

事業承継がはらむさまざまな問題 後継者へスムーズに事業を引き継ぐために取り組むべきこと
事業承継は多くの問題をはらんでおり、それゆえに思ったとおりに進まないことが多々あります。事業を承継するオーナー経営者と、オーナー経営者を親に持つ次の世代に向けて、事業承継の問題点を整理してお伝えします。事業承継や相続について考える上で、ぜひ参考にしてください。
事業承継を取り巻く現状
事業承継とは
事業承継とは、会社の経営権や資産を後継者へと引き継ぐことです。事業承継では、経営権・経営資源・物的資産という3つの要素を引き継ぎます。具体的には、代表取締役社長の地位を託し、経営理念や経営や実務のノウハウ、人脈や情報、事業用資産等を渡すことで、事業承継が完了します。
今、多くの企業が後継者不足に悩んでいることから、事業承継はテレビや新聞などのメディアで頻繁に取りあげられています。
また、東京商工リサーチの「全国社長の年齢調査(2021年)」によると、社長の平均年齢は次のように推移しています。

中小企業の現状
中小企業は、日本社会を支える重要な存在であり、雇用の創出に大きく貢献しています。また、中小企業の中には、世界的なシェア獲得につながる先端技術を持つ会社や、地域資源を有効活用し伝統を継承する会社など、後世に残すべき技術や伝統を持つ会社がたくさんあります。
その中小企業の多くが、社長の高齢化に伴う後継者問題に悩まされているのです。
高齢の経営者が勇退を選択しない6つの理由
1.後継者が未決定
2.後継者の育成不足
3.取引先、従業員の賛同を得られない可能性
4.事業承継で相続トラブルが生じる可能性
5.事業承継を相談する相手がいない
6.経営の第一線から退く意思がない
経営者が知っておくべき事業承継にまつわる問題
事業承継は、経営における一つの重要なステージで、経営者にとっては「最後の大仕事」ともいわれています。経営の出口戦略でもある事業承継を進めるにあたり、経営者は次のようなことを考慮しておく必要があります。
- 事業承継できなかった場合のリスク
- 事業承継の種類とそれぞれの問題点
- 事業承継と相続の関係
事業承継できなかった場合のリスク
多額の廃業コストがかかる
廃業する時は、不動産を売却したり、機械設備を廃棄したり、従業員に退職金を支払ったりと、多額の廃業コストがかかります。廃業コストが数百万円から1千万円超に及ぶことも少なくありません。場合によっては、廃業後に手元に残る金額が想像以上に少なくなり、勇退後に生活苦に陥ってしまうリスクが生じます。
また、負債を抱えている場合、自宅等の個人資産を売却しなければならなくなるケースもあります。それでもなお個人負債が残った場合、勇退後も働いて負債を返済していかなくてはなりません。家族総出で返済に追われるリスクもあります。
従業員が雇用を失う
商品・サービスがなくなる
事業承継の種類とそれぞれのリスク
親族内事業承継の意味とリスク
社内事業承継の意味とリスク
社内事業承継では、役員や従業員の中からふさわしい人物を選んで事業を引き継ぎます。
社内事業承継では、後継者から譲渡対価を受け取り、株式を売却する手法を取ることが一般的です。しかし、従業員が株式を買い取るための十分な資金を蓄えているとは限りません。従業員に事業を引き継ぐと決めたら、買い取り資金の確保について早めに検討し、準備を進めていく必要があります。
M&Aによる事業承継の意味とリスク
M&Aでは、広く第三者の中から候補者を探し、ふさわしい人物(会社)に事業を引き継ぎます。
事業承継と相続の関係
事業承継と相続は密接な関係にあり、この2つに関わる問題が起こることがあります。
親族内事業承継と遺留分
遺産を引き継ぐ権利を持つ法定相続人は民法で定められており、法定相続人のうち配偶者・子・直系尊属には、遺留分が認められています。遺留分とは、最低限引き継げる遺産の割合のことで、法定相続分をもとに計算されます。
社内事業承継・M&A後の相続税の支払い
事業承継を成功させるために
経営者としてどのような準備をすれば、事業承継を成功させることができるのでしょうか。5つのポイントをご紹介します。
早めに事業承継を検討する
事業承継において、後継者育成や税金対策、買い取り資金の準備などには、十分な時間をかける必要があります。
経営の問題点を解決しておく
事業承継を意識し始めたら、財務状況をはじめ経営の現状把握をしっかりと行い、事業承継におけるリスクや問題点を洗い出しておきましょう。リスクや問題点を把握すれば、早めに対応策を検討でき、場合によっては手を打つことができます。
国の優遇制度を活用する
事業承継を後押しするため、政府はさまざまな優遇制度を用意しています。「事業承継税制」や「事業承継・引継ぎ補助金」といった優遇制度を活用すれば、相続税・贈与税が一部免除されたり、事業承継にかかる経費の補助を受けられたり、さまざまなメリットを享受できます。優遇制度の内容や期限を確認し、積極的に活用を検討しましょう。
「事業承継税制」について、くわしくは下記をご覧ください。
事業承継と合わせて相続対策を始める
中小企業のオーナー経営者にとって事業承継と相続は切っても切り離せないものであるため、事業承継を進める際は同時に相続対策も行うことをおすすめします。株式の移転方法をよく検討し、事業承継税制などの制度を理解して相続対策にも取り組み、事業承継と相続対策が万全なものとなれば、さまざまな不安が解消されるはずです。
信頼できる専門家を探して相談する
また、事業承継や相続対策でお悩みの際は、豊富な事業承継支援実績を持つMUFGウェルスマネジメントにぜひご相談ください。事業承継から相続対策に至るまで、グループの総合力で適切なソリューションをご提案します。
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三菱UFJ銀行では、総合金融グループ「MUFG」の力を結集し、ウェルスマネジメントのプロがお客さまの事業承継、資産承継、資産運用などをサポートします。お気軽にご相談ください。
- お問い合わせ・ご相談は株式会社パイプドビッツが運営するサイトにて受け付けております。
執筆者:木崎 涼(ファイナンシャルプランナー / M&Aシニアエキスパート)
- 本記事は、2022年5月時点の税制、その他関連法規に基づく内容であり、今後の改正等により相違が生じることがあります。本記事は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。商品の購入時にはお客さまご自身でご判断ください。本記事は、当行が信頼できると判断した外部執筆者に執筆を依頼したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本記事の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答えしかねますので予めご了承ください。また、本記事の記載内容は、予告なしに変更することがあります。銀行からの融資には所定の審査があります。審査の結果、ご希望に沿いかねる場合があります。遺言信託や遺産整理業務等の相続関連業務については、当行は三菱UFJ信託銀行の信託代理店としてお取り扱いいたします。当行は信託代理店として媒介をいたしますが、当行には、契約締結に関する権限はなく、ご契約に際しては、お客さまと三菱UFJ信託銀行が契約当事者となります。IPO、M&A等の相談をご希望の場合は、当行は、お客さまのお申し出にもとづいてグループ会社をご紹介いたします。
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