アルゼンチン共和国経済省発表 3月6日付投資家宛て書簡(和訳)
我々は、アルゼンチン共和国の対外債務の状況に関し債権者との協議を開始するため、かつ共和国の現在の信用状況に関する問題解決を促進する交渉を開始できるよう懸命に努力しており、その一環としてこの書簡をお送り致します。
現在のところ、我々は、継続維持可能な経済政策の策定に全力で取り組んでおります。かかる過程が続く中、我々の対外債務に関する状況につきまして、投資家の皆様に継続的に情報を提供するよう最大限努力する所存です。かかる目的から、アルゼンチン共和国が発表しました対外債務に関する対策案の概要につき以下の通り投資家の皆様にお知らせする次第です。
2001年12月24日、アルゼンチン共和国は、同日付で公的対外債務の元利金の支払を延期する旨および債務再構築のための協議を債権者との間で開始する旨の声明を報道機関に発表しました。当該決定は、共和国の長引く不況、財政不均衡および国際資本市場へのアクセスの欠如を理由になされました。このような状況は、国家および共和国民に甚大な窮状と社会不安をもたらし、その結果、2001年12月21日のフェルナンド・デラルア大統領政権の総辞職、その後、政情不安が続く中で2002年1月2日のエドアルド・ドゥアルデ新政権の発足に至りました。
就任以来、ドゥアルデ政権は12月24日の宣言を是認してきました。ドゥアルデ大統領は、政府機能を維持するにために利用可能な資源を考慮し、2002年2月6日に大統領令を発し(これを受けて2002年2月8日の新聞発表となりました。かかる発表文はご参考までに本書に添付してあります。)、それにより債務の支払延期を継続させ、かつ共和国経済省に債務の再構築に必要な措置を講じ、必要な諸条件を規定するための権限を与えました。
共和国は、国家の金融システムの健全性を確保し、かつ国家を財政、金融、経済の面において持続的安定の道へ導くための経済政策を策定し実行するべくあらゆる努力をしております。共和国は、現在、以下の主要目標の達成に注力しています。すなわち、(1)金融システムの健全性の確保および国の対内支出の再生並びにアルゼンチン国民の流動性確保、(2)国内外の資源を考慮したうえでの健全な国家予算の成立、(3)持続可能な経済政策の確立のためのIMFとの協議を含む共和国の債権者との交渉の開始です。
我が国の債務の再構築を成功させるためのかかる過程は、リサンドロ・バリー財務次官のリーダーシップのもとに推し進められます。バリー氏率いるチームは、現在、債権者の皆様と実りある対話を行うため計画を策定中であり、近い将来、債権者の皆様とさらなる協議を行う予定です。かかる協議の正確な時期については現時点では確定いたしかねますが、共和国に債権者の皆様と有意義な協議を行う用意ができ次第実行することをお約束致します。
共和国は、対外債務の支払延期により、債権者の皆様に大変なご迷惑をおかけしておりますこと、および今後もおかけするであろうことをよく承知しており、皆様に感謝する次第です。支払延期は、共和国が直面した国家非常事態においては回避不可能な決定でした。共和国は、今後共債権者の皆様の利益を極めて重要なものとして位置付けつつ経済・金融戦略を推進させる所存です。債権者の皆様には、定期的に状況をお知らせ致します。我々は、公平性かつ透明性を協議を進めるうえで大切にするべき重要な原則として捉えておりますことを、我が国の債権者の皆様に再確認する次第です。
ホルヘ・レメス・レニコフ
経済およびインフラストラクチャー大臣
プレスリリース
別紙
平成14年2月8日
2月6日、ドゥアルデ大統領は、政府の債務返済を再構築するための必要な準備を行う権限を経済省に付与する大統領令に署名した。さらに、経済省は、かかる命令により、政府機能を維持するため国家のどの債務を再構築するべきかを利用可能な資源を考慮しつつ決定する権限をも付与された。この新たな命令は、2001年12月24日付の公的対外債務の支払延期を発表した政府宣言に添うものである。
この命令に署名するにあたり、大統領は、アルゼンチンが、長びく不況と国際資本市場へのアクセスの欠如が国家および国民にもたらした甚大な窮状により債務の支払延期を余儀なくされたと示唆した。
政府は、アルゼンチンの金融システムの健全性を確保し且つ国家を財政面および金融面において持続的安定の道へ導くためさまざまな新しい経済政策を策定し実行するべく全力で取り組んでいる。政府は、金融システムの健全性の確保と銀行口座から貯蓄を引き出す国民のニーズに対する確実な対応、健全な国家予算の成立、ならびに国家を持続可能な経済成長への道へ導くための助けとなる国内外の資源の利用の可能性の判断に注力している。
政府の債務の再構築を成功させるためのかかる過程は、リサンドロ・バリー財務次官により進められていきます。バリー氏率いるチームは、現在、アルゼンチンの対外債権者と実りある対話を行うための計画を策定中であり、近い将来、アルゼンチンの債権者とかかる過程につき協議を開始できる見込みである。
(平成14年3月6日現在)