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アルゼンチン共和国経済情勢説明会議事録(平成15年3月12日開催)

平成15年3月
アルゼンチン共和国

ニールセン金融次官挨拶

壇上から失礼いたします。

皆様方こんにちは。私は、ギジェルモ・ニールセンと申します。アルゼンチン共和国の経済省金融担当次官を務めております。

本日のアルゼンチン側出席者をご紹介いたします。ハム在日アルゼンチン大使、経済省アドバイザー、パリア氏です。また非常に重要なこととして、金融部門の公使を任命いたしました。ディエゴ・カペリ公使といい、東京に在住してアルゼンチン債の処理を担当します。

まずは、債権者の皆様に対し、アルゼンチン共和国を代表して、国債の支払いが遅れていることにつき、日本の多くの皆様に対して、心よりお詫び申し上げます。

アルゼンチンにとって2000年、2001年は社会的、経済的、政治的にも大きな危機でございました。(その後発足した)現在のアルゼンチン政府の閣僚メンバー、ラバーニャ大臣と私を含む経済グループは、以前から“兌換法”についても、“アルゼンチンの膨れ上がる対外債務”についても大きな疑問と懸念を有していた者でございます。現在はその解決にあたり、責任を負っています。現在、また次の世代に問題を残さないよう、解決にあたらなくてはなりません。

過去10年のグローバル化の進行とともに、アルゼンチンは世界各国で債務を負っています。このような説明会を開くことは、アルゼンチンの債務が世界各国に多数の債権者を持つことを示しているものです。日本でこのように多くの債権者の皆様に会場へお越しいただきましたが、日本の債権者数は3万人と聞いております。またご参考ですが、アルゼンチン債の10%程度がイタリア人で最低30万人、もっと多く50〜60万人と言っている方もおられますが、それはこれから近いうちに明らかになると思われます。

本日の予定として、まずなぜ現在のような経済危機が起こってしまったかということについてスライドを使用しながらお話を申し上げ、その次にそれを要約しながら、私どもが昨年5月にアルゼンチンの対外債務問題担当に就いてからこれまで、どのような役割を果たしてきたのか、また世界中におられる債権者の皆様に対してどのような責任を負ってゆくのかということについてお話したいと思います。そして第二部として、皆様方から事前に寄せられたご質問にお答えいたします。その事前質問にお答えした後に、第三部として会場の皆様からのご質問をお受けしたいと思います。

第一部:経済情勢についてのプレゼンテーション

資料に基づき、1991年以降今日までのアルゼンチン経済について、以下を要点として説明。

  • 1991年に兌換法(ドル:ペソを1:1に固定)を導入。その結果、インフレは大幅に沈静化し、国内景気も上向いた。90年代初頭はIMFからポジティブな印象を持たれていた。しかし一方で、ドルとペソが等価であるという、アルゼンチンの本当の実力を反映していないファンタジーのなかで、いくら借りても、いつでも返済可能であるとの錯覚から、債務が膨らんでいった(95年第二四半期800億ドルであった公的債務残高が、2001年12月の支払停止直前には1,450億ドル程度まで増大)。
  • その後1995年のメキシコ通貨危機をきっかけに、ドル相場の高騰、国内景気の冷え込み、近隣諸国の通貨切り下げ、エマージング諸国に対する見方の変化などが起こり、エマージング諸国の資金調達環境が徐々に悪化する。
  • 加えて、景気後退に伴う財政収支悪化を、増税によって賄おうとしたことから、景気後退が更に進み、それが財政収支を一層悪化させるという悪循環に陥る。
  • 一方で、兌換法からの脱却は「ハイパーインフレの再来」、「大幅な自国通貨安による外貨建て債務の増大」に繋がると危惧され、ずるずると維持されつづけた。
  • 2000年後半から2001年にかけて国内は政治的・経済的・社会的にも危機的状況となった。エマージング諸国の資金調達コストを表わす指標(EMBI)で、アルゼンチンの資金調達コストが、2001年5月に他のエマージング諸国のコストを超えるという逆転現象が起こる。そして2001年12月対内外債務支払を停止した。資金調達が事実上不可能となり、債務残高は2002年第1四半期に一旦大幅に減少するも、兌換法放棄後、ペソが対ドルで大幅に下落(1/3程度の価値)し、ドル建ての公的債務は増大した(1,550億ドル程度)。
  • 結果、国内銀行の資産が劣化、流動性も枯渇して金融システムが崩壊。金融機関選別が激化し、現金のドル転進行と海外流出が顕在化した。そのため現金の流出を食い止めるために預金が凍結され、ペソ化が実施された。
  • その後、IMFからの支援を引出すべく交渉を開始。当初は2002年中に決着と目されていたが、予想外に交渉は長期化し、2003年1月ようやく暫定合意に達し、2003年8月末までに期日の到来するIMFからの金融支援に関しては、3年〜5年程度の期限延長が認められることとなった。
  • 現在、少しづつではあるが、GDP成長率、工業生産指数など景気底打ちを示す経済指標も出始めており、インフレも沈静化。一般市民の消費動向も徐々に改善している。IMFとの合意後に初めて行われたIMFによるアルゼンチン経済に関するレビューも、当初目標を上回る実績を示している。

第二部:事前受付質問への回答

  • 質問: 
    返済の目処はいつごろか?
  • 回答: 
    現ドゥアルデ政権は暫定政権であり、これから選挙で大統領を選ぶ。予備選での上位2名が決選投票を行う。絶対的多数を獲得した人物が大統領に選出され、5月25日に新政権が発足する。
    その意味では我々が現在行っていることは、この債務問題に道筋をつけ、新政権へ受け渡すという作業である。勿論この問題は、国家としての問題であり、政権や大統領が代わることで取り扱いが異なるものではない。国家の問題として政権交代後も、当然に対処してゆく。
    今後、解決に向けては、IMFとの調整がもっとも重要となる。1月17日にIMFの第一回目の見直しは成功裏に終わった。明日3月13日に我々はワシントンへ移動し、IMFの首脳陣と会合する予定である。IMFとの関係は良好である。
    債務の再構築について、現在行っている作業とは、世界中の債権者の方々と、ワーキング・グループを通じて対話するということである。ニューヨークでも行い、次に日本へ来ている。債権者の方々がどのようなことを考えているのか知ることで、今後の手段検討に役立てたいと思っている。そのような情報収集の場にしたい。カペリ公使は、本件についての専担者として東京に在住し、各銀行・証券会社などと連絡を取っている。また在日アルゼンチン大使館は情報収集の場となる。ホームページを通じて債権者の要望を集めると同時に、円建て債について、アルゼンチンがどのような活動をしているのかという情報発信の役目も担う。
    ラザードフレールを財務アドバイザーとして契約した。パリ・ニューヨーク、そして東京にも事務所のある会社であり、東京の事務所はこの情報収集などの作業に、積極的にかかわってゆくこととなる。勿論この会場にも代表が来ている。今後、銀行・証券会社とともに、ラザードフレール東京事務所がこの問題に大いにかかわってゆく。

再構築の方法について

  • 質問: 
    いつ利子の支払いが開始されるのか、支払われなかった利子はどうなるのか、さまざまな優先度を持って支払いを行うのか?
  • 回答: 
    ワーキング・グループの作業に基づいて回答する。本日は応えられない。ニーズを知りたいと思っている。個人的にはこれらの質問に全て答えたいという意欲は充分持っているが、今回は初の来日で最初の会合であり、まだ情報収集の段階。具体的に応えることができないことをどうかご理解いただきたい。

なぜ世銀とIMFには返済しているのか?

  • 質問: 
    世銀などに支払っておきながら、民間に支払えないとはどういうことかという質問はさまざまな場所で聞いている。
  • 回答: 
    IMFなどには優先債権者としてのステータスがある。危機にもかかわらずアルゼンチンに対して今も資金供与を行っている機関である。アルゼンチンは、それら国際機関に返済しているが、国際機関は我々が国際機関そのものへ返済するための資金を我々に貸している。我々は可及的早期に、アルゼンチン経済が必要とする新たな資金供与を受けられる状態となることを希望している。しかしこの資金の行き来には債券部分は含まれない。アルゼンチンは現在、債券発行などの資金調達手段は取れないし、誰もアルゼンチンへ資金を供与してくれない。今は債券保有者への支払い方法も資金もない。これはアルゼンチンが望んでいる形ではなく、国際的な金融情勢が要求している状態である。従って、アルゼンチンとしてはIMFなどの国際機関の優位性を尊重せざるを得ない。我々は国際機関からの資金が最大限有効に使われるよう努力している。しかしそれはまた別の複雑な問題である。

日本に対してどう考えているのか?

この場所に立って、このような話をしなくてはならない状況をとても恥じている。ドイツでも説明会をしたが、同じように恥ずかしい思いをした。ここでご理解していただきたいのは、私自身90年代の政府の経済政策を非常に厳しく批判してきた経済専門家の一人である。残念ながら、当時は私達の意見を聞いてもらえなかったが、現在この問題の解決を任されている。アルゼンチンの現在の政府、経済大臣(ラバーニャ大臣・直属の上司)とは経常的に話しあっているが、問題解決にあたっては平等な形で、世界すべてにおいて公平な解決を図ることが私達の約束である。ご理解いただきたい。

ありがとうございました。引き続きまして、皆様方からのご質問を受け付けたいと思います。

司会:黒丸弁護士

会場質疑応答

<会場>
暫定政府だから元本・利息の支払いについては応えられない、ニーズを聞いてから考えるといっているが、債権者のニーズは「元本をいつ返してくれるのか? 利息はどうなるのか、その見通しはどうなのか? 」ということだけであって、他にはない。改めてグループを作って確認するまでも無いことである。IMFから支援を受けたという説明があったが、これは国際機関への支払いに過ぎなかったのか、IMFへのアルゼンチンからの支援要請は、債権者へ弁済のためではなかったと思われるが、その事情を説明して欲しい。
スライドの資料は配布されてしかるべきだと思うが、なぜ配らなかったのか?

<ニールセン次官回答>
ご質問有難うございます。最後の質問について、資料は大使館ホームページで閲覧可能とする。また証券会社からの協力も得ており、証券会社からの資料配布についての協力も得られると思う。
返済の目処については、約束を守らなければならないのは当然であるが、手元に返済のための資金がない。誠意を持って考えているが、どうやって皆様がお持ちの債券を他の債券に替えてゆくか、ということも検討しなくてはならない。つまり、アルゼンチンの支払いが遅れていることの影響をできるだけ小さくしたいと考えている。是非、この件について忍耐の心を是非持っていただきたい。なんらかの提案を持って、この次には皆様にお会いできるようにと考えている。

<会場>
債務者であれば、言い訳はできない。生活の費用を抑えるとか、財産を処分してでも対応するというのが、債権債務の関係であると思う。国家であるからというだけで対応できないのは、信頼を裏切られたものであり非常に残念である。国家として対応しようと思えばまだまだできることがあるはずだ。かつて韓国は、金の指輪などを国民が拠出してまでIMFへの借金を返済しようとした、という話を聞いている。我々債権者もアルゼンチンの貧困層と同じ一般市民である、国家の立場から「無い袖は振れない」というのは、国家としての尊厳が傷つくのではないか? 考えを聞かせて欲しい。

<ニールセン次官回答>
アルゼンチンでは、90年代に国家や政府の役割が変わった。かつては、国営企業が多くあった。工場・資産があったし、航空会社、海運会社などがあった。つまり国外にも資産を持った国家であった。しかし過去15年から20年の間にグローバル化があった。その頃から、多くの国営企業を民間に入札という形で売却してきた。その結果、現在の国営企業は石油公社だけとなった。非常に重要な石油公社で、YPFという。機構改革を経て一部分は民営化された。個人的な意見として申し上げると、民営化の方法が非常に悪かった。レプソルというスペインの石油会社に売却したが、レプソルは規模や備蓄量など全ての面においてYPFの売却相手となるような会社ではなかった。売らない方が良かった資産もたくさんあるが、国外資産は大使館・領事館などが使用している施設しか残っていない。これはウイーン条約で不可侵とされている。これは債務支払いの対象資産ではない。
アルゼンチン人自身はどうであったかというと、以前はこの問題から目をそむけていたが、今はもう目をそむけることはできない。しかし90年代に入ってできる限りの企業を民営化してしまって、もはや売るべき資産はない。国営企業の民営化を続けながらも、対外債務は増え続けたのであり、これ以上資産を売却して債務を返済するということは申し訳ないが、不可能である。

<会場>
政権が代わるということであるが、これだけの対外債務を抱えているわけであり、新しい政権の政治家には、まずは自国民にこれだけ対外債務があるのだという自覚を持たせるよう、努力して欲しい。いつも自国民ばかりに目を向けて、これだけの外国の債権者がいるにもかかわらず、自国民を静めることだけに力を注いでいるのではすまされない。全ての債権者にとって、命の次に大切なお金である。しっかり国民を教育して、対外債務がどのくらいあるのかと自覚させるべきである。それをお願いしたい。政治家に対しても自国民だけでなく、外国における被害を食い止めるよう努力して欲しい。

<ニールセン次官回答>
もし私が債権者の席に座っていればまったく同じことを申し上げたと思う。ただし、私は政治家ではない。民間部門出身であるが、この危機からの脱出のために任命された。政治家ではなく、あくまで経済運営だけを任された実務家である。いずれにしても、国内外での債権者を公平に扱う。アルゼンチン国民も良く分かっている。非常に大きな危機であることは良く分かっている。目の当たりに見ている。我々はこの危機からの脱却をいかにして行うかということのために日々働いている。

<会場>
どういったことがよくなれば、具体的に返済ができるのか?

<ニールセン次官回答>
一民間人の債務でも、一民間企業の債務でもなく、国家の債務である。従ってアルゼンチン経済が回復し、税収が増え、歳入が増えれば返済が可能となる。つまり、一民間人がいくら稼いでもその人の収入が増えたことで返済できる訳ではない。アルゼンチン国民が払う税金が、アルゼンチンの国家にとっての債務返済原資である。税収を増やすために何をしなければならないかというと経済回復が必要である。経済回復なくして返済はできない。

<会場>
こんな説明会は無意味である。新聞を読めばわかる。返すつもりがあるのか無いのかが重要だ。具体案は、アルゼンチン側が提案するべきであろう。どうして債権者が考えなければならないのか、それはおかしい。ドゥアルデ大統領が70%債務削減必要と言っているが、そこに本音が見え隠れしているのではないのか。これでは泥棒の説明会のようなものだ。

<ニールセン次官回答>
確かに日本まで顔見世興行にきたわけではない。しかしワーキング・グループを作ることが先決であり、返済について今、具体的約束はできない。しかし、その約束を守るということだけは言える。つまり解決策を見つけるために働いている。当初のお約束通りに支払うことはできないことは誠に申し訳ないが、どうすれば支払いができるのか、どのような方法があるのか、ということを考えるためにここへ来て皆さんにお会いしている。今回は皆様にいつ支払えるかという約束をするために来たわけではない。できるだけ早く、具体的な話ができるよう努力する。

<会場>
何を言われても言い訳にしか聞こえない。1月24日の大統領の70%削減発言については説明がないが? その発言が日本でどれだけ精神的プレッシャーを与えたか十分思い知って欲しい。今後、あのような発言をした場合には、大使館のホームページで我々に謝罪して欲しい。いずれにしても70%削減についての大統領発言は断じて許せない。ここで大統領の代わりに謝罪して欲しい。2003年2月18日アルゼンチン共和国による新聞公告では「債務支払い繰り延べ」という文言を使っているが、債務支払い繰り延べの正式な通知を、我々は一切受け取っていない。支払いが遅れていると平然と言うのはおかしい。その感覚が理解できない。正式な文書として債務繰り延べできっちりと示してもらいたい。その責任を果たしてもらいたい。

<ニールセン次官回答>
ドゥアルデ大統領に申し伝える。大統領の言葉に対してお詫びを申し上げます。冒頭に申し上げたお詫びは全ての不利益に対するお詫びである。
公式文書を提出するという話については、支払いの約定では、アルゼンチンはこの支払いを行わなかったが、国家として正式な書面での通知をするという義務は書かれていないと考えているが、その点については別途確認する。

黒丸弁護士補足:
管理会社に対しては通知義務がある。またこれに関し新聞公告によってお知らせしている。

<会場>
返済についてシミュレーションをしていると思うが、現時点での見通しをもっているのか? 国内も国外も平等に行うには巨額の資金が必要と思うがどうなのか?

<ニールセン次官回答>
現在シミュレーションを行っている最中であり、結果は持っていない。いろいろな市場についてのシミュレーションを同時並行に行っている。もちろん極力早期に知りたいというお気持ちは十分理解している。ワーキング・グループを通して可能なメニューとしてどのような選択肢があるのかといった検討をしている。今しばらくお待ちいただきたい。

<会場>
これは政治的な問題である。早く変動為替制度に変更しておけば起きなかったのではないのか? ある新聞によれば、まだ州によっては固定相場制でドルと交換するなどという意向もあるようだ。ワーキング・グループを作って計画を立ててもまた、政権が代われば台無しになってしまうのではないのか? 一方で国内の貧困を改善しなければ富を生み出さないだろうし、その辺のバランスをどう取るのか? 退職金をつぎ込んだ身としては、死んでから返済してもらっても意味がない。バランスよくやって欲しい。ブラジルは変動相場制に移行してもうまくやっているのに、アルゼンチンは政治的に迎合しすぎである。5月の政権によっては、また国民に甘い汁をすわせるような迎合政治になるのではないか?

<ニールセン次官回答>
アルゼンチンが迎合的な政策をとってきたとは考えていない。過去10年間アルゼンチンの企業が民営化された時期でもあった。甘い政策ばかりとってきたわけではないと思う。移民が多く、そもそも移民によって成立した国家である。何年か前であるが、ブラッセルで欧州共同体の仕事をする機会があったが、その時に欧州経済統合の作業をしたが、アルゼンチンの国民の多くは欧州からの移民の子孫で成り立っている。従って外国に対しても非常に平等である。

<会場>
いつ支払えるのか?

<ニールセン次官回答>
メニューができるのが5月末であると考えており、その頃には見通しもより具体的になっていると思う。

<会場>
ロシアはかつてアメリカにアラスカを渡した、日本もカラフトをロシアに渡した。アルゼンチンも領土があるようなので、担保に入れるのはどうか?

<ニールセン次官回答>
歴史が違う。アルゼンチンにとっては領土を売るといったことが考えにはなかった。

<会場>
公平に扱うと言っているが、むしろ外国に対して先に返済するべきではないのか? 国を挙げてまず対外的に返済をするべきではないのか? IMFは債権者にも応分の負担をするよう求めているようだが、本当にそのような指導を受けているのか? 私はプロの投資家ではない、ただ国の債券ならば元本は保証されていると考えて購入し、退職金を使った。元金だけは返済して欲しい。

<ニールセン次官回答>
皆様方の状況は良く分かる。アルゼンチンでこのような説明会をしても、まったく同じ質問がでる。それは同じである。今申し上げられるのは、これを解決する努力をすることである。今も自分のオフィスに多くの手紙を貰う。例えばスペインの年金生活者からも、情報が少ないとのクレームを受けている。だからこそ、情報を発信のためにこのような説明会を行っている。

<会場>
遠くから参加したが、さっぱり分からない。目論見書を見て購入したが、この書類に書かれていることが守られていないように思われる(第7回目論見書)。債務不履行の場合の対応について、書類にかかれている通りに行われていない。

<黒丸弁護士回答>
その目論見書には、元利金の支払等に関する契約内容が書かれている。実際に支払える、支払えないということではない。経済・政治の状況は有価証券報告書に書かれており、その目論見書で参照すべき書類となっている。目論見書に書かれている内容にそぐわないことがなされているわけではない。

<会場>
我々は、この目論見書しか持っていない、これで購入したのだから、説明責任があるのではないか? 管理会社や弁護士はどう責任を取るのか? 契約内容を無視するということか?

<黒丸弁護士回答>
目論見書の内容を無視しているわけではない。今後の対応についても、正式な債権者集会を開催するなど、目論見書の内容にそって手続をすすめていくことになる。ただし、今回はあくまで正規の債権者集会ではなく、経済情勢についての説明会である。

<会場>
証券会社から奨められて購入したが、返済も利払いもないため、日々の生活に窮している。このような現状を伝えて欲しい。我々は機関投資家でもない、退職金を貰った直後に、証券会社に大丈夫だからと奨められて購入したのだ。元本返済がなされないなどということは考えられない。今すぐ返して欲しい。可能であれば明日の生活費を大使館に行って貰いたいくらいだ。とにかく返済することを考えて欲しい。

<会場>
デフォルト宣言をすれば期限の利益を喪失する、そうすれば一括返済となる筈だが、事実上払えないなら何のためのデフォルト宣言なのか分からない。イタリアでアルゼンチンに対して差し押さえに異論を唱えたと聞いたが、それに対するアルゼンチン政府の意向を聞きたい。

<ニールセン次官回答>
アルゼンチン政府は資産を持っていない。例えば大使館を差し押さえることはできない。確かにミラノでの差し押さえ判決があったが、そもそも資産がない。対話するしかない。解決策を求めて作業を行うしかない。

<会場>
新政権誕生後、第2回目の説明会が日本であるのか? あるとすればいつごろなのか? 具体的な話が聞けるのか?

<ニールセン次官回答>
既に第2回目のための作業を行っている。いずれにしても新政権後となる。次の会では解決の具体的な策を示す。

<会場>
IMFは現在アルゼンチンに対してどのような態度なのか?

<ニールセン次官回答>
合意に達した。そしてアルゼンチンの経済政策がその合意事項に合致しているということを表明している。ただしこの合意は8月に終了する。新政権が5月に発足するが、新政権が発足した後に、IMFと再交渉することになっている。債権者の利益を守ることはIMFにとっても大変重要な課題である。明日ワシントンに行き、IMFとの作業を行う予定になっている。

<会場>
返済の意思が薄いのではないのか? 昨年末に保有外貨残高はいくらあったのか。昨年1年間の貿易額、国内の国債発行残高、国外の国債発行残高、IMFからの借入残高について説明をお願いしたい。

<ニールセン次官回答>
外貨保有高は90億ドル、IMFへの債務は45億ドル。輸出高200億ドル、輸入は90億ドル。国内債券は昨年は起債はなく、ドルからペソへの銀行補填のための起債があった。その多くの部分は借り換えとなった。10年の期限付きドル債の借り換えとなった。残念ながら新規起債のできる環境にない。IMFの債務については、全債務の11%にあたる。500億の債務に対し11%にあたる。

<会場>
現在の発行残高の総額を聞いている。

<ニールセン次官回答>
以前は約620億ドルであった。

<会場>
外貨準備高を使って返済することができないのか?

<ニールセン次官回答>
外貨準備は、IMFからの借り入れによる部分が大きい。勿論民間部門には輸出による収入があるがそれは民間部門の話である。ところで、債務残高は1,730億ドルである。

<会場>
民間にも協力してもらわなくてはならないのではないか? 昨年の新聞記事ではアルゼンチンは徴税率が悪く、50%程度と書いてあった。その記事によれば、一般民衆からの徴税は厳しいが、多国籍企業は税金をすり抜けているといった話があったが、国家的な怠慢ではないのか? アルゼンチンにはりっぱな高速道路があり、公園には大きなサッカー場があるが、本当に金がないのか?

<ニールセン次官回答>
私を個人攻撃するのではなく、解決策を探る会にして欲しい。このプロセスを始めるために建設的に問題を解決するための第一ステップを見つけるためにきたのだ。アルゼンチン国債を購入したことで、生活が苦しくなっている方がおられることはきちんと分かっている。皆様方の怒りは良く分かるが、皆様と敵対するためにここへ来たのではない。対話のためにきたのだ。

<会場>
アルゼンチン側からの提案がなければ、参加者が怒るのは当然。そのことについて何も解答がない。

<ニールセン次官回答>
今日はこの場で回答できることに対して回答する場である。

<会場>
説明を聞いていると、お金がない、資産もないから返せないというが、返せる当ての無いお金を借りるのは詐欺ではないか? 証券会社も売るときには悪いことは言わない、だから私も購入した。しかし、日本の年金生活者は、年金だけでは生きてゆけない。土地を売ることも返済方法の一つに入れていただきたい。

<会場>
ワーキング・グループを作っていると言う話だが、そのグループは何パーセント返済すれば債権者が納得するのかといったことを話しあっているように思うが、如何か?

<ニールセン次官回答>
他の債券に借り換えてゆくことがもっとも負担が少ないであろうと思う。しかし、いつまでお待ちいただけるのかを知りたい。手元に資金がないのは事実であり、いずれにしても新しい債券を発行して今の債券を返済するということ以外に方法がない。ワーキング・グループをできるだけ早く、具体的な話ができるよう努力したい。急激な解決手段はない。どうやったら解決できるのかということが大事。

<会場>
今回出席した人は、基本的に次回も参加したい。きちんとお知らせをして欲しい。

<ニールセン次官回答>
次回はより具体的な話ができることを前提に開催のお知らせをしたい。

<会場>
いつまでに次の債券が発行できるのか知りたいといっていたが、老人が多い。例えば、アルゼンチン大使館に行けば、療養費を負担してもらえるのか? それなら、しばらく待つこともできるかもしれない。生きているうちに何とかして欲しい。大勢の人が同じ事を考えているはずだ。

<ニールセン次官回答>
事情は良く分かった。その問題を解決することに全力を注ぎたい。

<会場>
どのくらいの期間なら待てるのかという質問があったが、例えばそれは一人一人事情が違う。新政権ができるまでは具体的な話はできないと思うが、例えば何年くらい待てばどの程度返済されるのかといった話があれば、我々もある程度解決に向けて希望が持てる。しかし何もなく、帰るのでは今日来た意味がない。そちらから提案してもらうことはできないのか

<ニールセン次官回答>
まさしくご指摘があったように、個人個人によっていくつかのメニューを提案したいと考えている。

<会場>
次官はアルゼンチンの政治が迎合的ではなかったと言っているが、国として政策運営に失敗したことは事実であろう。名の知れた国のなかで、このような事態に陥っているのはアルゼンチンだけある。私の希望は全額返してもらうことだけである。こんな会をやるために我々を集めたのか?

<ニールセン次官回答>
解決を探るためにここへ来ているのであり、侮辱するような発言は控えていただきたい。ここへ来たのは、義務ではなく解決への道をさぐるための会である。

<会場>
ワーキング・グループは誰が参加していて、誰が何をしてくれるのか教えて欲しい。立派な国土があるという話もあったが。ニールセン次官の個人的意見を聞かせて欲しい。

<ニールセン次官回答>
ワーキング・グループは今日機能を始めた。ラザードフレールがその調整を行っている。アルゼンチンの問題については今日の午前中にも話をしたが、その時にワーキング・グループの発足およびこの説明会をどのように行うのかということについても話合いを行った。ラザードフレールは財務アドバイザーとしてワーキング・グループの中心となり、アルゼンチン大使館も重要な役割を持つ。円貨建て債券のデフォルトの経験がないので、黒丸弁護士にも協力してもらう。
国土を売るという話については、国家の債務は国民の人々の債務ではない。一方、アルゼンチン国土はアルゼンチン国家のものではなく、アルゼンチン国民のものである。勿論、国有地はある。私有地が大きいのだという意味である。具体的には国有地は鉄道や、軍施設だけだ。アルゼンチンにとっての国有地は誰も買わない土地である。価値のある不動産は民間の所有者がいるのである。他の国にも滞在した経験があるが、国有地はどの国でも同じようなものではないのか? 現実的にいって売却して債務返済に充当できるような価値のある土地はない。そのような幻想的な話ではなく、きちんと現実的な話をしたい。

<会場>
国有地であっても価値を見出す人もいるだろうし、聞きたいのは国土を売却してでも返済する意思があるのかどうかと問うている。ワーキング・グループについては債権者に教えられる情報があるのか。ホームページでは誰でも入手できる情報であり、債権者に限られた意味のある情報ではない。

<ニールセン次官回答>
希望は良く分かるが、一般的な情報はホームページを通じて公表する。

<会場>
説明会を開催していただいたことは結構だが、金がないという弁解になっている。返済するには国として儲けなければならない。国のお金というのは民間が栄えれば国家経済も発展するのではないのか? しかし前向きな案がない。もっと、どうやって返済するための資金を入手するのかといったビジョンが無い。だから参加者は不満なのだ。その点について説明していただきたい。

<会場>
カラフトの例など国土売却の話が出たときに選択肢と考えると言っていたが、次官が国土売却はないとの意見に変わってしまった。このような矛盾は今日のお話の全体が信用できなくなるが。

<ニールセン次官回答>
その質問は個人的な意見として問われたので、個人として答えたものである。つまり大して価値のない国土を買う人はいないであろうと考えたものだ。

<会場>
ワーキング・グループができたことは興味深く聞いた。債権者側の協議の窓口になっていただけるのか? 5月に向けてこちら側の要望にもこたえてもらう組織としてワーキング・グループを機能させてもらいたいと考えるが如何か?

<黒丸弁護士回答>
趣旨は分かったが、債権者の立場に立つのは、東京三菱銀行や新生銀行などの管理会社である。基本的には管理会社に意見を言っていただく。その意見が管理会社を通してワーキング・グループに恐らく参加するそれらの銀行経由で債権者の皆様の意見が寄せられる。

<会場>
アルゼンチンとして今、遅れているが時間さえもらえれば元金を100%返すという言葉が一言も出てこなかった。それは100%返済する意思がないということか?
次の会議には、5月という時期が出たがそのときには具体的なプランをもってくるのか?

<ニールセン次官回答>
シミュレーションについての説明もあったが、今はその作業中であるとお答えした。どのくらいの期間で支払いができるか否かはまた別の問題である。問題はいつ元金と利息をお支払いできるのかという点であるが、それも考慮して、いつくかのメニューの提案をすると申し上げた。新政権ができたらすぐにこの話をすすめられるよう準備したいと考えており、恐らく6月頃にはなるのではないか? そのころには選択肢のメニューをお持ちできると考えている。

<会場>
日本人はアルゼンチンに好意をもっていた。次官は、イタリアの債権者の数は日本の10倍であると繰り返していたが、それは日本人の債権者を軽視しているということか。今まで日本で発行した国債が支払い不能になったことはない。友好関係にも大きなひびが入るのだ、ということを理解してほしい。このままでは日本国民はアルゼンチン共和国に対して不信感を持ち続けることになる。

<ニールセン次官回答>
私が申し上げたかったのは、その規模の大きさを示したかっただけであり、つまりいかに複雑な問題かということを強調したかっただけである。軽視しているわけではない。全て平等に取り扱い、また信用を回復したい。そのため自分は日本へ来た。日本を軽視しているなどと考えないで頂きたい。

<会場>
ワーキング・グループについて、今後いくつか案をつくるということだが、例えば日本がA案、米国がB案などを選択したとするとその案間での公平性はどうなのか? 高齢だから早く返すけども元金は減るなどというようなことのないようにして欲しい。カペリ公使が全権公使であれば、コンタクトしたい。ワーキング・グループのなかに日本人の債権者の代表者も入れて欲しい。個人個人で違う返済方法を取れるのか?

<ニールセン次官回答>
まとまって日本はA案で、イタリアはB案といったものではない。それぞれの国々でそれぞれの債権者が選択肢を選んでいただくというものだ。

<会場>
ワーキング・グループ組成を承認してもらうための会なのか?

<ニールセン次官回答>
そうではない。

<会場>
誠意を見せて欲しい。

<ニールセン次官回答>
日本の文化をよく知らないが、誠意というものの感じ方の違いがあるのであろう。できるだけ早くよい形で解決したいと思う。それが最大の誠意である。私の国の文化では自分で自分のことを誠実であるということができないのである。

終わりの言葉

今回の話合いの内容については、大使館ホームページに、可及的早期に、遅くとも3月末までには掲載する。東京三菱銀行のホームページにも同じタイミングで掲載する。またその資料については、証券会社経由でも入手できるようにする。

以上

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