“Real Voices”“リアル ボイス”
代表取締役社長兼CEO 岡田 光信 氏(左)
最高財務責任者(CFO) 松山 宜弘 氏(右)
スペースデブリ問題を解決し、宇宙と地球を持続可能に
~ ミドルライフクライシスをきっかけに起業
転機になったのは高校生のとき、NASAのスペースキャンプに参加したことです。日本人宇宙飛行士の毛利衛さんにもお会いし、直筆のメッセージもいただきました。この体験でスイッチが入り、それからは猛烈に勉強しました。大学卒業後は大蔵省(現財務省)に入省。その後、大手コンサルを経て、IT企業の経営に携わっていましたが、40代直前で急に自信を失ってしまいました。この頃はソフトウェアを開発し、世界に向けて販売するビジネスを手掛けていたのですが、世界では勝てないと悟りました。ハードとソフトをセットにすれば勝ち筋があるのではないかと、いろいろ調べました。ちょうど3Dプリンターが興隆してきた頃で、これはと思ったのですが、3Dプリンターの成果品は美しくないとも感じていました。
そんなある日、YouTubeで精密コマの動画を見て、これは美しいと感じ入りました。すぐさま製造している会社にアポをとって見学に行ったら、JAXAに部品を卸している会社だったのです。その部品を見せてもらったら、やはり美しい。これをぜひやりたい、宇宙かもしれないと思い、宇宙関連の論文を読みまくり、学会に出席している中で、スペースデブリの問題に行き当たりました。そして、まだ誰も解決策を持っていないということを知り、その1週間後に創業したのが当社です。
~ シリーズB成立のキーファクター
その後、MUCAPにはシリーズCにも協力していただきました。これは非常に重要で、既存VCが追加投資に応じるというのは、新しく入る投資家にとって大きな安心材料になります。将来性が高いということの何よりの証左となるわけですから。
シリーズCの後、2017年11月に初の衛星打ち上げが失敗し、やっとの思いで開発した衛星を失うという最大のピンチに見舞われました。ディープテックでは、マイルストーンを着実に積み上げていく中で投資家の理解や信頼を得ていくことが求められるため、これは非常に苦しい状況でした。ですが当時の株主は支援を続けてくれたのです。その中でも既存の投資家であったMUCAPも担当キャピタリストが力を尽くしてくださり、追加投資に応じて頂けたのですが、これは本当に嬉しかったし、当時のチーム全員が感動したものです。結果、その後のシリーズDでは当社として過去最高の金額を集めることができました。
~ 存在自体と波及効果
波及効果というのは、宇宙ビジネスは膨大な資金を要するだけに、エクイティだけでなくデット(借入)による資金調達も必要です。そこに関して、三菱UFJ銀行をご紹介いただいたのはMUCAPでしたし、MUCAPにつないでいただいた様々なご縁は、現在、実に大きな支援として我々を支えてくれています。
他にも、上場準備の際には主幹事証券会社を紹介していただくなど、さまざまなかたちでサポートしていただきました。
上場タイミングは諸事情あって2度見直しています。そのときにMUCAPの担当キャピタリストに「上場の前にはすべての企業は平等である」という言葉をいただきました。これは上場前がしんどければその後は楽になるし、上場前が楽ならばその後にしんどくなるという意味だそうです。当時はこれを聞いて『今が大変なのは福作りみたいなもの』と前向きに捉えることができました。そうした、ちょっとした言葉でも勇気づけてくれる、そういう人がいてくれるのがMUCAPなんだと思います。(岡田氏)
~ 2030年までに軌道上サービスを当たり前のものに
通常の日本のスタートアップは、日本でうまくいったあとに諸外国へ進出するということになると思いますが、スペースデブリの問題はそんなに悠長なことをしている場合ではありません。当社のグローバルな事業展開は一番お金がかかるやり方ではありますが、スピード感を持った対応をしていることは国内外の投資家からポジティブに捉えていただいています。こうした動きをますます加速させていきたいですね。
若手経営者へのメッセージ
会社名
株式会社アストロスケールホールディングス
主な事業内容
- 衛星運用終了時のデブリ化防止の為の除去
- 既存デブリの除去
- 衛星の寿命延長
- 故障機や物体の観測・点検
沿革
| 2013年 | 5月 | シンガポールにASTROSCALE PTE. LTD.を設立 |
|---|---|---|
| 2015年 | 2月 | 株式会社アストロスケール(日本)設立 |
| 2017年 | 3月 | Astroscale Ltd. (英国) 設立 |
| 2019年 | 3月 | 株式会社アストロスケールホールディングス設立 本社機能を日本に移転 |
| 2020年 | 2月 | JAXA商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズIのパートナー企業に選定 |
| 6月 | Astroscale Israel Ltd.(イスラエル) 設立 | |
| 2021年 | 3月 | デブリ除去技術実証衛星ELSA-dの打ち上げに成功 |
| 8月 | ELSA-dが模擬デブリの再捕獲に成功 | |
| 11月 | 次世代ドッキングプレートを発表 | |
| 2022年 | 4月 | ELSA-dが高難度の誘導接近の実証に成功 |
| 2023年 | 5月 | 本社を移転 |
| 6月 | Astroscale France SAS(フランス)設立 | |
| 7月 | 見学施設「オービタリウム」開設 | |
| 2024年 | 2月 | 世界初のデブリ調査衛星ADRAS-Jの打ち上げに成功 |
| 6月 | 東京証券取引所グロース市場へ上場(証券コード:186A) |
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