アルゼンチン共和国円貨債券/同国と債券の管理会社との面談記録

(別紙)

2002年

(2001年12月24日ロドリゲスサー暫定大統領による対外債務支払一時停止発言。)

  • 2月26日
    アルゼンチン共和国円貨債券(以下「本件サムライ債」という。)投資家宛てに現状を説明する公告を行う旨の債券の管理会社(以下「管理会社」という。)からの要請書をアルゼンチン共和国(以下「共和国」という。)在日大使へ手交する。
  • 3月6~14日
    管理会社の一つである(株)東京三菱銀行の担当者がブエノスアイレスに出張(3月6~8日)の上、共和国経済省局長以下と面談し、本件サムライ債保有者への状況説明の重要性を強調。先方はこれを了解。3月6日付共和国レニコフ経済大臣の本件サムライ債保有者宛現状説明書簡を受領し、3月14日付日本経済新聞上で公告する。
  • 3月21日
    ブエノスアイレスにて、日本国大使及び(株)東京三菱銀行ブエノスアイレス支店長が経済省バリー次官と面談し、情報開示の重要性を申し入れる。バリー次官から(IMFとの交渉を見つつ)主要市場での状況説明を検討している旨の説明を受ける。(株)東京三菱銀行から「本件サムライ債保有者への利払い再開及び償還等に関するより具体的な説明が必要である。債務の支払再開に向けてIMFとの協議と平行して、実務的ポイントを詰める機会を本件サムライ債の場合は債券の管理会社、ユーロ債の場合はTrusteeと持つべきである。」と申し入れる。
  • 5月1日
    共和国のルカウフ外務大臣が本件サムライ債の「元本カット」に言及した旨の新聞報道に対して(株)東京三菱銀行から問い合わせを行う。本件サムライ債保有者に誤解を生じさせた事に対する謝罪を旨とするE-Mailを経済省ニールセン次官から(株)東京三菱銀行が受領する。
  • 5月23日
    ブエノスアイレスにて、日本国大使及び(株)東京三菱銀行ブエノスアイレス支店長がニールセン次官と面談する。本件サムライ債保有者の状況を説明し、本件サムライ債保有者の公平な取扱い、担当外の大臣による不用意な発言は厳に慎む事、早急に具体的な債務再編交渉をスタートするべき事等を申し入れる。
  • 5月28・29日
    (株)東京三菱銀行、株式会社新生銀行の担当者及び弁護士がブエノスアイレスに出張し、ニールセン次官他と面談する。本件サムライ債保有者の状況を説明の上、IMFとの交渉状況、共和国の対外債務の支払計画、本件サムライ債保有者との今後の交渉プランについて協議する。「共和国が可及的速やかに対外債務の支払を再開できるよう、経済強化策を纏めIMF等国際機関と協議を進展させること、及び本件サムライ債保有者の保護を最大限に考慮する事」を申し入れる。ニールセン次官からは、「IMFとの合意ができ次第可及的速やかに債務再編の具体的検討に入り、本件サムライ債保有者との協議を開始したい。元本カットについては多方面から回避要請があるが、何も決まっていない。本件サムライ債保有者の公平な取扱いは当然であり、個人が多い本件サムライ債保有者に合った情報開示方法を検討する。」等のコメントを聴取する。
  • 9月17日
    ブエノスアイレスにて、日本国大使及び(株)東京三菱銀行ブエノスアイレス支店長がニールセン次官と面談する。ニールセン次官が状況説明を行った際、日本で投資家に対して状況説明を行う意向があることを表明する。
  • 9月27日
    IMF・世銀総会(於米国ワシントンDC)で(株)東京三菱銀行がニールセン次官と面談し、長官の来日意思を改めて確認する。(株)東京三菱銀行からは、年内の説明会開催を申し入れる。その他、本件サムライ債保有者への日本語での情報開示実施を強く申し入れる。
  • 12月5日
    ニールセン次官の来日に先立ち、共和国経済省マドクール金融局長が来日、大使館で管理会社3行、引受証券会社7社、弁護士とのミーティングを実施する。アルゼンチンの経済状況、IMFとの協議動向を聴取する。

2003年

(2月19日、共和国は、ファイナンシャルアドバイザーにラザード(Lazard Freres)を選出。)

  • 3月12日
    ニールセン次官による共和国主催の共和国の経済情勢等についての本件サムライ債保有者向け説明会を実施する(於新宿文化センター)。約一千人が参加し、約3時間を要したが、会場から共和国の誠意ある対応、元本100%の早期返済を求める声が相次ぐ。ニールセン次官は、共和国は本件サムライ債保有者を必ず公平に扱う事を約束しつつ、本件サムライ債保有者の意見を必ず次期正式政権に伝え、新政権が組成された後速やかに(恐らく6月頃)幾つかの選択肢を含めた具体策の提案ができるように準備し、再度新政権の人間が来日の上説明すると表明する。(結局新政権でニールセン次官留任。)

    (5月中旬共和国においてキルチナー氏が新大統領に選出され、ラバーニャ経済大臣留任が決定。5月26日の就任演説で公的債務の元本削減、利率削減、期限延長の必要性を強調する。)

  • 7月2日
    上記大統領発言に対して、株式会社新生銀行と(株)東京三菱銀行の連名で経済省宛てに、照会状を出状する。

    (今後の共和国の全世界的債務再編プロセスを効率的に進めていく目的(条件交渉を行う機能ではなく情報を伝達する機能)で、地域・投資家カテゴリー毎に creditors consultative group(以下「コンサルタティブ・グループ」という。)を組成する旨、共和国経済省が発表する。日本では管理会社((株)東京三菱銀行と株式会社新生銀行)が参加する。)

  • 7月22日
    コンサルタティブ・グループ組成の主旨説明を目的にニールセン次官が来日し、管理会社と面談する。同席上、(株)東京三菱銀行から、債務再編策策定においては、個人投資家を念頭に置き、元本毀損が発生しないスキームを前提とすること、他市場の機関投資家を含む全ての投資家の公平な取扱いをすることを、再度入念する。ニールセン次官は「IMFとの協議に集中しており今後の債務再編策は未定」としつつ、「本件サムライ債保有者の公平な取扱いは大前提」である事が再確認される。

上記は共和国と管理会社の主要な面談を中心とした記録です。管理会社は、この他にも、本件サムライ債に関する、共和国及び共和国大使館との協議、申し入れ、意見の聴取等を直接面談する方法、書面、電子メール等で継続的かつ多数回に渡って行っております。)

(平成15年9月5日現在)

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