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【特集】財前誠吾のウェルスマネジメント MBO編「与える承継、選択する承継」
銀行・信託・証券の専門チームがサポート
  1. お問い合わせ・ご相談はスパイラル株式会社が運営するサイトにて受け付けております。
【特集】財前誠吾のウェルスマネジメント MBO編「与える承継、選択する承継 」
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本特集は、お客さまからの資産にまつわる“さまざまな想い”に、「財前誠吾」が徹底的に寄り添い、ゴールへと導くショートストーリーです。ストーリーを通じて、とあるウェルスマネジメントの世界を紐解きます。
  1. ストーリーはフィクションです。登場する人物・会社、エピソードは事実に基づいたものではございません。
「継がせたいのは、会社か。それとも、人生か。」事業に成功した父が直面するのは、ただの事業承継ではなかった。信じたい娘、気がかりな婚約者、譲ることの不安と、委ねる勇気。決めるのは、誰かではなく、自分自身。静かに寄り添う財前誠吾の言葉が、心の奥に火を灯す。

揺れる意思

安藤健吾は、自動運転技術のスタートアップを起業し、十数年かけて社員500人規模の企業にまで成長させた。上場こそしていないが、業界では高い技術力と堅実な経営で知られる企業である。現在は会長職に退き、資産は75億円。世間的には「成功者」だが、彼の表情は冴えない。安藤は、冷めかけたコーヒーを手に呟いた。
「娘は現在、取締役として経営企画を担当している。今はまだ経験も知識も乏しいため経営者となるのはもう少し先の話にはなるが、経営者としての資質はあるし、将来的に会社を継ぐ意欲もある。引っかかっているのは、娘は将来的に会社をそのまま“継がせてもらう”つもりでいるのかもしれない、ということなんだ。自分が経営者となることにより、どれだけの責任を背負うのかを、本当に理解しているのかどうか……」
対面に座る財前誠吾は、黙って頷いた。
「娘の婚約者の存在も気がかりなんだ。元M&Aファンド出身、現在は社外顧問の立場で助言をしてくれているが、どうも、会社そのものを“数字で切り売りする対象”と見ている気がして」
安藤の声には、父としての愛情と経営者としての警戒心が交錯していた。
「娘を信じたい。でも、この会社を誰よりもよく考えてきたのはこの私だ。軽く扱われたくない。その想いが、判断を鈍らせているのかもしれない」
財前はコーヒーに口をつけた。
「それでも、“渡す側”がいつまでも握り続けていては、未来は始まりません。委ねるタイミングを見極めることも、経営者の務めです」少し言葉を探すようにして、静かに続けた。
「簡単なことではありません。だからこそ、“ただ委ねる”のではなく、“条件付きで委ねる”という選択肢を検討されてはいかがでしょうか」

自ら選択する構図

「MBO……?」
安藤が眉をひそめた。
財前は穏やかな口調で応じた。
「MBO、マネジメント・バイアウトとは経営陣が株式や一部の事業を買い取ることで、経営権を取得するM&Aの手法の一つです。現経営陣が資金を集めて、現在のオーナーから株式を取得し、自らの意思で経営を引き継ぐ。外部資本を入れずに済む分、文化や価値観を守れる一方で、資金調達と社内の結束、それと“覚悟”が必要になります」
安藤は腕を組んだまま、しばらく黙っていた。
「だが、娘にそこまでの覚悟があるだろうか……。娘が“継ぎたい”のは会社じゃなくて、“今の安定した地位”だけなのかもしれない」
数日後、財前は一つの提案を携えて再訪した。設計はシンプルだが本質的だった。安藤が保有する株式を段階的に放出し、現社長を中心とした経営陣によるMBOの枠組みを構築。その中に、娘も経営陣の一員として少額出資し、将来の承継候補として関与させるという案である。
婚約者の影響を排除するため、出資者の範囲は限定し、議決権の設計も経営参加の深度と業績評価に応じて段階的に付与される構成だった。
安藤を側近として長年支えてきた現社長も、将来的に経営を引き継ぐ存在として彼女の資質を認めており、社内にも徐々にその空気が芽生えつつあった。だが、それでも最後に踏み出すのは、彼女自身の意志でなければならなかった。これは、会社にとっても次世代への移行を段階的に進める現実的な一手になると同時に、安藤にとって娘の覚悟を測る機会でもあった。
「株式は分割して移行し、出資比率に応じた配当金はただちに支払われますが、議決権については業績とガバナンス評価に応じて段階的に付与される仕組みです。今回は、いきなり経営を任せるのではなく、“当事者”として責任を体得してもらうための設計です」
財前が説明を終えると、安藤が問い返した。
「MBOに踏み切った場合、娘は幹部とともに会社の一部を“所有する立場”になるわけだが、それは相続でも同じでは?」
「いい質問です」財前が頷いた。
「相続で得た所有と、自己資本を投じて得た所有では、立場の重みがまるで違います。前者は“譲られた責任”、後者は“自ら背負った責任”です。MBOを選ぶということは、今回は少額でも、資本を自ら調達し、責任をともなって経営に臨むということ。それが本質です。表面的にはどちらも承継に見えるかもしれませんが、実態は“自ら選択する覚悟”が問われる行為なんです」
そして、さらに言葉を重ねた。
「それに、誰かに守られて立つ経営者と、自分で買い取って立つ経営者とでは、まったく意味が違います。後者には、自己決定の重さと、失敗に対する真正面からの責任がある」
安藤は小さく笑った。「つまり、いま娘が試されているのは、承継の意思じゃなくて、“独立することへの責任”なんですね」
財前は優しく目を細め応じた。
「ええ。承継とは、“与えられる”のではなく、“自ら選択する”ものです」
安藤はもう一度頷いた。「娘がこの選択を本気で選ぶなら、私は口を出すのではなく、支える立場に回りたい」

意志の証明

翌月。春の陽がやわらかく差し込む午後、財前はPC画面に表示された新着メールに目を止めた。差出人は安藤の娘。件名は「正式なご報告」。
〈社内幹部と協議のうえ、MBOでの承継を前提に資本構成案を策定しました。会社の未来は、私自身の責任で切り拓きたいのです〉
彼女の決断は、財前との議論の後、何度も社内の仲間と対話を重ねた末にたどり着いたものだった。婚約者が業績向上と株価ばかりを気にする一方で、社員の声や企業理念には無関心であることに、彼女自身が違和感を覚えるようになった。そして次第に、彼の視線が“未来”ではなく“投資回収”に向いていることに気づいたのだという。その結果、婚約は白紙に戻し、経営の道を自らの意思で選び取った。
続く文面には、MBOによる借入の覚悟、幹部社員との連携、そして社員への説明会の日程までが丁寧に記されていた。父の保護のもとではなく、将来的に自らこの会社に立つという強い決意が行間ににじんでいた。
その頃、安藤は自宅の書斎にいた。静かな午後、財前にも届いたのと同じメールを、手元のタブレットでじっと読んでいた。娘の綴った言葉を何度も目でなぞる。
「――選んだのか。自分で」
小さく呟いた声には、驚きと、ほのかな誇りが混じっていた。
安藤はその後、会社の庭を歩きながら、娘との過去の会話を思い出していた。
「この会社には、社員の人生が詰まってる。お父さんが守ってきたのは数字じゃないよね?」
そう言っていたあの夜の顔を思い出す。娘は、ただの承継者ではなかった。
安藤が庭を歩きながら過去の会話を思い出していたちょうどその頃、財前のオフィスにも春の午後が静かに流れていた。そして小さく、感心したように呟いた。
「選んだんですね。彼女なりのやり方で」
その日、また一つの家族が、“会社”への想いを通じて、つながりを強くしたのだった。
“与える承継ではなく、自ら選択する承継。MBOにはそのような意志を持たせることもできる”
財前はそう心に刻み、新たな顧客の元へと歩き出した。

財前誠吾プロフィール

財前 誠吾(ざいぜん せいご)
長年の海外赴任を経て、現在は国内大手金融機関のウェルスマネジメント部門に所属。
財前の顧客へのアプローチは、まず人生のゴール(想いや願い)を聞くことから始まる。その中において、資産はあくまでもゴールへの到達手段の一つに過ぎない。それよりも資産にまつわる“さまざまな想い”を徹底的に紐解き、より具体的なゴールへの道筋を組み立てていく。財前の元には多岐にわたる相談が日々舞い込む。顧客の真の想いとは何なのか。ゴールへの道筋をどのように描くのか。財前の挑戦は続く。

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MUFGウェルスマネジメントの強み

私たちMUFGウェルスマネジメントは、「あなたの想いを未来につなぐ」ために、お客さま一人ひとりに合ったサービスをお届けします。
  • ポイント①

    お客さま一人ひとりのための
    オーダーメイドソリューション
  • ポイント②

    お客さまのめざすゴールの実現に向けた
    「ゴールベースアプローチ」による
    アドバイス
  • ポイント③

    MUFGグループの総合力による
    課題解決へのアプローチ
  • ポイント④

    ウェルスマネジメントに特化した
    専任担当者による長期サポート
  • ポイント⑤

    モルガン・スタンレーの
    グローバルなノウハウ活用
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(2025年9月19日現在)
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