイミングを逃してしまったりするリスクが高くなります。そのため、専門家のサポートを受けることが望ましいでしょう。

MUFGは銀行・信託・証券に加えて、専門知識とノウハウをもったグループ関連会社やグループ内外の幅広いネットワークを駆使して、事業承継に関するニーズにお応えします。

事業承継でお悩みの際は、グループの総合力でさまざまなソリューションを提供するMUFGウェルスマネジメントにぜひご相談ください。

記事提供:株式会社ZUU

執筆者:八木正宣(税理士 / 行政書士 / CFP /1級FP技能士)

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