アルゼンチン共和国の債務再編提案について
アルゼンチン共和国円貨債券保有者の皆様へ
- アルゼンチン共和国との面談結果
平成15年10月22日、当行はコンサルタティブ(債権者取り纏め)グループのメンバーとして、アルゼンチン共和国(以下「共和国」といいます。)と面談を行い、債務削減案(以下「本件債務削減案」といいます。)の内容として、元本の75%削減のほか、返済期限の延長などについて共和国から説明を受けました。その内容は以下のとおりです。
<再編案>(*1)
債券の種類 | 元本削減(*2) | 利率の種類 | 利率の幅 | 平均存続期間 | 通貨 |
---|---|---|---|---|---|
元本削減債 | 75% | ステップアップ | 1-5% | 8-32年 | 米ドル等他通貨への変換可能 |
元本維持債 | 0% | 固定 | 0.5-1.5% | 20-42年 | |
準元本維持債 | 30% | 固定 | 1-2% | 20-42年 |
- 本件債務削減案はアルゼンチン共和国円貨債券(以下「サムライ債」といいます。)を含む全ての民間債務を対象としたもので、サムライ債の債務再編に関する具体的な条件等は現時点では、明らかにされておりません。
- 対象債務全体の元本の75%削減を前提とする。
本債務削減案は共和国による一方的なものであり、これらの説明に対し、当行は以下の点を共和国に伝え、また、説明を求めました。
- 本件債務削減案は、債権者にとって到底受入れられないものであること。
- 市場毎の個別交渉を先行させず、まず各国債権者(の代表)と一同に会し、公平・公正な議論をすべきであること。
- 債務削減が必要だとする共和国の主張の根拠が不明瞭であり、第三者による客観的な証明が必要であること。
- 公的機関(国際機関等)も含めた関係当事者間での損失負担方針が明白でないこと。
これに対する共和国の回答は、以下のとおりでした。
- 本件債務削減案は、IMFとの間で合意したマクロ経済見通しに基づき、共和国として将来の返済能力を最大限に評価した結果である。最終的に持続可能な解決策は、共和国の返済能力の範囲内でなければならず、共和国の返済能力は今、同国史上最悪の危機に瀕している。
- 債権者との対話をより効果的に行うために、共和国は各市場において多数の債権者をコンサルタティブグループとしてまとめている。共和国は、各グループとのコミュニケーションを世界同時に行っている。
- 本件債務削減案の根拠となる財政収支などの前提条件は、IMFとの合意に基づくものである。共和国は、既に関係者間で合意された前提条件を第三者が検証することは、債権者を混乱させるものと考える。
- 国際機関との債務再編交渉は、G7に支持された国際金融システムの原理・原則に従ったものであり、共和国は、これらの国際的に認められた原理・原則に異議を唱える立場にない。
当行は、上記の質問を別途書面で共和国に伝えるとともに、同国に対し本件債務削減案についてのより詳細な説明を求めております。また、IMFに対しては、上記各共和国発言について事実確認を行います。
また、現在、当行の担当者がイタリア・米国などに出張し、共和国との今後の交渉において、各国債権者(の代表)が一丸となって臨むための調整を関係者間で行っております。今後の交渉の進め方などについては、別途お知らせいたします。
2.ABRAについて
上記共和国との面談の場で、同国から、「共和国は、ABRA(Argentine Bond Restructuring Agency)を、再編を進める上で共和国が認める公式な交渉相手としては認識していない。共和国は、全ての投資家を、その投資家がどのグループ・団体に属しているかに拘わらず、公平に扱うことを今一度確認するとともに、いかなるグループ・団体に対しても手数料を払ったり、特別扱いをしたりすることはない。」との発言がありましたのでお伝えいたします。
3.債権者集会について
第4回及び第5回サムライ債につきまして、その未償還額面総額の10%以上の残高を保有する債権者から、「ABRA提案を債権者に諮ること」を目的とした債権者集会招集の要請がありましたので、現在、管理会社間で法的・技術的問題点の検証作業を行っております。法的・技術的問題点が解決され、管理会社3行の統一意見として各債権者集会を開催することが決定した場合には、別途、新聞公告等でその旨お知らせいたします。
ご意見、ご要望等がございましたら、以下までお寄せください。
〒100-8388 東京都千代田区丸の内2-7-1
(株)東京三菱銀行市場金融部(Fax 03-3240-3660)
以上
(平成15年11月4日現在)