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日本に於けるアルゼンチン共和国円貨債(以下「アルゼンチン債」といいます。)に関する新生銀行提案について

アルゼンチン共和国円貨債券保有者の皆様へ

2003年8月13日付日本経済新聞、朝日新聞及び産経新聞で報道された内容に関して、アルゼンチン債の債券の管理会社としての当行の見解を以下のとおりお伝え致します。

新生銀行からの提案の骨子

 日本経済新聞社の報道によりますと、新生銀行の提案(以下「本提案」といいます。)の骨子は、以下のとおりであり、また、新生銀行は当行を含む本邦金融機関との調整に入るとしています。

  • (1) 

    9月下旬から10月上旬にかけて国内投資家を対象に債権者集会を開く。その場で、①元本削減は認めない ②金利を下げる場合も同じ期間の日本国債の金利を下回らない、など一定の条件をつけたうえで、欧州チームに交渉を一任する方針を盛り込んだ決議案を提案する。

  • (2) 

    欧州チームの業務を監督する諮問委員会(現在5人で構成)に日本人代表2人を追加。拒否権を握って交渉過程で日本の投資家が不利な扱いを受けるのを避けるようにする。

  • (3) 

    交渉参加で利払いカットなどが最小限に抑えられ、債券価値が現状よりも上がった場合、投資家は成功報酬として上昇分の17.5%相当の手数料を日本の金融機関や欧州チームに支払う。上がらなかった場合は投資家の負担はゼロとする。

当行の見解

 本提案に対し、アルゼンチン債の債券の管理会社である当行は、投資家の権利保護に適う提案内容であるのかにつき判断するため、債権の管理会社としての善管注意義務に基づき、提案者である新生銀行との間で質疑応答を行うこと等により、本提案内容の妥当性につき精査した結果、主として以下の疑問点が未解決であることから「債権者の権利に重大な影響を与える」(債券の要項第12項、目論見書第8項)事項に該当せず、現時点では本提案内容を議案とする債権者集会を開催する必要性はないと考えております。

当行が持つ疑問点

当行が持つ主な疑問点は以下のとおりです。

  • 本提案内容は、その詳細において依然不明な点が多く、債券の要項第12項(目論見書第8項)に掲げる「本債権者の権利に重大な影響を及ぼす」事項に該当するか否かを判断するにはその材料が不十分であると思われます。
  • 欧州チーム代表アダム・レーリック氏及び新生銀行によりますと、本提案は、「個人投資家は機関投資家に比べて劣後した取り扱いになる」との仮定に基づいた提案とのことです。一方、債券の管理会社である当行は、昨年5月末以降出張を含めて5回に渡りアルゼンチン共和国政府経済省高官と面談し、債権者の公平な取り扱いと元本の全額償還を求めており、また日本国政府も同国大臣・高官との面談時に同旨の申入れをしております。これに対して同国政府は全ての債権者を公平に取り扱う旨、公約しております。(当行ホームページ内掲載同国プレスリリースをご参照下さい。また、この点につきましては今後も継続的に同国に対してあらゆるルートを通じて確認をしてまいります。)したがいまして、そもそも本提案の前提となる上記仮定が存在しないものと思われます。
  • 交渉チームが受領する成功報酬の客観性を確保するには、その計算根拠が明確・合理的でなくてはなりませんが、交渉チームによる交渉と債券価格の上昇との間の因果関係が明確ではありません。そもそも現段階において成功報酬算定の基礎とされているアルゼンチン債の市場価格の存在を認めることも困難な状況と思われます。また、複数の者からの提案に含まれる手数料率等を検討した上でどれが最も妥当なのか検討するのが通常ですが、本提案は、現状一つの団体のみからの提案であるため、17.5%という手数料率が、果たして妥当なのか否か判断することが困難です。さらに、個人投資家から手数料を徴収することには、投資家の利益保護の観点から疑義を払拭できません。(アルゼンチン共和国政府は投資家グループに対する交渉手数料支払いを否定しています。)
  • 債権者の皆様にとって、ご自身の権利を委託される相手方が誰であるのか、重要な検討事項であると思われるところ、欧州チームの業務を監督する諮問委員会5人に合流するとされる日本の代表2名がどのような人物なのか現時点で明らかになっておりません。また諮問委員会の責任、ルール、人数の妥当性等についても、疑問が残ります。

今後の対応

 アルゼンチン債の債券の管理会社である当行と致しましては、IMFとアルゼンチン共和国の交渉状況を注視しつつ、同国の債務再編策においてアルゼンチン債の債権者が決して不平等な扱いを受ける事が無い様、引き続き同国に申し入れていくと共に、皆様のご意見を同国に伝えていきたいと考えております。

平成15年8月25日現在

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