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事業承継コンサルタントは経営者の後継者不在問題を解決するプロフェッショナル
事業承継コンサルタントは経営者の後継者不在問題を解決するプロフェッショナル

事業承継コンサルタントは経営者の後継者不在問題を解決するプロフェッショナル

ふさわしい後継者が見つからない企業や、後継者がいても自社株式の移転でつまずいてしまう企業が後を絶ちません。こうした事業承継問題に関して、多角的な視点からアドバイスをしてくれる存在として、事業承継コンサルタントが注目されています。
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事業承継とは

事業承継とは、会社の経営権・所有権や資産を後継者へと引き継ぐことです。事業承継は、事業を引き継ぐ相手によって、3つの種類に分けられます。

  1. 親族内事業承継
  2. 社内事業承継
  3. M&Aによる事業承継(第三者承継)
ひと昔前は世襲制の企業が多く、親族内事業承継が一般的でした。しかし、職業選択の自由が広がったことにより、子どもが承継を希望しないケースも増えてきています。このような時代背景から、近年は従業員や役員を後継者とする社内事業承継や、広く第三者から後継者候補を探すM&Aによる事業承継が増加傾向にあります。

事業承継の3つの種類について、くわしくは下記をご覧ください。

中小企業の事業承継の問題点

何が事業承継を難しくさせているのか、統計データや税制から見ていきます。

後継者不在に悩む日本の企業

2023年の全国企業の後継者不在率は53.9%でした。社長の年代別で見ると、次のとおりです。
社長年代別の後継者不在率
年代 30代未満 30代 40代 50代 60代 70代 80代以上
不在率 85.30% 82.90% 75.10% 60.00% 37.70% 29.80% 23.40%
出典:帝国データバンク「全国企業後継者不在率動向調査(2023年)」
50代で約半数以上、70代以上でも約3人に1人が後継者不在という状況が見て取れます。健康上の不安を抱えつつも、後継者が見つからないことから、無理を押して経営のかじ取りをしている経営者もいるかもしれません。

こうした後継者の不在が、事業承継の1つ目の問題点です。

後継者がいても資金問題が立ちはだかる

後継者にふさわしい人材がいる場合も、資金問題が事業承継を難しくさせることがあります。

中小企業の事業承継では、株式を後継者へと引き継ぐ株式譲渡という手法が一般的です。株式を後継者へと引き継ぐ方法として、親族内事業承継であれば贈与・相続、社内事業承継やM&Aであれば売却といったケースが多く見られます。しかし、いずれの場合でも株式の譲渡にあたり、資金問題が生じることがあります。
まず親族内事業承継では、自社株式の評価が高いために、後継者に自社株式を引き継ぐだけで多額の贈与税・相続税が課されることがあります。贈与税率・相続税率ともに最高税率は55%で、贈与税なら翌年3月15日までに、相続税なら被相続人の死を知った日の翌日から10カ月以内に納めなければなりません。
また、社内事業承継では、役員や従業員に自社株式を引き継ぐ対価として、オーナー経営者が金銭を受け取ることが一般的です。しかし、役員や従業員が株式を買い取るだけの資金を短期間で用意できるとは限りません。買い取り資金をどのように確保するか、早めに検討して準備を進める必要があります。
中には、信頼する役員や従業員に事業を譲るのだから、金銭は受け取らなくていい、もしくは準備できるだけの金額でいいと考える経営者もいるかもしれません。しかし、税務的に妥当な評価額で自社株式を売却しなかった場合、役員や従業員への贈与とみなされ、役員や従業員に贈与税が課税されることがあります。

事業承継を意識しているオーナー経営者は、実務的な経営の承継については深く考えるものの、株式等の資産の承継について見落としていることがあります。しかし、資産の承継は税制とも密接に関係しており、納税義務を免れることはできません。

このように資金問題が障壁となり、後継者がいるにもかかわらず事業承継が難しくなるケースもあります。
とはいえ、廃業を選択する場合、オーナー経営者にはさまざまなデメリットをもたらします。こうした事態を避けるため、早めに事業承継問題と向き合い、行動を起こすことが大切です。

廃業するとどうなるのか

事業承継では、まずは親族内や社内で後継者候補を探し、見つからなければ第三者から広く後継者を探す流れがよく見受けられます。それでも事業を引き継ぐに足る人物や会社が見つからない場合、廃業せざるをえなくなります。もちろん、事業承継を考えずに廃業を選ぶオーナー経営者もいるでしょう。
廃業すると、事業を存続できなくなり、商品・サービスが失われます。これまでお世話になっていた顧客が求めている商品・サービスをえられなくなるのです。加えて、従業員も働き口を失うことになります。年齢によっては、すぐに転職先が見つからず、生活に困窮してしまうこともあります。

オーナー経営者にとっては、廃業にかかる費用が重くのしかかります。土地を売却したり、建物や設備を解体したり、機械を廃棄したりすると、多額のコストがかかります。長年勤めた役員や従業員に退職金を支払うケースも考えられます。

このようなコストが大きな負荷となり、場合によっては老後の生活資金が足りなくなる恐れもあります。

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事業承継コンサルタントとは

こうした事業承継に関するさまざまな問題がある中で、最近は事業承継支援を専門とする事業承継コンサルタントが活躍しています。

事業承継コンサルタントという資格はなく、主に次のような資格を持つ人物や、有資格者を有する会社がコンサルティング業務を担います。

国家資格

  • 弁護士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 中小企業診断士
  • 社会保険労務士

民間資格

  • M&Aエキスパート認定資格
  • M&Aスペシャリスト資格
  • JMAA認定M&Aアドバイザー
  • 事業承継士

事業承継コンサルタントの主なサービス

事業承継コンサルタントは、どのようなサービスを提供してくれるのでしょうか。代表的なサービスを紹介します。

なお、事業承継コンサルタントの業務範囲は明確に定められているわけではなく、事業承継コンサルタントによって請け負う業務範囲が異なります。

事業承継の戦略・計画の策定

事業承継について、何から取り組めばいいかわからないというオーナー経営者も多いでしょう。事業承継コンサルタントの多くは、事業承継の悩みに対して、多角的な視点でアドバイスをしてくれます。専門家の助言があれば、全体像をつかんで戦略的に、計画的に事業承継を進められるはずです。

資産の承継対策

親族内事業承継や社内事業承継では、資金問題が課題となることがあります。事業承継コンサルタントの多くは、資金問題についても相談に乗ってくれます。

たとえば、贈与税や相続税の負担を軽減する制度として、「事業承継税制」があります。この制度は、後継者が引き継いだ自社株式にかかる贈与税や相続税を、一定の条件のもと猶予・免除してくれる制度です。くわしくはは下記をご覧ください。
事業承継税制では数年にわたって非常に複雑な手続きが必要となるため、その活用実績が豊富な事業承継コンサルタントに依頼すると安心です。役員や従業員に自社株式を売却する場合の評価額や、資金を準備する方法についても、オーナー経営者と一緒に検討してくれるはずです。

M&Aによる事業承継のサポート

広く第三者から後継者候補を探すM&Aは、親族内事業承継や社内事業承継と比べて、手続きが複雑になることが一般的です。

そもそも専門家を介さなければ、候補者を探すことも容易ではありません。インターネットのM&Aマッチングサイト等を利用して候補者を見つけたとしても、お互いに専門知識が不足した状態で交渉等を進めると、後からトラブルになるリスクがあります。

後継者育成・後継者のサポート

オーナー経営者は後継者の経営手腕に不安を感じていると、勇退後も自社の行く末がつい気になってしまうはずです。しかし、年齢や健康上の問題で、後継者育成に十分な時間を割けないケースもあります。そんな時は、後継者育成や事業承継後の後継者のサポートを担ってくれる事業承継コンサルタントがいると安心です。
後継者に経営をバトンタッチした後も、引き続き経営支援をしてくれる事業承継コンサルタントも存在します。後継者の経営をサポートしてくれる幹部の育成や、オーナー経営者に依存しない組織づくりなど、支援内容はさまざまです。

後継者育成について、くわしくは下記をご覧ください。

事業承継コンサルタントが支援する事業承継の流れ

事業承継コンサルタントの支援を受けて事業承継を進める場合の一般的な流れを解説します。もっとも、個別の状況に応じて支援内容や流れは変わるため参考としての紹介になります。

親族内事業承継の場合

  1. 現況をヒアリング(後継者の決定状況や他の兄弟姉妹との関係性など)
  2. 自社株式の保有状況やオーナー経営者が個人で所有する事業用資産などの確認をする
  3. 自社株式の評価額を算出する
  4. 自社株式移転に向けた計画策定やシミュレーションを実施する
  5. 自社株式の移転を含む相続の検討をする(贈与や遺言など)
  6. 経営権の移行に関する計画を策定する
  7. 後継者を育成する(状況に応じて)
  8. 自社株式の贈与や譲渡と代表取締役の交代をする
  9. 社内外へ事業承継を報告する
  10. 後継者をサポートする(状況に応じて)
必要に応じて、事業承継税制や事業承継・引継ぎ補助金など公的な支援制度の活用も検討しつつ、オーナー経営者やご家族、従業員にとって最適な道を探ります。

親族内承継では、経営権のみ先に後継者に譲り、時間をかけて資産の移転を進めていく流れもあります。

また、自社株式を後継者に引き継ぐ場合、他の相続人に譲り渡す資産についても検討しておかなければ、後々トラブルへと発展しかねません。遺言書の作成を含め、相続や贈与は慎重に検討しておくべきでしょう。

社内事業承継の場合

  1. 現況をヒアリング(後継者の決定状況や他の役員・従業員の認識など)
  2. 後継者の意思確認をする
  3. オーナー経営者の親族へ説明する
  4. 買い取り資金の確保や事業承継の方法について検討する
  5. 事業承継の計画を策定する
  6. 後継者を育成する(状況に応じて)
  7. 自社株式の譲渡と代表取締役の交代をする
  8. 社内外へ事業承継を報告する
  9. 後継者をサポートする(状況に応じて)

社内事業承継では、オーナー経営者と後継者である役員や従業員の間で、認識のズレがあることが少なくありません。社内事業承継でよく問題になるのが、金融機関から融資を受ける時の個人保証です。

オーナー経営者の多くは、会社が融資を受ける時に個人として保証人になりますが、役員や従業員は、個人保証に抵抗感を抱くことも少なくありません。

後継者という言葉で役員や従業員が思い浮かべるのは、代表取締役としての立場です。株式の取得や個人保証に関する認識をきちんとすり合わせておかなければ、直前になって辞退されてしまうリスクがあります。

社内事業承継に精通した事業承継コンサルタントであれば、このような両者の認識のズレも調整しながら事業承継をサポートしてくれるはずです。

M&Aの場合

  1. M&A仲介業者を選び契約を結ぶ
  2. 社名を明かさずノンネームシートで後継者候補を探す
  3. 条件に合う候補先が見つかったら、ネームクリアで社名を明かす
  4. 経営者同士でトップ面談を実施する
  5. 双方問題なければ、基本合意を締結する(基本合意後は、候補先探索をお互いに打ち切ることが一般的)
  6. 譲渡対価を含め、お互いの条件面をすり合わせる
  7. 弁護士や税理士などの専門家によるデューデリジェンス(買収監査)を実施する
  8. 最終譲渡契約を締結し、M&Aが完了する
  9. 譲渡対価の支払い、役員の選任などのクロージング手続きをする
M&A仲介会社は、M&Aを専門としており、後継者候補の探索からクロージングまで一貫してサポートをしてくれることが一般的です。M&A仲介会社も、広い意味では事業承継コンサルタントの一種といえます。
たとえ以前から付き合いのある人物への承継だったり、知り合いの紹介であったりしても、M&Aを個人で進めるのはさまざまなリスクがあります。たとえば、法務・税務リスクを調査しないままM&Aを実施したことで数年後に問題が発覚し、トラブルに発展する可能性があり、後継者から裁判を起こされる事例も発生しています。M&Aは専門家のアドバイスを受けながら検討を進めることが大切です。
事業承継はM&Aだけでなく、親族内や社内への承継などさまざまな選択肢があります。事業承継でお悩みのオーナー経営者はまずは、MUFGウェルスマネジメントにご相談ください。事業承継コンサルタントと同等の事業承継支援に加えて、贈与や相続などの課題に対するソリューション提供まで、グループの総合力を活かしてご対応いたします。
記事提供:株式会社ZUU
執筆者:木崎 涼(ファイナンシャルプランナー / M&Aシニアエキスパート)
  1. 本記事は、2024年1月時点の税制、その他関連法規に基づく内容であり、今後の改正等により相違が生じることがあります。税法や法律に関わる個別、具体的なご対応は必ず税理士・公認会計士・弁護士等の専門家へご相談・ご確認ください。
  2. 本記事は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。商品の購入時にはお客さまご自身でご判断ください。
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(2024年2月26日現在)
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