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【特集】財前誠吾のウェルスマネジメント 事業承継編「時を継ぐ選択」
銀行・信託・証券の専門チームがサポート
  1. お問い合わせ・ご相談はスパイラル株式会社が運営するサイトにて受け付けております。
【特集】財前誠吾のウェルスマネジメント 事業承継編「時を継ぐ選択」
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本特集は、お客さまからの資産にまつわる“さまざまな想い”に、「財前誠吾」が徹底的に寄り添い、ゴールへと導くショートストーリーです。ストーリーを通じて、とあるウェルスマネジメントの世界を紐解きます。
  1. ストーリーはフィクションです。登場する人物・会社、エピソードは事実に基づいたものではございません。
六十代の開業医・白川浩一は、後継者不在のため「自分の代で医院を閉じるしかない」と思い込んでいた。だが、アンティーク時計店で出会った財前誠吾から「共同経営という承継の形」があると示され、揺らぎ始める。対話を重ねるうちに、白川は理念や職員の将来を言葉にし、地域医療をどうまもるかを考えるようになる。患者の声や子どもたちの支えを受け、ついに共同経営への署名を決断。止まったままの柱時計を自ら巻き直し、その再び刻み出す音に医院の未来を重ねる。

止まりかけた時 

医院の事務室の壁に掛けられた柱時計は、長年の時を刻みながらも、最近はしばしば針が止まるようになっていた。白川浩一は、ふとそれを見やりながらカルテに目を落とす。六十代後半、地域の人々に信頼されてきた開業医であり、医療法人の理事長でもある。だが、院内には自分の後を継ぐ者はいなかった。子どもたちはそれぞれ別の道を歩み、職員も皆、年齢を重ねている。医院を続けたい気持ちは強いが自分の代で幕を下ろすしかない——そう思い込んでいた。
診察を終え、ふと窓の外に目をやると、秋の夕暮れが町を柔らかく染めていた。長年続けてきた日常の風景が、どこか遠くに感じられる。そんな気持ちを振り払うように、翌日の休診日、白川は銀座の小さなアンティーク時計店を訪ねることにした。医院の柱時計が止まりがちなこともあり、かねてから修理や買い替えを検討していたのだ。
静かな店内で、彼は古いゼンマイ時計を手に取り、じっと見つめた。針の進みはゆるやかで、時折ぴたりと止まる。その姿は、どこか自分の医院に重なって見えた。続けたいが、いつかは止まる。支える力がなければ、継続は難しい。そんな思いに沈んでいたとき、横にいた背の高い男が口を開いた。
「目が離せない一台ですよね。振り子の間合いがきれいで、つい見入ってしまう」
突然の声に振り返ると、グレーのコートの男が、ゼンマイ時計の振り子の軌跡を目で追っていた。落ち着いた物腰ながら、瞳の奥には確かな熱がある。時計談義が自然な流れで始まり、白川も思わず応じた。仕組みや修理の話から、気づけば人生や仕事観のような話題にまで広がっていった。
会話の盛り上がりを察して時計店の店主が声をかけた。「よろしければ奥でどうぞ。」促されて二人は小さな丸テーブルに腰を下ろした。そして男は白川に名刺を差し出し、財前誠吾と名乗った。
財前は少し間を置き、「私は昔から金融の仕事に携わってきました」と切り出した。「企業や個人がどうやって次の世代へ事業や資産を渡すのか、その支援をしているんです。時計を眺めていた先生のお顔を見て、なにか重ねているのではないかと感じまして」
白川は苦笑し、しばらく黙った。図星を突かれたような感覚だった。財前は言葉を選びながら続ける。「地域に根差した医院もまた、人から人へと受け継いでいくものですよね。存在そのものが、暮らしに欠かせない基盤になっている」
その言葉に、白川の胸の奥で何かが小さく動いた。財前はさらに問いかける。「先生は、医院を将来どうなさるおつもりなんですか?」
白川は迷ったが、心に溜め込んでいた思いを初めて外に出した。「……後継ぎがいないんです。子どもは別の道に進み、職員も皆、年齢を重ねています。外部に譲る方法もあるかもしれないが、大事な職員や患者を大切にしてくれるのか、信用できない。閉じるしかないと、ずっと思ってきました」
口にした途端、それは想像以上に重く響いた。自分の声であらためて現実を突きつけられ、白川は目を伏せる。財前はしばし沈黙し、やがて穏やかに言った。「閉院が唯一の道、とは限りません。たとえば、他の法人や経営者と組み、共同で医院を運営する形もあるんです」
白川が顔を上げると、財前は真剣な眼差しでこちらを見ていた。「もちろん、簡単な話ではありません。オーナーとしての立場は譲らざるを得ない。しかし理事長としてのこり、理念をまもりながら関わり続ける道はあります」
唐突な押しつけではなく、ゆっくりと導かれるように差し出された言葉だった。白川はすぐに答えを出せなかったが、心の奥で柱時計の音が確かに響いた気がした。止まりかけてはいても、ゼンマイを巻き直せば再び動き出す。そう思うと、胸の奥で静かなざわめきが広がっていった。

止まった針

白川は、時計店で財前と別れたあとも、心の中に妙な余韻をのこしていた。閉院しか道がないと固く信じていた自分に「ほかの選択肢がある」と告げられたことは、救いであると同時に、これまでの決断を揺さぶる重さをともなっていた。長年支えてきた医院をどうするのか——その問いが現実味を帯びて迫ってきたからだ。
翌朝、白川は携帯を手に取り、名刺に書かれた番号を押した。呼び出し音のあと財前の落ち着いた声が聞こえた。白川はしばらく言葉を探し、ようやく口を開いた。「先日の話ですが、もう少しくわしく聞かせてもらえませんか」
数日後、医院の応接室で二人は向かい合った。窓からの柔らかな光がテーブルを照らし、資料が整然と並べられている。湯気の立つカップを間に、財前は静かに切り出した。「まずは先生のお考えを伺いたい。医院をのこすことに、どんな意味を感じていらっしゃいますか」
白川は少し考えてから答えた。「地域に根差してきたことです。長く通ってくださる方が多い。なくなれば困る人が出ます」
財前はうなずき、その言葉を受けとめるようにゆっくりと返した。「なるほど。先生が大事にしてきたのは“地域にとっての居場所”ということですね。言葉にすることで先生の考えが整理されます。その整理を出発点に、どうのこすのが適切かを一緒に検討していけるはずです」
続けて財前は問いかける。「もし託すとしたら、どんな相手が望ましいと感じますか」
白川は即答できなかったが、やがて静かに言った。「患者本位で医療を考えてくれる人でなければ、意味がありません」
「それが条件ですね」と財前は頷いた。「経営の形は譲渡か、共同経営か、いくつかの選択肢があります。出資持分の整理など、資本構造の重みも考慮する必要がありますが、ただ重要なのは、先生が大切にしている理念をまもる形になっているかどうかです。私の役割は、その考えを一緒に言葉にし、資産や生活全体と照らし合わせて整理していくことです」
話し合いは五時間に及んだ。理念の確認から、生活設計、家族の将来像、そして職員高齢化への対応策まで、幅広いテーマを行き来するうちに、白川の頭の中で曖昧だった線が少しずつ形を成していった。
その数日後、診察を終えて事務室に戻る途中、ふと待合で患者同士が交わす会話が耳に入った。「ここがあるから、ちょっとした不調でも様子を見てもらえるんです。助かりますよ、ほんと。」——当然のように思える何気ない言葉だったが、白川には重く響いた。地域にとっての意味を再確認させられる一言だった。
帰り道、商店街の灯りが一つまた一つと点いていく。白川は夕食の食材を買いながら思った。続けたい気持ちはある。そのためにはどうのこすのか。その答えを形にしなければならない。
週末、久々に子どもたちが家に集まった。鍋から立ち上る湯気が食卓を包み、煮込み料理の匂いが部屋に広がる。世間話がひと段落したところで、白川は少し間を置き、落ち着いた声で切り出した。「実は、医院のことを考えている。閉じるか、外部の力を借りて続けるか——」
長男が先に口を開いた。「なくなって困る人がいるなら、のこす方法を探したほうがいいんじゃないか」次いで娘が言った。「お父さんが悔いのない選択をしてくれることが一番大事だと思う」
二人の言葉を聞きながら、白川はゆっくりとうなずいた。
その夜、久しぶりに家の空気がよりあたたかく感じられた。

再び刻み出す時

冬の冷たい雨が、医院の窓を静かに濡らしていた。白川は理事会の議長席に腰を下ろし、深く息を吸った。机上には、共同経営の合意書案が整然と置かれている。医院の未来をどうのこすかが、正式に議題となる日がついに来たのだ。
これまで会ってきた三つの候補先はいずれも、財前が丁寧に選んだ堅実な相手だった。
話を重ねるうちに、経営方針や地域への考え方にそれぞれの個性が見えてくる。
白川の心が最も動いたのは、現場を見つめる眼差しが自分と似た一社だった。数週間前から、財前との対話を重ねてきた。理念をどう言語化するか、地域に何をのこすか、職員の生活をどうまもるか——白川が抱く核心を整理し、形にする提案が重ねられた。その過程で、財前が示したのは〈理念→人→資本→ガバナンス〉の順で詰める型だった。理念を言葉に起こし、次に雇用維持と人材の適正配置を仕組みに落とす。資本の入れ方はその後に決め、最後に意思決定の会議体を整える。順番を一つ違えれば、守りたいものがこぼれる——という考え方だった。法的な処理は専門家の領域だが、その方向性は財前との時間の中で深まっていった。
「白川先生がのこることに、相手も大きな意味を見いだしています」財前は隣で小さく告げた。「先生が理念を言葉にしてくださったからこそ、この形につながったのです」
理事たちの視線を受けながら、白川は署名欄に万年筆を走らせた。それは、共同経営への参加を正式に認める署名だった。静かな筆音が会議室に響く。紙面に自分の名が刻まれた瞬間、心の奥に重くのしかかっていたものがすっと解けていくのを感じた。医院は続く。自分の手を離れながらも、自分がまもってきた理念とともに。
会議が散じたあと、白川はひとり事務室に戻った。壁の柱時計は、まだ針を止めたまま静かに佇んでいる。彼はゆっくりとゼンマイを巻き、針に指を添えた。カチリと音を立てて秒針が動き出す。やがて規則正しい音が部屋に広がり、空気を震わせる。その拍に合わせるように、自分の胸の奥でも鼓動が力を取り戻していくのを感じた。
それから数日後の夜、自宅の食卓には再び子どもたちが集まっていた。報告の場を設けたいと白川が声をかけたのだ。彼は台所で手際よく料理を仕上げ、皿を並べる。食卓を囲む温かな笑い声に耳を傾けながら、ふと柱時計の音を思い出す。止まった時間を再び動かしたのは、選択を先送りにしなかった自分自身の意思だった。
「お父さん、顔つきが変わったね」娘が微笑み、長男も頷いた。「これからの医院をどうしていくか、楽しみにしてる」
白川は照れくさそうに笑い、グラスを手に取り、ゆっくりと飲み物を流し込んだ。雨はすでに上がり、窓越しに澄んだ冬の夜空が広がっていた。柱時計の針が刻む音は、これからも続いていく未来を告げるように響いていた。
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財前誠吾プロフィール

財前 誠吾(ざいぜん せいご)
長年の海外赴任を経て、現在は国内大手金融機関のウェルスマネジメント部門に所属。
財前の顧客へのアプローチは、まず人生のゴール(想いや願い)を聞くことから始まる。その中において、資産はあくまでもゴールへの到達手段の一つに過ぎない。それよりも資産にまつわる“さまざまな想い”を徹底的に紐解き、より具体的なゴールへの道筋を組み立てていく。財前の元には多岐にわたる相談が日々舞い込む。顧客の真の想いとは何なのか。ゴールへの道筋をどのように描くのか。財前の挑戦は続く。

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私たちMUFGウェルスマネジメントは、「あなたの想いを未来につなぐ」ために、お客さま一人ひとりに合ったサービスをお届けします。
  • ポイント①

    お客さま一人ひとりのための
    オーダーメイドソリューション
  • ポイント②

    お客さまのめざすゴールの実現に向けた
    「ゴールベースアプローチ」による
    アドバイス
  • ポイント③

    MUFGグループの総合力による
    課題解決へのアプローチ
  • ポイント④

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  • ポイント⑤

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