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テクニカル分析入門

1. テクニカル分析の概要

(1) 一般的に相場予想の手法は、【1】ファンダメンタルズ分析と【2】テクニカル分析(チャート分析)に大別されることが多い。
(2) 【2】テクニカル分析は経験的モデル(帰納法的アプローチ)で、“全ての情報を市場(相場)が織り込んでいる”という前提(仮定)に立脚している。言わば、「相場のことは相場に聞け」という考え方である。
(3) 確かに、テクニカル分析は経験に裏打ちされた職人芸に近いものであり、一般には馴染みが薄い。ただ、【1】スピーディな判断が可能、【2】客観的且つ分かり易い、【3】様々な相場への応用が効く、といったメリットを有する有効な予想手法と言えよう。実際、マーケット参加者にはテクニカル分析の信奉者も多い。

2. テクニカル分析の手法

(1) ローソク足(足型分析)
寄り付き・引け値・高値・安値の4つの情報をセットにしたもの。
取引所取引のように時間制限があり、引け値への収束が重要な意味を持つ場合に如実に現れやすいとされる。その意味では、為替など24時間間断なく続くマーケットには適応不十分な面 もある。
単体の足型分析に留まらず、2つ以上の足型を組み合わせることによって、相場の基調や転換点をより明確に判断しようとする手法もある。「三山、三川、三空、三兵、三法」といった「酒田五法」を有する「酒田戦法」は特に有名。また、週間足の法として「羽黒法」が知られている。
(2) 「トレンド」とは
「トレンド」はテクニカル分析上最も重要な概念の一つで、マーケットの動く方向を意味する。具体的には、【1】相場が形成する山、谷が段々切り上げっていくと「上昇トレンド」、【2】切り下がっていくと「下降トレンド」、【3】横這っているようだと「横這いトレンド(レンジ)」と判断される。
【1】上昇トレンドに於いて、切り上げる谷を(通常3つ以上)結んだ線を下値支持線(上昇トレンドライン)、逆に【2】下降トレンドに於いて、切り下がる山を結んだ線を上値抵抗線(下降トレンドライン)と言う。
サポートライン、レジスタンスラインは、一旦ブレイクされると、今度は逆にそれぞれレジスタンスライン、サポートラインとなる。
(3) ファン理論
第三番目のトレンドラインがブレイクされると、トレンド転換のシグナルとするもの。逆に第三番目のトレンドラインがブレイクされない限りは、決定的なトレンド転換とは見なさない。
(4) 「リバーサル・パターン」とは
リバーサル・パターンとは、トレンドが転換する過渡期に形成されるプライス・パターンのこと。プライス・パターンには、この【1】リバーサル・パターン(反転パターン)と、後述する【2】コンティニュエーション・パターン(継続パターン)があるが、リバーサル・パターンは相場の動向を見極める上で特に重要である。
注意しておきたいのは、リバーサル・パターンが形成されるには、あらかじめトレンドが生じていることが条件であること。
主なリバーサル・パターンには、【1】ヘッド・アンド・ショルダー、【2】トリプル・トップ(トリプル・ボトム)、【3】ダブル・トップ(ダブル・ボトム)、【4】V フォーメーション、【5】ソーサー・トップ(ソーサー・ボトム)が挙げられる。
(5) 「コンティニュエーション・パターン」
プライス・パターンの内、現行トレンドが継続する時に出現するものをコンティニュエーション・パターン(継続パターン)と言う。現行トレンドが一時休止する時に出現するもので、通 常は早晩もとのトレンドに復帰する。一般的には、リバーサル・パターンよりも、形成に要する時間は短く、数週間から三ヶ月程度とされている。
一ヶ月から三ヶ月程度かけて形成される中期的パターンには【1】トライアングル、【2】ウエッジ、【3】レンジ(レクタングル)等が、一方、一週間から三週間程度で形成される短期的パターンには【1】ペナントや【2】フラッグがある。
(6) フィボナッチ・リトレイスメント
相場が反転した場合、その反転した相場がどの水準まで行くかの目安として、フィボナッチ・リトレンスメント(23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、76.4%)の目途がよく使用される。
フィボナッチは13世紀イタリアの数学者。エジプトから持ち帰ったとされる「うさぎの出生率」に関する数学的解法が「フィボナッチ級数」。
(7) 移動平均線
移動平均線とは一定期間における移動平均値を結ぶ線のこと。例えば、ドル円のNY市場終値の5日間平均値を「5日線」等と呼ぶ。日足チャートでは5日線、21日線、90日線、200日線等が、週足チャートでは4週線、13週線、26週線、52週線等が用いられることが多い。
より短い期間の移動平均線(例えば5日線)がより長い期間の移動平均線(同21日線)を上抜くことをゴールデン・クロス、逆をデッド・クロスと称する。ゴールデン・クロスは下降基調から上昇基調への、デッド・クロスは上昇基調から下降基調への転換の遅行指標(確認の材料)と見ることが一般的だ。
(8) 様々なチャート(トレンド系とオシレーター系)
現在のトレンドを判断することを目的としたチャートに、【1】ポイント・アンド・フィギュア、【2】パラボリック・システム、【3】一目均衡表、【4】新値足、【5】練行足、等がある。トレンド系チャートと称され、相場転換(売り買い)のシグナルを発するものが多い。
一方、オシレーター系チャートは、相場の変動速度や過熱感を判断するのに適している。【1】RSI、【2】ウィリアムズのR、【3】ストキャスティクス、【4】MACD、【5】ブリッシュ・コンセンサス、【6】ボリンジャー・バンド等がある。トレンド分析では判断し辛い相場の反転を逸早く発見できる場合もある。但し、トレンドに反した逆バリの材料として用いるのは危険である。
参考文献
ジョン J・マーフィー著「先物市場のテクニカル分析」社団法人金融財政事情研究会
合宝郁太郎著「株式相場のテクニカル分析」日本経済新聞社
ゼネックス編著刊「チャートの鬼」
田中泰輔著「金融マーケット予測入門」東洋経済新報社
住友信証券債券営業グループ著「金利・為替予測ハンドブック」NHK出版
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