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こどもNISAと贈与税の関係を正しく理解する|暦年贈与・名義預金・祖父母からの資金援助まで解説
こどもNISAと贈与税の関係を正しく理解する|暦年贈与・名義預金・祖父母からの資金援助まで解説

こどもNISAと贈与税の関係を正しく理解する|暦年贈与・名義預金・祖父母からの資金援助まで解説

2027年から現行のNISA制度に、未成年者向けのこどもNISAが加わる予定です。こどもNISAは、過去に廃止されたジュニアNISAより利便性の高い制度となり、親や祖父母からの資産承継の手段としても期待されています。本コラムでは、こどもNISAの制度概要からジュニアNISAとの違い、贈与税との関係などについて解説します。
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こどもNISAとは? いつから始まる?

「こどもNISA」とは、未成年の子ども名義で非課税投資ができるNISA(少額投資非課税制度)の新しい枠組みです。NISAは2014年の開始以来、何度かの制度改正がありました。最初に、NISAのこれまでの経緯とこどもNISAの制度内容を解説します。

NISA改正の経緯

NISAはこれまで何回かの改正を経て、今日にいたっています。2016年にジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)が開始されましたが、2023年末で廃止されました。その翌年の2024年には制度の抜本的な拡充が図られ、それまでの一般NISAやつみたてNISAが統合され、非課税保有期間の無期限化や非課税投資枠の拡大が実現しています。しかし、未成年者の資産形成を支援する枠組みは途絶えていました。2026年度の税制改正大綱において、未成年向けの非課税投資制度としてこどもNISA(未成年者特定累積投資勘定)の創設が決定しました。

こどもNISAの概要

こどもNISAとは、未成年の子ども名義で非課税投資ができる新しい制度です。ここでは、制度の主な内容を解説します。
対象 口座を開設する年の1月1日時点で0~17歳(子ども名義) 非課税投資枠 年間投資上限60万円 非課税保有限度額600万円 対象商品 つみたて投資枠の対象商品のみ 非課税期間 無期限 払い出し 12歳以降の子ども本人の同意のうえで、親権者等による払い出しが可能 12歳以降可能 18歳到達時後(予定)NISA口座に引き継ぎ こどもNISA NISA

・対象年齢と投資可能額

こどもNISAの対象者年齢は、口座開設の年の1月1日において0歳から17歳までです。年間投資上限額は60万円、対象期間中の非課税保有限度額は600万円です。通常のNISAにおけるつみたて投資枠の年間120万円の半額に設定されています。

・対象商品

こどもNISAで投資できる商品は、現行NISAのつみたて投資枠の対象商品に限られます。具体的には、金融庁が定める要件(販売手数料0%・信託報酬が一定水準以下・信託期間20年以上または無期限・毎月分配型でないことなど)を満たした投資信託です。

・非課税期間や払い出し

こどもNISAの非課税保有期間は、ジュニアNISAの5年間から無期限に拡充されました。また、ジュニアNISAの「18歳まで払い出し不可」という制限が緩和され、一定の条件を満たした場合に、3月31日において12歳である年以降から払い出しが可能になります。18歳に達した時点で、こどもNISAの保有資産は自動的に通常のNISA口座(つみたて投資枠)に引き継がれ、引き続き非課税で運用を続けられます。

こどもNISAはいつから始まるのか

こどもNISAは2026年度の税制改正大綱に盛り込まれており、2027年(令和9年)1月から開始が予定されています。

こどもNISAとジュニアNISAの違い

こどもNISAは、廃止されたジュニアNISAの課題をふまえて設計されました。ここでは、2つの制度を比較し、こどもNISAのジュニアNISAからの改善点を見ていきます。

期間限定から恒久化へ

ジュニアNISAは期間限定の制度でしたが、こどもNISAは恒久的な制度として設計されています。また、ジュニアNISAでは非課税保有期間が原則5年間に限られていましたが、こどもNISAでは無期限となります。18歳以降は通常のNISAのつみたて投資枠に自動的に移行するため、非課税投資の継続が可能です。

払い出しの制限

ジュニアNISAには、18歳まで(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで)原則として資金を引き出せないという制限がありました。こどもNISAでは、以下の条件を満たすことで12歳以降から払い出しが可能になります。

  • 資金の用途が子どものためであること
  • 子ども本人が払い出しに同意していること
  • 各金融機関が定める必要書類を提出すること

中学・高校の入学費用や留学資金など、18歳前に必要な出費にも対応できるようになっています。

年間投資上限額と非課税保有限度額

年間投資枠はジュニアNISAの80万円からこどもNISAでは60万円に引き下げられる一方で、非課税保有限度額は400万円から600万円へと引き上げられています。非課税保有期間の無期限化とともに、長期でまとまった資産形成につながる制度設計と考えられます。

投資対象

ジュニアNISAは上場株式やETFへの投資が可能でしたが、こどもNISAの投資対象は投資信託のみです。値動きの大きい個別株は対象外となり、長期の分散・積立投資に適した投資信託に絞られています。

こどもNISAのメリット・デメリット

こどもNISAには子どもの将来に向けた資産形成を支援する利点がある一方、注意すべき点もあります。活用を検討する前に、メリットとデメリットの両面を把握することが大切です。

こどもNISAのメリット

こどもNISAは未成年者の資産形成に役立つ、利便性の高い非課税投資制度といえます。ここでは、具体的な3つのメリットを解説します。

1.教育資金を効率的に準備できる

こどもNISAの大きなメリットは、投資で得た利益(売却益・分配金)に対して課税されない点です。通常の投資では利益に対して約20%の税金が課されますが、こどもNISAを活用すれば利益部分を全額受け取れます。年間60万円・最大600万円の非課税枠を活用することで、教育資金等の効率的な準備が可能になるでしょう。

2.子どもが18歳前でも資金を引き出せる

ジュニアNISAは子どもが18歳になるまで資金の引き出しができませんでしたが、こどもNISAでは12歳以降、一定の条件を満たせば引き出しが可能になります。目的は教育資金に限られますが、急な進学プランの変更などにも柔軟に対応できるようになるでしょう。

3.子どもの金融教育の機会になる

こどもNISAは子ども名義の口座で運用するため、親子でお金や投資について話し合うきっかけになります。12歳以降の払い出しには子ども本人の同意が必要とされているため、子どもが資産の存在を把握し、金融リテラシーを身につける機会が自然に生まれます。将来の資産運用や資産管理能力を育てる機会としても有効といえるでしょう。

こどもNISAのデメリット

こどもNISAにはメリットがある一方で、投資の制度として避けられないリスクや運用上の手間も存在します。ここでは、こどもNISAのデメリットや注意点について解説します。

1.元本割れのリスクがある

こどもNISAは投資信託を投資対象とするため、価格変動により投資した元本を下回る可能性があります。特に注意が必要なのは、引き出しのタイミングで元本割れが生じた場合です。こどもNISAを活用する際は、運用期間と資金が必要な時期を見据えて、慎重に運用する必要があります。

2.口座管理の手間がかかる

こどもNISAでは、親のNISA口座とは別に子ども名義の口座も親が管理する必要があります。子どもが複数いる場合は、さらに管理する口座がふえます。それらに対し、運用状況の確認や必要に応じた積立額の見直しなど、継続的な管理が必要です。

3.課税される場合がある

投資する資金が親や祖父母からの贈与の場合、その年の他の贈与との合計額が110万円を超えると贈与税がかかります。また一定の要件を満たさずに資金を引き出すと、そのNISA口座で過去に非課税とされた配当等や売却益、払い出し時の含み益に課税されます。
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こどもNISAの活用方法

こどもNISAをどのように活用するかは、家庭の資産状況や子どもの将来設計によって異なります。ここからは制度の特性を活かした具体的な活用方法を紹介します。

児童手当を積み立てて教育費を準備

児童手当を生活費に充てずに、こどもNISAの積み立てに回すのは、シンプルな活用法の一つです。2024年の制度拡充により、児童手当は高校卒業まで支給され、第3子以降は月額3万円に増額されました。0歳から受け取れる児童手当を全額積み立てると、非課税口座での運用効果も加わり、教育費を効率よく準備できます。
たとえば、毎月5万円を年率1%で積み立てた場合、18年後の元利合計は1,182万円になります(あくまで試算であり、将来の結果は保証されるものではありません)。また、想定利回りが3%、5%と高くなると、期待できる将来の資産額も大きくなります。
18年後の「こどもNISA」(月5万円投資) 年率5% 1,726万円 年率3% 1,424万円 年率1% 1,182万円 元本 1,080万円

子どもの将来のために積み立てておく

こどもNISAの資産の使途は自由なため、教育費として引き出さず、子どもの将来のために積み立てておくことも可能です。通常のNISAに引き継がれた資産を、社会人になってからの自立資金や住宅取得の頭金といった、子ども自身のライフイベントに活用できます。

祖父母からの教育資金の贈与の受け皿として

祖父母から孫への教育資金支援の贈与に、こどもNISAを活用するケースも想定されます。これまでは「教育資金一括贈与の非課税制度」がありましたが、新規拠出は2026年3月31日をもって終了しました。教育資金一括贈与の非課税制度は1,500万円まで非課税で贈与できましたが、金融機関への領収書の提出といった手続きが必要でした。こどもNISAを用いた暦年贈与であれば、より簡便な手続きで毎年資産を移転でき、運用益が非課税になります。

こどもNISAへの親・祖父母からの贈与

こどもNISAの資金を親や祖父母が拠出することは、贈与にあたります。ここでは、こどもNISAに関連する贈与税のルールや注意点について解説します。

こどもNISAと贈与

親や祖父母のこどもNISA口座への資金拠出は、法律上「贈与」に該当します。贈与税は受贈者(子ども)を単位として課税され、1年間に受け取った贈与財産の合計額が基礎控除額の110万円を超えた場合に課税対象となります。こどもNISAの年間投資枠は60万円であるため、ほかに贈与がなければ通常は課税されません。ただし、祖父母や親族から複数の贈与を受けている場合は合計額で判定されるため、年間の受取総額を把握する必要があります。

生前贈与加算の対象となるケース

贈与税の基礎控除内であっても、贈与者が亡くなった場合には「生前贈与加算」に注意が必要です。生前贈与加算とは、被相続人(亡くなった方)が生前に行った贈与のうち、相続開始前の一定期間内のものを相続税の課税価格に加算する制度です。2023年度税制改正により、2024年1月1日以後の贈与財産について、生前贈与加算の対象期間が「相続開始前3年以内」から段階的に「相続開始前7年以内」に延長されています。
こどもNISAでの贈与も、亡くなる直前に行われたものは相続税の対象となる可能性があります。ただし、加算の対象は「相続または遺贈により財産を取得した者」だけです。通常、孫は法定相続人ではないため、遺言による遺贈でなければ、祖父母からの贈与は亡くなる直前であっても7年加算ルールの対象外です。

定期贈与と見なされるリスク

毎年60万円をこどもNISA口座へ拠出しても、通常は贈与税の課税対象とはなりません。しかし、毎年同じ金額・同じ時期に贈与を繰り返すと、税務署から「定期贈与」と見なされるリスクがあります。定期贈与とは、たとえば「10年間にわたって毎年60万円を贈与する」という約束を、「合計600万円の贈与を分割で受けている」と評価する考え方です。定期贈与と判断されると、合計額に対して贈与税が課される可能性があります。定期贈与と認定されないためには、毎年贈与契約書を作成して各年の独立した贈与であることを明確にする、金額や時期を年によって変えるといった対策が考えられます。

名義預金を避けるための対策

こどもNISA口座は子ども名義で開設されますが、実態として親や祖父母が完全に管理している場合、税務上「名義預金」と判断されるリスクがあります。つまり、贈与が成立したとみなされず、親や祖父母の財産であるため、資金源の親や祖父母が亡くなったときに相続財産として扱われる可能性があります。名義預金とは、口座名義人と実質的な口座の所有者が異なる預金のことです。贈与として認められるためには、子どもが実質的に資産の存在を認識し、管理に関与していることが望ましいとされています。
そのため、子どもが理解できる年齢になったら口座の存在や運用状況を伝え、一緒に確認する習慣をつけると良いでしょう。また、贈与契約書の作成や、資金拠出を銀行振込にするなど、贈与の実態を証明できるよう専門家との相談が有効です。

まとめ

こどもNISAは、廃止されたジュニアNISAの課題を解消し、より柔軟かつ長期的な資産形成を可能にする非課税の投資制度です。教育資金の準備から子どもの将来の自立資金まで幅広い用途での活用が期待されます。
また、親や祖父母による口座への資金拠出は贈与に該当しますが、適切に活用すれば有効な資産承継の手段となります。税務上のリスクを避けるために贈与のルールを正しく理解し、こどもNISAを子どもの資産形成に役立てるのがおススメです。

記事提供:株式会社LITTLE DISCOVERY

執筆者:松田 聡子(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、DCアドバイザー)

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(2026年8月14日現在)
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