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住宅ローンの借り換えとは?メリットをシミュレーションでわかりやすく解説

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住宅ローンの借り換えとは?メリットをシミュレーションでわかりやすく解説
  • 2022年1月7日
  • 2023年6月2日
既存の住宅ローンを他の金融機関で借り換えするとお得になるなど、メリットがあるのは有名な話です。しかし「具体的にどういったメリットがあるのか」「自分は借り換えをしたほうがお得なのか」について判断がつかない方もいるでしょう。そこで今回は、住宅ローンの借り換えに関する基礎知識と、知っておきたいメリットやタイミングについて紹介します。

住宅ローンの借り換えとは?

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(画像提供:toshi/stock.adobe.com)

住宅ローンの借り換えとは、他の金融機関で住宅ローンの契約をして現在申し込んでいる住宅ローンの残金を一括返済することです。住宅ローンの金利だけ見ると車やカードローンなど他のローンに比べて金利は低く感じます。しかしローン残高が数千万単位と大きいため、少しの金利の違いでも負担額は大きく変化するでしょう。

その金利負担額を減らして返済総額を少なくできるのが借り換えのメリットです。どうして借り換えでメリットが発生するのでしょうか。これは2016年に日本銀行がマイナス金利政策を始めたことが大きく関係しています。例えば国債の利回りを見てみると、2015年ごろは0.2~0.4%ほどでしたが2016年7月には-0.2%を下回ることもありました。

住宅ローンの金利も商品の値段と同じように需給のバランスによって決まります。そのため住宅ローン金利も市場金利の変化に伴い、各金融機関が金利引き下げを行いました。これにより、現在借り入れている金利よりも、他の金融機関の住宅ローン金利や新しい住宅ローンプランのほうが低くなる現象が起きたのです。

借り換えはタイミングが命!

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(画像提供:takasu/stock.adobe.com)
住宅ローンを利用しているすべての方が借り換えでメリットを得られるわけではありません。なかには借り換えをしたために負担が増えたり、以前の住宅ローンとさほど変わらなかったりする方もいます。そこでポイントとなるのは、住宅ローンの借り換えのタイミングです。ここでは、住宅ローンの借り換えを考えるときに「自分は借り換えに向いているのか」を判断するための基準を紹介します。

残高と残年数

残高は1,000万円以上ある?

残りの返済期間は10年以上ある?

住宅ローンの借り換えの際には、金利に目がいきがちです。しかし、住宅ローン残高と住宅ローンの残年数もあわせて考えなければ「費用負担が増えるだけ」という場合もあります。実際に金融機関がホームページ上で公表している住宅ローンシミュレーションで試算した結果を紹介します。
<現在>
  • 毎月の返済額10万円
  • 残りの返済期間5年
  • 現在の金利1.5%
<借り換え後>
  • 借入金額600万円
  • 返済期間5年
  • 金利0.62%
「毎月の返済額10万円を5年間支払ったら」というざっくりとした想定で借入金額を設定しています。シミュレーションの結果は、金利が0.88%も低いにもかかわらず「毎月の返済額も年間の返済額も増加する」という結果になりました。これは借り換えの諸経費にあたる事務手数料や登記関連費用が上乗せされていることが大きく影響しています。
以上のように残高や残年数が少ない場合は、借り換えのメリットを受けるどころかデメリットとなってしまう場合があるので注意しましょう。

金利差をチェック

金利差1%以上ある?
次の判断基準は、やはり金利差です。0.1%や0.3%ほどの違いで住宅ローンの借り換えをすると、金利差があまりないために諸経費分負担が増える可能性があります。

借り換えのメリット・デメリット

住宅ローン,借り換えとは
(画像提供:takasu/stock.adobe.com)
住宅ローンの借り換えによるメリットやデメリットについて考えていきましょう。

メリット

総支払額を減らせる

毎月の返済額を減らせる

金利上昇リスクに備えられる

住宅ローンの借り換えで得られるメリットは、主に3つです。メリットによって着目するポイントが少し違うので、詳しく紹介します。
まず総支払額や毎月の返済額を減らすためには、現在借り入れている住宅ローン金利よりもさらに低い金利を選ばなければなりません。住宅ローンの毎月の返済額は、元金に金利の利息分を上乗せしたものです。そのため、金利が低くなれば毎月の返済額が減り、結果的に総支払額も減らすことができます。
次に金利上昇リスクに備えられるメリットについてです。住宅ローンを契約する際には、「固定金利」「変動金利」など金利タイプを選ばなければなりません。例えば、全期間固定金利タイプなら金利が固定されているため、最後まで金利の変化はなく同じ金利が適用されます。
変動金利は、決められた基準によって金利の見直しがあり、情勢によって金利が変動していくのが特徴です。一般的に変動金利は市中の金利情勢に左右されるため、マイナス金利の状況では変動金利のほうが低い金利になります。しかし逆の場合もあり、市中の金利情勢が高騰すれば変動金利も高騰する可能性もあるでしょう。
そのため「今後金利が上昇するのでは」と考える方は、固定金利に借り換えて金利を固定することも選択肢の一つです。

デメリット

借り換えの事務手数料など諸経費がかかる

借り換えも新規と同様に審査がある

金利のタイミングを見極めるのが難しい

借り換えに伴うデメリットは、主に3つ考えられます。まずは、諸経費です。借り換えにかかる費用は多岐にわたり、例えば以下のようなものがあります。
  • 一括返済にかかる手数料
  • 登記されている抵当権を抹消する費用
  • 借り換えの際にかかる事務手数料
  • 印紙代
  • 抵当権設定にかかる登記費用
  • 保証料
  • 司法書士報酬など
また借り換えであっても住宅ローンの申し込みとなるため、借り換え先の金融機関で返済能力があるかどうかの審査を受けなければなりません。そのため転職によって収入が減っていたり住宅ローン以外の借入金が多かったりすると、審査を通過できない場合もあります。
なかには「金利の変動を見極めて借り換えを検討したい」という方もいるでしょう。ただ変動金利と固定金利の間に相関性はないため、変動金利が動いたからといって固定金利にも変化があるとは限りません。その結果「金利の変化を見極めるのは難しい」と感じてしまう方もいるでしょう。

借り換えをしてもいい方、しないほうがいい方

住宅ローン,借り換えとは
(画像提供:АндрейЯланский/stock.adobe.com)
では、住宅ローンの借り換えをしてもいい方、しないほうがいい方とは具体的にはどういった方なのでしょうか。

借り換えをしてもいい方

先ほど「借り換えはタイミングが命!」で紹介した項目に該当する方は、借り換えを検討してもいいでしょう。そのほかに住宅ローンを契約する際に加入する団体信用生命保険を見直したい方やリフォームを検討している方も借り換えを検討してみるといいかもしれません。
団体信用生命保険とは、契約者に万一のことがあった場合にその後のローン残金を保険金で相殺できる保険のことです。金融機関によって団体信用生命保険の保障内容が違います。借り換えによって今まで以上に保障の充実した保険に加入できる可能性もあるでしょう。
リフォームを検討している方は、金融機関によって借り換えのときにリフォーム資金を上乗せして融資を受けられるケースもあります。

借り換えをしないほうがいい方

住宅ローンの借り換えをしないほうがいい方は、「住宅ローンの残高が少ない方」や「残りの返済期間が短い方」です。乗り換えの諸経費分負担が増える可能性があるため、借り換え手続きをする意味がありません。ただ金融機関によっては、借り換えにかかる印紙代や返済口座への資金移動などの諸経費を一部無料にしているところもあります。
さまざまな金融機関の借り換え条件を確認して、自分が借り換えた場合にメリットはあるか調べてみるとよいでしょう。

借り換えの成功例・失敗例

住宅ローン,借り換えとは
(画像提供:Freedomz/stock.adobe.com)
最後に借り換えの成功例と失敗例を紹介します。金融機関のホームページに掲載されている住宅ローンシミュレーションを使って算出しました。

成功例

<住宅ローン残高2,000万円、残り借入期間20年で金利1.5%→0.5%に借り換えた場合>
  • 現在の総返済額:2,316万2,045円
  • 借り換え後の総返済額:2,102万706円
  • 借り入れにかかる諸費用:50万1,680円
  • 現在の毎月返済額:9万6,509円
  • 借り換え後の毎月返済額:8万7,586円
毎月の返済額は8,923円の軽減となり、総費用では163万9,659円減り、借り換え成功です。

失敗例

<住宅ローン残高700万円、残り借入期間7年で金利2.0%→金利1.8%に借り換えた場合>
  • 現在の総返済額:750万7,211円
  • 借り換え後の総返済額:745万5,468円
  • 借り入れにかかる諸費用:18万6,680円
  • 現在の毎月返済額:8万9,372円
  • 借り換え後の毎月返済額:8万8,755円
毎月の返済額は617円軽減されるものの、総費用で計算すると13万4,937円のマイナスとなり、借り換え失敗です。

住宅ローンの借り換えはタイミングの見極めと総合判断が重要

住宅ローンの借り換えで大きなメリットとなる場合もありますが、トータルで計算するとマイナスになってしまうケースもあります。まずは、「自分が借り換えに向いているか」を判断して、金融機関各社の借り換えキャンペーンや金利、借り換え条件をチェックしてみてください。気になる金融機関をいくつかピックアップした後は、シミュレーションを使ってしっかりと計算しましょう。
借り換えのために費用や時間を使って、結果マイナスになってしまうのはもったいないことです。このページで解説した内容をもとに、タイミングを見極めるなど総合的に判断していくとよいでしょう。

執筆者:株式会社peekaboo

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