アルゼンチン共和国及び主要民間債権者の会議の開催について

アルゼンチン共和国円貨債券保有者の皆様へ

 12月3日、ニューヨークにおいて、アルゼンチン共和国(以下「共和国」といいます。)の債務再編に向けた会議が、共和国、主要民間債権者を代表するコンサルタティブグループ及びIMFスタッフ(オブザーバーとして参加)出席の下、開催されました。同会議には、当行担当者も出席いたしましたので、その内容の概要についてお知らせいたします。

  1. 共和国の発言
     共和国ニールセン金融次官より、①本年9月22日アラブ首長国連邦ドバイにおいて発表された債務削減率を75%とすることを中心とした債務再編ガイドライン(以下「債務再編ガイドライン」といいます。)に大きな変化はないこと、②投資家を公平かつ平等に取扱うこと、③具体的な債務再編案の作成及びその実行のため、地域幹事銀行・証券会社を選定すること等、共和国の従前の発言と同様の発言がなされました。
  2. 共和国経済成長率等のモデルについての説明
     共和国フィナンシャルアドバイザーであるLazard Freresより、債権者との議論を深める趣旨で、①債務再編の前提となる諸条件(プライマリーサープラス、為替レート、GDP成長率、金利水準等)の予想を基に共和国の対外債務支払能力を分析できるモデルを構築したこと、②同モデルを12月4日より共和国ホームページにて公開することの説明がありました。(同モデルは共和国経済省ホームページ(http://www.mecon.gov.ar新しいウィンドウを開きます。)に掲載済みです。)
  3. 欧米機関投資家グループによる債務再編案の提案
     欧米機関投資家グループであるThe Argentina Bondholders' Committee(以下「ABC」といいます。)より、債務再編ガイドラインに代わる債務再編案として、延滞利息を全額返済すること、債務削減率の上限を35%とすること等を内容とする提案(以下「ABC案」といいます。)がありました。

     当行は、ABC案に対し①債券の支払条件の変更には債権者集会の決議が必要であり、債券の管理会社としてこの場で決定する権限はなく、また、債券保有者の利益保護を責務とする債券の管理会社としては、元本削減を含むABC案には賛成できず、引き続き共和国に対して全額支払を要請すること、及び②共和国から妥当と考えられる内容の債務再編案が提示された場合には当該提案を債権者集会に諮ることはできるが、そのような提案は共和国と債権者との交渉を経て初めて得られるものであることに言及いたしました。

  4. 当行の発言
     当行は、共和国に対して、①共和国の一方的な説明に基づく債務再編ガイドラインは円貨債券保有者に受け入れられるものでないことを再度強調し、②共和国が日米欧の債権者代表グループとの交渉枠組みを築き、その上で同グループを債務再編の交渉相手として認知する必要があること、及び③共和国のこれまでの債務再編手続は債務再編に関する国際的慣行から逸脱していること及び債務削減の負担が民間債権者に過度に集中していることから、債務削減の負担についてIMF等の国際機関を含めた関係当事者間で再度議論を行う必要があること等を申し入れました。
  5. 債務再編に向けた今後の協議
     ニールセン金融次官より、共和国は2004年1月末から2月初めまでに具体的な債務再編案を固めたい意向であり、そのための債権者との会議を1月中に開催する用意があるとの意思表明がありました。また、ニールセン金融次官は、日米欧の主要債権者グループの代表が共和国と債務再編案について協議するための委員会の設置及び共和国の対外債務支払能力を決定するモデルを債権者・債務者間で検証するための委員会の設置を、IMFスタッフがオブザーバーとして参加している席上にて公式に認めました。

     当行は、来月にも予定されている会議を前に、ABC及びイタリアの個人投資家を中心とする債権者グループであるTask Force Argentina(TFA)との連携を更に強化して日米欧債権者グループの結束力を高め、共和国と折衝していく所存です。

以上

(平成15年12月16日現在)

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